湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2014年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第20節(2014年8月16日、土曜日)
- 勝者メンタリティーを充実させていくために・・また攻撃に変化についても、ちょっとだけ・・(レッズvsサンフレッチェ、 1-0)
- レビュー
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- このところ、チト落ち込んでいます。
ブラジルから帰ってきた当時は、HPでも書いたように、神経痛が、ほとんど治りかけていたんですよ。
この神経痛の原因だけれど、多分それは、頸椎の椎間板ヘルニアなんだろうね。でも、帰国してからは、「それ」による痛みが、ほとんどなくなり、首も後方に反り返せるようになっていたんだ。それだったら、単車にも乗れる。
だから、ブラジルから無事に帰国できたことも含めて、とても元気になっていた。でも・・
そう、自分の生活リズムを、あまりにも急激に、元に戻しすぎてしまったんだ。要は、単車での移動だけじゃなく、トレーニングもフルに再開してしまったんだよ。
早足でのウォーキング(45分から1時間ほど)だけじゃなく、自重をつかった上半身、脚などの筋力トレーニングにも、気合いを入れて取り組んでしまったというわけなんだ。
腹筋は、膝を曲げた状態で、足を押さえることなく上半身を起こすシットアップ(100回ほど)。
もちろん、後頭部に両手を添え、肘を張った状態で上半身を起こし、最後の瞬間に、上半身を「鋭く」左右に捻(ひね)るんだよ。そう、側副筋のトレーニング。
でも、この「上半身のひねり」がよくなかった。
帰国してから1週間目あたりだっただろうか、上半身を振った次の瞬間、「うなじ」に鋭い痛みがはしったんだよ。そして、それまで「ほぼ」消えていた、肩胛骨から腕にかけての痛みが再発してしまったんだ。
ものすごいショックを受けて、かなり落ち込んだ。
もちろん(首を反らせられないことで視線を上げられないから!)単車にも乗れないし、歩くだけでも、耐えられないほどの痛みに襲われる。そして、その痛みが、容易に解消してくれない。
それでも、ブラジルでのように、無理をして行動しつづけていた。でも・・
そう、状態がまったく好転しないだけじゃなく、逆に悪化傾向を感じることさえあったんだよ。それって、まさにブラジルへ渡る前の状態。だから思った・・
・・もうここは、我慢するしかない・・とにかく安静にして首まわりの筋力トレーニングとストレッチングを地道につづけていくしかない・・とにかく、もう1度、しっかりと検査をしよう・・
ということで、来週の火曜日には、友人のいる病院へ、「MRI」の検査を受けにいくことにした。
ちょっと前段が(言い訳が!?)長くなってしまったけれど、とにかく、そんな事情で、この試合は、テレビ観戦ということにせざるを得ないという体たらくだったんですよ。
それに、2013年9月からスタートし、ブラジルW杯で休止していた新連載のコラムシリーズを「再開」するための心理エネルギーを充填するのもままならないし・・。とにかくここは忍耐しかない。フ〜〜ッ・・
まあ、いいや・・ということで・・
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それにしても西川周作。
この試合でも、「勝ち点2の取りこぼし」を、ギリギリところで救った。まさに、真のヒーローじゃありませんか。
それは、後半ロスタイム2分に飛び出した、サンフレッチェ柴崎晃誠の決定的チャンスシーン。
このシーンでのカバーリング責任者は、やっぱり森脇良太だったでしょ。
もちろん、イメージしていなければならない相手選手やスペースは「他」にもあったけれど、このシーンでの森脇良太は、皆川佑介が、走り込む柴崎晃誠へヒールで決定的パスを「落とす」ところまでイメージできていなかった。
いや森脇良太は、「もしかしたら・・」とは感じていたんだろうけれど、その「感覚」が、具体的な(余裕をもって追いつける!)カバーリングアクションまで「つながって」いかなかった。
