湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2014年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第25節(2014年9月23日、火曜日)
- (前回同様に・・)リーグ終盤の紆余曲折へ向けて、勝者メンタリティーが充実するレッズ・・(アルビレックスvsレッズ、 0-2)
- レビュー
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- まあネ・・たしかにアルビレックスも、何度か、可能性の高いチャンスを作り出した。
特に前半。
小林裕紀がフリーで抜け出したり、レオ・シルバが爆発的なドリブル突破&シュートをブチかましたり、またコーナーキックから、指宿洋史が、レッズゴール前数メートルからフリーシュートを見舞ったり・・。
でもサ・・
そう、全体的なサッカー内容と勝負の流れとしては、まさに、レッズの「なか」で深化しつづける「勝者メンタリティー」が炸裂しつづけたっちゅうゲームだったと思うわけなのです。
この試合は、テレビ観戦。だから、いろいろと、情報量は多い。
でも、いつものように、(これまで現場で培った!?)感覚ベースで思いついたテーマをいくつかピックアップし、そのコノテーション(言外に含蓄される意味)を探ります。
もちろん、気になったシーンを、後からスローで確認できるという、テレビ観戦のアドバンテージを駆使してね。
そんな「確認シーン」のトップバッターは、前半15分に飛び出した、アルビレックス小林裕紀の絶対的チャンス(レッズの絶対的ピンチ!!)。
このシーンの顛末は、こんな感じ・・
・・(アルビレックスの)左サイド、最前線タッチライン際でボールをキープする指宿洋史・・レッズのペナルティーエリアの中には、近いゾーンと遠いゾーンに、三人のアルビレックス選手が待ち構えている・・
・・この状況で、回り込むようにドリブルで中へ切れ込んでいこうとする指宿洋史が、一瞬のルックアップからワンのパスを送り込んだ・・レシーバーは、ペナルティーエリアのセンターゾーンで待つ山本康裕・・
・・それが勝負の瞬間だった・・
・・このパスが山本康裕へ送られるの同時に、ペナルティーエリアの近いゾーンにポジションを取っていたアルビレックス小林裕紀が、決定的スペースへスタートを切ったのだ・・
・・そして、まったくフリーの小林裕紀に、指宿洋史からのパスを受けた山本康裕が、ダイレクトスルーパスを通したっちゅう次第・・
・・レッズの絶対的ピンチ・・でも、(例によっての!?)西川周作のビックセーブによって事なきを得ることになる・・
・・ということで、ここまでは、アルビレックス側のアクション描写だったけれど、同時に起きていた、レッズ守備アクションも描写しましょう・・それは、こんな感じ・・
・・指宿洋史のドリブル・・
・・そのとき、最終的にシューターになったアルビレックス小林裕紀を、「イメージ的に」マークしていたのは、レッズの突貫小僧、関根貴大・・また、その横には、森脇良太もいた・・でも・・
・・関根貴大は、指宿洋史のドリブルに気を取られ(!?)、自分の背後に回り込んだ小林裕紀を、しっかりとイメージ出来なくなっていた・・
・・また、森脇良太は、指宿洋史のドリブル突破のカバーリング「も」意識した、ちょっと「曖昧」なポジションを取っていた・・
・・要は、このときのアルビレックス小林裕紀は、(指宿アクション&ボールのウォッチャーになってしまった!?)関根貴大と森脇良太のイメージから完全に「外れて」、完璧フリーで、両人の背後の決定的スペースへ回り込んでいったっちゅうわけだ・・
・・そして指宿洋史からのワンのパスを受けた山本康裕が、ダイレクトで、「完璧な3人目フリーランナー」になった小林裕紀へラストパスを通したっちゅう次第・・
まあ、レッズ守備にとっては、完璧に「ウラを取られちゃった」シーンだったわけだけれど、別な見方をすれば、それは、貴重なディフェンスの学習機会でもあるわけだ。
もちろん、守備イメージを、より深化・発展させるためだよ。
「あの」状況で、関根貴大と森脇良太は、ドリブルする指宿洋史とは「別の」決定的ピンチシーンに対する守備イメージも、鮮明に、アタマに描写できていなければならなかったんだよ。
だから、貴重な学習機会。
ということで、次は、レッズ守備のポジティブな側面についてコメントしようと思うけれど・・
ここで、槙野智章のスーパーディフェンスに触れるのはアンフェアかもしれないよね(彼もまた、いくつかのイメージ描写=予測=ミスを犯したからネ・・)。
