湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第23節(2014年9月13日、土曜日)

 

勝者のメンタリティー・・(エスパルスvsレッズ、 1-4)

 

レビュー
 
ゲームを観ながら、前節アルディージャ戦を思い出していた。

そこでのアルディージャも、レッズに大きくリードされてから(戦術サッカーから解放されて!?)、自由なダイナミズムが大きく増幅していったっけ。

要は、そこからのアルディージャが、自分たちが主体になって(!?)、持てる実力を「よどみ」なく限界まで発揮できるようになったということですよ。

とはいっても、押し込まれてはいたけれど、それでレッズ守備ブロックが崩されたか・・といったら、そんなことは全くなかったけどね。

そして、このエスパルス戦でも・・

そう、大量リードを奪われたことによってフッ切れたエスパルスが、イニシアチブを握るゲーム展開にはなったけれど、そこでも、レッズ守備ブロックが(流れのなかで)崩されたシーンは、ほとんどなかったんだ。

ところで、監督が交代したエスパルス。

彼らについては、天皇杯の「FC東京」との勝負マッチを観戦し、その充実したチカラを体感していた。だから(ミハイロ・ペトロヴィッチ同様に!?)、アウェーマッチであることも含めて、レッズにとって難しいゲームになるに違いないと、思っていた。でも・・

たしかに立ち上がり14分には、エスパルスが繰り出した唐突なカウンターから、高木俊幸に秀逸なクロスを送り込まれて大ピンチに陥った。

そう、そのクロスに合わせ、レッズゴール前スペースへ、「大外」から完璧フリーで走り込んだノヴァコヴィッチがダイレクトでシュートをブチかましたシーン。

バーを直撃して跳ね返ったことで事なきを得たけれど、それまでのゲームの趨勢(すうせい)からしたら、まさに「唐突」なピンチであり、サッカーの怖さ、難しさを再認識させられたシーンだった。

また、その直後の20分には、フリーキックからのこぼれ球を、偶発的にフリーになっていた高木俊幸に、ゴール正面のペナルティーエリア際から、ズバッと叩かれた。

もちろん(!?)西川周作が、ガッチリとセービングキャッチしたけれど、「ソレ」もまた、ある意味で決定的ピンチではあった。

まあ、そんなピンチが、レッズにとってのポジティブな刺激になったという側面もあったんだろうね、そこから、レッズの勝者メンタリティー(攻守にわたる意志のプレー!)が増幅したと感じた。

私は、そこに、(今の!)ドイツが展開する質実剛健(クリエイティブ)サッカーのエッセンスを見ていた。もちろん、以前のドイツのような、勝負強いだけのパワー(直線!)サッカーのことじゃないよ。

蛇足ですが、この「ドイツサッカーの再生」というテーマについて、もし興味があったら、当HPの新連載、「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください・・なんてネ・・あははっ。

ということで、ここからは、誤解を恐れずに、安定した「レッズの強さ」を言葉で表現することにトライしましょうかね。例えば・・

・・やはり、攻守にわたる組織サッカーの量と質が格段にアップしている・・なんていう表現が妥当かもしれないね・・そう、全員守備、全員攻撃のトータルフットボール・・

・・守備では、チェイス&チェックを絶対的なベースに、周りのアクションが効果的に連動することによるボール奪取・・そう、美しいインターセプトや相手トラップ瞬間のアタック・・また、相手ボールの動きを封じてブチかます協力プレス・・などなど・・

・・そんな積極的な「組織ディフェンス」が機能しているからこそ、次の攻撃にも「勢い」が乗っていく・・組織プレーと個人勝負プレーが、ハイレベルにバランスした攻撃・・

・・そこでは、それぞれの選手が、しっかりと「俯瞰イメージ」をもっていると感じる・・要は、次の展開をイメージしたパス(ボールの動き)と人の動きが、とても素敵に連動しているということ・・

・・だからこそ、次のボールタッチ(パスのコントロール)にしても、次、その次のチームメイトの動きをイメージしたモノに、効果的にアレンジできている・・

・・だからこそ、組織コンビネーションを効果的に機能させられる・・だからこそ、勝負所で、数的に優位なカタチを作り出せる・・

・・また、「人とボールの動き」が詰まったとしても、そんな局面での競り合いを勝ち抜いたり、耐えきってしまえるだけの「個のチカラ」も発展をつづけている・・

・・意識と意志という視点じゃ、(自己犠牲の!!)組織マインドと、勇気をもったホンモノの自己主張が、とてもハイレベルにバランスしている・・っちゅうことかな・・

・・スミマセンね、またまた分かりにくい(!?)形容句のオンパレードになってしまって・・でもサ、こちらは、錯綜したグラウンド上の現象を、なるべく『分かりやすい言葉』に置き換えようと、日々努力しているわけだから・・

・・と、そんなところが、この試合でも見えてきた「差」のバックボーンかもね。

それにてもレッズの攻撃は、どんどんと多彩になっているね。

この試合でも、中央コンビネーションや、サイドからの崩しだけじゃなく、一発ロング勝負パスなんかでも存在感を発揮した。

李忠成の2点目ゴールシーンとか、その後の、興梠慎三が魅せた、決定的フリーランニングと超ロング一発スルーパスの組み合わせとか・・ね。

―――――

とにかく・・

今のレッズからは、何らかの問題と直面しても、それが困難であればあるほど、彼らの主体的で勇気ある(プレー)姿勢が活性化していくと感じますよ。

まあ、自ら考え、工夫しようとする主体性マインドや、困難に立ち向かおうとする「勇気(意志)」が充実しつづけているということだね。あっと、意味は「同根」かな・・あははっ・・。

そう、それらこそが、「勝者メンタリティー」と呼ばれるモノの根底にあるということなんだよ。

ミハイロに(また杉浦大輔にも)、乾杯!!

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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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