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2009_「J1」_第10節(RSvsR)の補足コラム・・ツキまでも呼び込む「勝者のメンタリティー!?」・・(2009年5月6日、水曜日)

昨日、国立競技場で行われた「J1」のレイソル対レッズ。

 そのレポートでは、才能ある若手を本当の意味で発展させるためには!?・・とか、いまのレッズで抜群の存在感を発揮する若手を育てたユースの「堀孝史」監督について、また、レッズが志向するダイナミックな組織サッカーの流れに「乗れる選手」と「乗り遅れている選手」の違いとか、フィンケ・サッカーから刺激を受け、これまでとはまったく違う雰囲気をまとって復活・復帰してくる(はずの!?)選手に対する期待といったテーマにスポットを当てました。

 そのコラムは「こちら」

 でも、実際のゲーム内容についてのレポートはほとんどなかった。ということで、テーマを絞り込んで、補足のコラムを書くことにしました。まあ、補足だからネ、ショート&ショート・・です。

 「前節のアルビレックス戦でも劇的な幕切れになったが、この試合でも、最後の最後に大逆転ドラマを完遂させてしまった・・そこでは、ツキにも恵まれたと思う・・ところで、このツキという現象だが、このまま質問したら(前節のように!?)ツキも必要さといった簡単なコメントになってしまうだろうから、ここではもう少し突っ込んで聞きたい・・要は、このツキというものを、何らかのキーワードで意味づけしてもらいたいということなのだが・・」

 そんな私の質問に対し、フォルカー・フィンケが、こんなコメントをくれた。

 「もちろんサッカーには幸運は必要だ・・ただ私は(あくまでもロジカルに!?)できる限り多くのチャンスを作り出すことを目標に設定する・・相手よりも多くチャンスを作り出せば、もちろん勝てる可能性も高まる・・できる限り、ツキに頼らずにゲームを作りたいということだ・・」

 そう、もちろん「おっしゃる通り」なんですがネ・・。

 でもサ、この試合でもそうだったけれど、あれだけゲームを支配し、チャンスも作り出していたのに(もちろんレイソルが魅せつづけた、統制の取れた素晴らしく粘り強いディフェンスもあったわけだけれど・・)結局は、レイソルにワンチャンスをポンポ〜ンと決められて簡単に逆転され、そのまま押し切られそうになったことは確かな事実だと思うのですよ。

 そんなゲーム展開は、前節のホームでのアルビレックス戦でも同様だった(そのゲームでは引き分けに持ち込まれそうになった!)。もちろんそこでは(コラムにも書いたように)選手交代がうまく機能せず、そのことで攻撃の勢いが大きく減退したこともあったわけだけれど、それでも最後は、残り数秒というタイミングで劇的なヘディングシュートが決まった。また昨日のレイソル戦では、相手のクリアボールが身体に当たって相手ゴールに転がりこむといった「幸運」に恵まれた。

 そう・・「勝負強さ」という現象・・

 以前、薄氷の勝利を積み重ねていた日本代表のジーコに、同じような質問をぶつけたことがあった。「アウェーでのシンガポール戦、ホームでのバーレーン戦など、観ていて胃が痛くなるようなギリギリの勝利だった・・ツキにも恵まれたと思うのだが、その勝負強さについて意味づけしてもらえないだろうか・・?」

 そうか・・そのときは「勝負強さ」という表現を質問の骨子に置いたんだっけ。「ツキ」ではなかった・・。

 フォルカー・フィンケに対しても、「勝負強さ」とか「勝者のメンタリティー」といった表現を前面に押し出して質問したら、また違ったコメントが聞けたということか・・。ツキまでも呼び込んでしまう(自分のモノにしてしまう)勝者のメンタリティーとは!?・・なんてネ。あ〜あ、オレの質問が良くなったということか。まあ仕方ない。今度は「それ」にしよう。

 ところで、「そのとき」ジーコが出したコメントだけれど、さすがに「世界」を何度も制した強者といった深いモノだった。

 「絶対に負けない・・最後は必ずオレたちが勝利する・・オレのチームの(日本代表の)選手たちは、そんな確信をもって、最後の最後まで諦めずに全力で仕掛けつづけた・・その確信があったからこそ、最後に勝利を掴み取ることが出来たのだ・・そして、それこそが、勝負強さの源泉なのだ・・」

 ジーコは、そんなニュアンスのことを言っていたっけ。そう、だから監督は、選手に対して、その「確信」を与えられなければならない・・その「確信レベル」を極限まで高揚させられなければならない・・。

 ジーコは、(コーチとしてのマネージメント能力は別のディベートに委ねるとして・・少なくとも!)選手たちに「暗示」を与え、マインドを引っ張っていけるだけのスーパーな心理バックボーン「は」備えていた。人は、それを『カリスマ』と呼ぶ。イビツァ・オシムも、またフォルカー・フィンケも、(ジーコとは)タイプは違うけれど、同じような心理バックボーンを備えている。

 フットボールネーションというホンモノの戦場での「実績」というバックボーンを。フムフム・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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