でも彼が、いくつかの危急状況を、本当に素晴らしい(闘う意志が込められた!!)ディフェンスで防いだシーンが特筆だったら、書いちゃう。それは・・
・・自分のマーク相手を放り出し、そのとき一番危険だったタッチライン際の相手パスレシーバーを完璧に抑えたシーン・・
・・そのシーンでは、相手パスレシーバーが、槙野智章がマークを離したことで完璧フリーになった逆サイドのアルビレックス選手へパスを回したら、まさに決定的ピンチになるところだった・・
・・でも槙野智章には見えていた・・その相手パスレシーバーが、そのまま逆サイドでフリーになった味方へパスを送ろうとするに違いないことを・・
・・そして相手がパスを出す瞬間を狙った「正確な読み」のタックルで、見事にボールを奪い返してしまった・・いや、素晴らしいカバーリングプレーだった・・
・・また前半26分あたりでは・・指宿洋史のフリーシュートを、ギリギリのスライディングでブロックした・・これも胸のすくような素晴らしい危急ディフェンス・・
・・また後半には、こんなシーンもあった・・
・・レッズのコーナーキックで攻め上がっていた槙野智章が、相手にボールを奪われた瞬間、間髪を入れずに爆発スタートを切り、そのままフルスプリントで相手ボールホルダーを追いかけ、ボールを奪い返してしまったスーパーディフェンス・・
まあ、もちろん槙野智章だけじゃないけれど、とにかくレッズが、守備において「も」、「足が、半歩先に出るようになった」というコトが言いたかった。
もちろん、その「半歩」とはイメージ的(抽象的)な表現だけれど、それこそが、創造的なイメージング能力と強烈な「意志力=考えるチカラ=」の現れと思うわけだ。
ミハイロ・ペトロヴィッチに、乾杯っ!!
まだまだ、テーマは山積み。
例えば・・
・・前回も書いた、ダブルボランチ(阿部勇樹と鈴木啓太コンビ)が魅せつづける、効果的な守備ブロック機能性マネージメントというテーマ・・
・・それに準拠するけれど・・この二人が、那須大亮と、実効レベルの高いトライアングルを組んでいるからこそ機能する、守備陣の攻撃参加というテーマもある・・
・・このテーマは、面白い・・何せ、レッズ攻撃プロセスの多くが、守備選手によって彩(いろど)られているわけだから・・
・・そう、両サイドバックと、スリーバックの両サイド選手のコラボレーション・・
・・だからこそ、柏木陽介という「強烈な意志で攻守ハードワークを探しつづける自由人」が、攻守にわたって、抜群の機能性を魅せつづけられるっちゅうわけだ・・
・・それにしても、柏木陽介は、どんどん進化&深化している・・彼が内包する「強烈な意志」は、本当に世界レベルだと思う・・世界レベル・・
・・まあ、柏木陽介についても、機会があれば、当HP新連載の「The Core Column」で取りあげよう・・
あっと・・最後に、もう一つ。
この試合のゴールシーンで決定的な仕事をした、関野貴大と森脇良太。
そう、彼らは、前述の決定的ピンチで「準主役」を演じた二人だった。
でも、「その後」この二人は、どんどんとプレー内容をアップさせ、自ら、アシストとゴールという果実を掴んだ。
まあ、森脇良太は、何度失敗しても、決して闘うマインドを萎(しぼ)ませることはないけれど、関根貴大については、「フッ切れた仕掛けへの意志が減退しているかも・・」という視点で、ちょっと心配していたんだよ。それが・・
そう、先制ゴールをお膳立てしてからは、関根貴大の「闘うマインド」が、まさに爆発的に増幅していったんだよ。
縦横無尽に動き回ってハードワークをこなし、(このところ、ちょっと低迷気味だった!?)決定的なドリブル勝負のシーンでも、彼本来の「勢い」を、自分の意志で甦(よみがえ)らせた。
たぶん、そのフッ切れたマインドは、先制ゴールをお膳立てできた・・という自信がベースにあるんだろうね。いや、ホント、「その後の関根貴大」は、観ていて楽しい限りだった。
ということで・・
前回コラムと同様に、リーグ終盤の紆余曲折へ向けて、勝者メンタリティーを拡充させつづけるレッズ・・ってな締めですかね。
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ところで、ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。
その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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