湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第32節(2014年11月22日、土曜日)

 

それでも、レッズの勝者メンタリティーは揺るがない・・(レッズvsガンバ、0-2)

 

レビュー
 
ちょっとアップデートが遅れ気味になってしまいました。

決して、レッズ対ガンバ戦の結果を受けての行動じゃなかったのですが、試合後、すぐにNack5スタジアムへ、アルディージャ対レイソルの勝負マッチを見るために馳せ参じたんですよ(単車での移動だから、まあ30分)。

そのこともあって、自宅へ戻って書きはじめた頃には、21時を過ぎていたっちゅうワケでした。

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ところでアルディージャ。負けてしまったことで、状況は、どんどん悪化しています。

残り2試合で、降格リーグに陥っているのは「4チーム」。アルディージャは、その「ビリ2」です。

このゲームに負けたら、大変キビしい状況に追い込まれることは選手たちも十分に分かっていたはず。だからこそ私は、後半4分のドゥドゥのゴールで「1対2」とレイソルにリードを奪われてからのサッカーに納得できずにいた。

もちろん私が注視していたのは、ボール周りの競り合い(闘う意志)ではなく、攻守にわたる、ボールがないところでの動きの量と質です。

ボール周りで、必死のプレッシャー(マーキング)やギリギリのスライディングアタックを仕掛けるのは、まあ当たり前でしょ。

だから、「より有利」に次の(攻守にわたる!)プレーを展開できるための「準備作業」に目を凝らしていたっちゅうわけだ。そして思った。どうして、もっと・・。

例えば、右サイドからクロスを上げられてしまうような状況。そこで、その右サイドのボールを見てしまい、自分がタイトにマークしていなければならない、逆サイドゾーンで、右からのクロスボールを狙っている相手選手をフリーにしちゃう・・。

例えば、味方の必死のチェイスによって、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)が追い込まれているにも関わらず、次の相手パスレシーバーへの「寄せ」が甘かったり。

例えば、右のスペースをオーバーラップし、もし「そこ」にサイドチェンジパスが通されたら決定的チャンスを作り出せるのに、そのスペースへ押し上げていこうとしなかったり。

例えば・・例えば・・

たしかに、それらは「小さなコト」かもしれない。でも、塵も積もれば山となる・・んだよ。

ボール周りで、必死の「競り合い」を展開するのは、当たり前なんだよ。

だからこそ、互いに「使い・使われるメカニズム」に基づいて、必死に、本当に必死に、攻守にわたるハードワークを、『目立たないところで!!』探しつづけるという積極姿勢「こそ」が、チームを窮地から救うんだ。

とにかく・・

ガンバレ〜ッ!!・・アルディージャ〜ッ!!!!

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ということで、レッズ対ガンバ。

私は、この試合の内容を見ながら、レッズの「勝者メンタリティー」が、本当に、ホンモノのレベルにまで到達していることを体感していた。

それでも・・

私が(サッカー的にもビジネス的にも)敬愛する、ある方が、こんなことを言っていたのですよ。

「・・ガンバの方が、一枚上手だったですよネ・・レッズは、いつものように良いゲームはやっているけれど、最後の、最後でうっちゃられちゃう・・」

そんな言葉に、思わず反論した。

・・私は、今シーズンのレッズは、テレビ観戦も含めて、全試合を観戦しています・・言葉を換えれば、レッズのポジティブな変化を体感しているとも言えるんですが・・なかでも特に、彼らの勝者メンタリティーが、どんどん深化していることは特筆モノだったんですよ・・

・・たしかに以前のレッズは、競り合いのゲームに強くはなかったですよね・・また、相手が守備ブロックを強化したら、足が止まり気味になって、組織コンビ ネーションが機能しなくなっちゃうことも日常茶飯事だった・・だから、一点を守り切られちゃうゲームも多かった・・でも・・

・・そう、そんな悪癖が、今シーズンは、ガラリと・・いや、ホントに、劇的に変わったと感じているんですよ・・

・・実際、相手に先制されてから追いついたり、逆転しちゃったようなゲームも多かったじゃないですか・・その割合って、以前とは比べものにならないと思いますよ・・

・・いま、全てのケースを列挙するなんてことは出来ないけれど、リーグの後半じゃ、例えばFC東京戦とか、先日のアウェーでのアントラーズ戦・・あっと、 ホームでのヴィッセル戦じゃ、柏木陽介と那須大亮のコンビが、後半ロスタイムに、ものすごく貴重な同点ゴールをブチ込んだですよね・・

その方。私の言葉に、ウンウンと頷いている。

・・今日のガンバ戦でも、私は、内容的には、レッズに一日以上の長があったと思っているんです・・だからこそ、あの負けが、とても残念だったですね・・

・・ガンバは、個の才能を、うまく活かしますよね・・そう、遠藤保仁を中心にね・・でも、この試合じゃ、そんなガンバの「売り」が、まったく機能しなかった・・レッズの守備が、とてもうまく機能していたっちゅうことです・・

・・もちろん西川周作のスーパーセーブもありましたけれどネ・・

・・そんな安定守備にもかかわらず、攻め上がったら、とても機能性の高い組織サッカーで、何度も決定的なチャンスを作り出したでしょ・・

・・宇賀神からのクロスを柏木陽介がダイレクトで叩いたりとか・・フリーで抜け出した李忠成が、ラストパスを「置こうとした」シーンとか・・李忠成は、後半にも柏木陽介のパスからチャンスを得ましたよね・・また宇賀神友弥の狙いすましたシュートもあった・・

・・でも結局は、ツキに見放され、つづけざまにカウンターを決められてしまった・・

私の「内容的な印象」は、こんなところですかね。

ちなみに「その方」は、私の言葉に、フムフム・・と、少しは納得した様子ではありました。でも、もちろんそこには、「厳然たる事実としての結果」があるわけだから・・。

まあ、仕方ない。それもサッカーさ。

ということで、以前から書きつづけていた、「リーグ終盤の紆余曲折」が本当にスタートしちゃったじゃありませんか。

さて、ここからが、抜群に進化し、深化した「レッズの勝者メンタリティー」の真価が問われる勝負どころ(見せ所)というわけです。

私は、このガンバ戦の結果にもかかわらず、いまでも深く確信していますよ。レッズのリーグ優勝を・・ね。

それほど、いまのレッズ選手諸君の「自信と確信」がレベルを超えていると思えるのです。

読者の皆さん。とにかく、お互い、最後まで、とことんサッカーを愉しみましょう。

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ところで、先日、高円寺のパンディットという「トークライブハウス」で、下記の「ナマ対談本」に絡めて、後藤健生さんと対談をやったんですよ。

アナウンス(事前の告知)が足りず、参加していただいた方は少なかったけれど、その対談全体が、「You Tube」にアップされましたので、お知らせします。

2時間近くも話しまくったのですが、その第一部が「こちら」で、その第2部が「あちら」です。

また、下記の「ナマ対談本」についても二人で語っている部分があるのですが、編集部が、それを、このように「編集」したのだそうです。まあ、ということで「こちら」もご参照アレ。

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ブラジルW杯に、後藤健生さんと「スカイプ」を介して繰り返したディスカッションをまとめた、ライブ感あふれる「ナマ対談本」が出来上がりました。

その新刊については、「こちら」をご参照ください。ではまた・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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