まあ、「これ」も、とても重要な「学習機会」ではあります。
森脇良太は、「想像的&創造的ディフェンスの引き出し」を増やす意味でも、このシーンをビデオで見返すことで、深く、勝負イメージに刻み込んでおくべきだね。
またチームとしても、スーパーヒーロー西川周作がいなかったら、勝ち点「2」を取りこぼしていた・・という厳然たる「事実」を、深く、深く、意識のなかに刻み込むことで、「勝者メンタリティー」の内実(構成ファクター!)を充填していかなきゃいけない。
何たって、不確実なファクターが満載のサッカーは、イメージの(意志の!)ボールゲームなんだからね。
ということで、もう一度、西川周作。
その時点まで、現場やクラブ関係者、メディアや(ステークホルダーでもある!)観客の皆さんが抱いていたに違いない、「レッズ余裕の勝ち点3・・」というイージーな期待に(トリハダが立つような!?)冷水を浴びせかけた決定的ピンチを、またも救った西川周作。
これでレッズは、再び単独トップに躍り出たわけだけれど、彼は、その、もっとも重要な立役者であることに異論をはさむ方はいないでしょ。
あっと・・。もちろん、スリーバックの一角を占める槙野智章の、格段に進歩した、「創造性&想像性&実効性ディフェンス」も、ピックアップしないわけにゃいかない。
彼は、抜群の安定感を魅せる今シーズンのレッズ守備を支える立役者の一人なのだよ。
この試合でも、何度も、「最後の半歩」をブチかます、ギリギリのカバーリングを魅せた。テレビ観戦だから、(物理的、心理的プロセスまで!)よく見えた。エヘヘッ・・
そして(この試合では鈴木啓太と阿部勇樹で組んだ!)ダブルボランチの、タテのポジションチェンジ(主にサイドバックと最終ラインの攻撃参加!)を支える、縦横無尽のカバーリング性能。
まあ、もちろん、レッズ安定ディフェンスの支柱は「彼ら」だけじゃないけれど、全体的な性能アップという視点で、重要な実効基盤であると言いたかった。
また、攻撃。
梅崎司について、前回コラムで、意を決したドリブル勝負をブチかましていく勇気が足りない・・と書いた。
ちょっと舌っ足らず。
彼の、攻守にわたって、「積極的に仕事を探しつづける・・」という視点での全体パフォーマンスは、格段にアップした。そのことについては、本当にそう思う。でも・・
そう、「だからこそ」、もっと、もっと・・と期待しちゃう。
もちろん、今のレッズに足りない、「攻撃の変化」の仕掛け人としても・・ネ。だからこそ、もっとドリブル勝負を・・と思うわけだ。
この試合では、突貫小僧も交替出場した。
そして、ボールをもつたびに、観ている者のハートをわし掴みにした。観ている者は、例外なく、彼のドリブル突破に期待したんだよ。
そして・・ここが、ヤツのすごいトコロなんだけれど・・突貫小僧は、何度失敗しても、期待に違わぬリスクチャレンジをブチかましつづけたんだ。
たしかに、3回のドリブル突破チャレンジは失敗に終わった。
相手も、突貫小僧のことは良く知っているから、「そこ」に、複数のカバーリングが集中してボールを奪い返してしまったというわけだ。でも・・
そう、突貫小僧、関根貴大の「強烈な自己主張マインド」が、チームメイトに勇気を与えないわけがない。そして、相手には恐怖感を植えつける。
だからこそ、「次の戦術的なチャンス」が生まれる。そのメカニズムについちゃ、説明する必要なんてないでしょ。
とにかく「変化」なんだよ、変化。
それがなければ、相手ディフェンスに「穴」を空けることなんて出来る相談じゃないんだ。
今日はテレビ観戦だったけれど、そんなポイントを抽出してみました。
あと・・
頑張れ〜っ!・・山田直輝〜っ!!
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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。
その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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