湯浅健二の「J」ワンポイント


2014年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第5節(2014年3月28日、金曜日)

 

風間八宏のコンセプトが花開く・・(フロンターレvsグランパス、 1-0)

 

レビュー
 
すごかったね〜、フロンターレ。

特に後半、(西野朗監督もシャッポを脱いでいたように!?)内容でグランパスを圧倒した。

どのような圧倒の仕方だったかって??

それについては、このゲームとまったく同じ「布陣とやり方」で相手を圧倒した、前節の、「FC東京vsフロンターレ」戦のコラムも参照してください。

そこでのキーワードは、人とボールの「動き」が織りなす「リズム」。

同じ「リズム感」で、選手全員が、美しいハーモニーを奏でている・・ってな感じ。

だからこそ、次のポールの動きが、明確に見える。そして、だからこそスペースへ走り込める。

また、だからこそ周りのチームメイトたちにしても、大久保嘉人やレナトがブチかます勝負ドリブルや「タメ」といった個人プレーまでも明確にイメージし、その個人プレーの「可能性」を広げるように動ける。

レナトにしても、大久保嘉人にしても、ドリブルで抜き切るだけじゃなく、最後の瞬間にラスト(スルー)パスを放ったりと、様々なオプションを持つことができるっちゅうわけだ。

前節レポートと重複しないように、このコラムでは、二つのテーマを取りあげよう。

一つは、タテへ仕掛けていく姿勢。

そしてもう一つが、自ゴール前のゾーンでも、「統一したリズム」のパスサッカーを貫きとおそうとするプレー姿勢。

例えば、良いリズムでボールを動かしながら、たまには、自ゴール前を横切っちゃうような横パスをつないだりするような「危ない現象」だって起きちゃうっちゅうことだ。

最初の、積極的に「タテへ仕掛けていく姿勢」だけれど、フロンターレは、それは、それは、エキサイティングな最終勝負チャレンジをブチかましつづけるんだよ。

例えばこんなシーン。

それは、小林悠へのタテパスからスタートした。

彼は、グランパスのトゥーリオに厳しくマンマークされている。でも牛若丸は、お構いなく、「ビシッ!」っていう感じの強烈なタテパスを、小林悠の足許へ付けるんだよ。

小林悠は、その状況で、一度トラップしたり、そのままダイレクトで、牛若丸へワンツーパスを戻したりと、何度か、ボールを「タテ方向へ」動かしつづけるんだ。

もちろん、その周りにいるチームメイトたちも、そんなタテ方向のボールの動き(仕掛けの流れ)がはじまったと同時に、サポートへ寄ってくる。そして、例によっての、「ポンポンポ〜ン」ってなリズムで、ボールを動かしちゃうんだ。

ボールが、素早く、目まぐるしく、縦横無尽に動きつづけるものだから、グランパス守備の視線と意識が、完璧に「引き寄せ」られて足が止まっちゃうのも道理。

そう、ボールウォッチャー。

でもボールは動きつづける。そして、最後は、逆サイドでフリーになっていたレナトへ(もちろん牛若丸から!)ラストパスが、まさにピッタリの正確さで送り込まれたっちゅう次第。

そのチャンスは、グランパス守備が、ギリギリのところで防いだけれど、結局フロンターレは、同じような、右サイドからのコンビネーションベースの崩しから決定的なグラウンダークロスを送り込み、最後は大久保嘉人が決勝ゴールを決めた。

フ〜〜ッ! 溜息が出た。まあ・・大したモンだ。

とにかく、フロンターレの人とボールの動きは(まあ大久保嘉人とレナトは、そんなに大きくは動かないけれど・・)、まさに縦横無尽であり、その動きのリズムには、目を奪われちゃう。

そして、その「動きのリズム」とトラップ&コントロールに対する自信と確信が、タテへ(ミスを恐れずに)積極的に仕掛けていく姿勢を助長しているというわけだ。

あっと・・

もう一つのテーマは、自ゴール前での横パスだった。

まあ、それについても、風間八宏が言っていたように、選手たちの、「動き」のリズムと、トラップ&コントロールに対する自信と確信の為せるワザっちゅうことだね。

とにかく、ストロングハンド、風間八宏のサッカーが花開きつつあると感じる。

ホント、これからのフロンターレの動向が、楽しみで仕方なくなったじゃありませんか。

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最後に、フロンターレの選手たち個々についても簡単にコメントしちゃおう。

まず何といっても、「動き」のコンダクター(要は、指揮者ね!)牛若丸。

あっと・・、初めて読まれる方は、分からないよね。私は、中村憲剛のことを、もうかれこれ10年来、牛若丸って呼んでいるんですよ。どうですか? イメージ、バッチリでしょ。

とにかく彼は、ブラジルでも、なくてはならない代表メンバーだと思う。

誤解を覚悟して(恐れずに)書いちゃうけれど・・。

私は、日本代表のワントップは、本田圭佑しかいない・・と思っているんですよ。

その後ろに、縦横無尽にポジションチェンジしまくりながらボールを動かしつづける「ダイナミック・トリオ」がいる。もちろん、香川真司、中村憲剛、そして岡ア慎司のことだよ。

その三人が、トップに君臨する本田圭佑が展開する、素晴らしい実効ポストプレーを「軸」に、バンバン決定的スペースへ飛び出していくんだよ。

このところ、この「ダイナミック・トリオ」と本田圭佑の、目の覚めるようなコンビネーションが目に浮かんで仕方ないんだよ。フ〜〜ッ・・

次に、小林悠と森谷賢太郎。

最前線の(クリエイティブな!!)汗かきハードワーカーとして、これまた抜群の実効プレーを魅せつづけた。

ハードワーカーが、あれほどテクニカルプレーにも長けていたら、そりゃ、チームメイトから絶大な信頼を寄せられるはずだ。

まあ、大久保嘉人とレナトについては書くまでもないけれど、とにかく、あの天才連中が、組織プレーにも精進しているんだからネ、風間八宏の仕事の質も、うかがい知れるっちゅうもんだ。

そして、中盤の底で、これまた縦横無尽に動き回り、守備のハードワーカー(仕掛け人)としてだけじゃなく、攻撃でも、リンクマン、ゲームメイカー、また時にはチャンスメイカーとして素晴らしいアイデアを魅せつづけた大島僚太。

たしかに彼は、中盤の底の方が、とても似合っているよね。それにしても、大島僚太というヤングスターの将来が楽しみじゃありませんか。

もちろん、積極的にオーバーラップしてくる両サイドバックや、ジェシと井川祐輔で組むセンターバックコンビも素晴らしくクリエイティブな守備を魅せつづけていたよね。

風間八宏は、これからゲームが立て込んでくるコトを考えると、もっとレギュラーグループの人数を増やさなければならないと言っていた。

でも、まあ、このメンバー構成が魅せつけた、攻守にわたる「スーパー組織サッカー」の機能性を、もっと確固たるものへと深化させることの方が先決でしょ。

そのイメージがチーム内に浸透すれば、自然と、「スーパー組織サッカー」の担い手も充実していくはずだから・・。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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