湯浅健二の「J」ワンポイント


2016年Jリーグの各ラウンドレビュー

 

第28節(2016年9月10日、土曜日)

 

さて、ここから、レッズの底流に定着しはじめているホンモノの勝者メンタリティーの内実が問われてくる・・(レッズvs鳥栖、2-0)

 

レビュー
 
「アナタが良い仕事をしていることは、ちゃんとした人たちは、みんな分かっていますよ・・」

「グラッチェ・・」

マッシモ・フィッカデンティーさんが、まだFC東京を率いていた頃のことです。

彼は、チームの成績が思ったほど上がらなかったこともあって、例の「イタリア的な守備サッカー」という、「ステレオタイプ発想」から、後ろ指を指された時期もありました。

例えば・・

・・FC東京のサッカーは、イタリア的な(カテナチオ!?)リアクションサッカーだ・・とかね。

要は、守備ブロックを受け身に固めてカウンターばかりを狙うっちゅう、例のアレのことですよ。

でもマッシモ・フィッカデンティは、まったく、「そんなサッカー」をやっていたわけじゃないし、やろうともしていなかった。

もちろん、次の対戦相手をスタディーした結果から、ゲーム戦術は練っただろうね。

でも実際のゲームは、(もし攻撃的だとしても!?)プランどおりに進むとは限らない。

そして、サッカーの「表面的な見え方」によっては、(マッシモがイタリア人だからというだけで!!)「守備的なカテナチオサッカー」なんていうレッテルを張られちゃったりしたんだよ。

だから当時の彼は、チト、ネガティブマインドに苛(さいな)まれるような雰囲気のときもあった。

だから私は、もちろん「本心から」、会見が終わって部屋を出ようとするマッシモ・フィッカデンティーに、冒頭のような声を掛けたっちゅうわけさ。

でも、結局は・・。そう、FC東京は、退任することになってしまった。

でも、捨てる神あれば拾う神あり・・ってなことで、(彼の手腕を高く評価していた!?)鳥栖が、監督として招聘し、例によっての質実剛健な手腕を発揮しはじめたっちゅうわけさ。

マッシモ、曰く・・

・・オレは、能力やパーソナリティー等などの選手ファクターを分析し、それをベースに、どんなサッカーが最適かを判断してチーム作りをするんだ・・

そう、この試合での鳥栖は、以前のような「豊田陽平のアタマを狙った一発タテロング(クロスボール)&こぼれ球の奪取&ダイレクト気味のチャンスメイク・・」なんていう、どちらかといったら「直線的」な仕掛けプロセスは、ほとんど見られなかった。

そうではなく、素晴らしい連動(プレス)ディフェンスから、できるだけ高い位置でボールを奪い返し、そこから人とボールが動きつづける組織パスサッカーを展開したんだよ。

もちろん、ダイレクトパスを織り交ぜる効果的な組織コンビネーションも含めてネ。

いや・・ホント・・この試合で鳥栖が魅せたサッカーは、まさに大幅なイメチェンとも表現できそうな優れたサッカーだったんだ。

だからこそ、マッシモ・フィッカデンティの「ウデ」を高く評価していた私「も」、自分の「評価眼」に対する自信と確信を深めることができたっちゅうわけさ。へへっ・・

とはいっても・・

そう、実際のゲーム内容では、レッズが、多くの時間帯でイニシアチブを握ったし、「シュートチャンスの量と質・・」という視点でも、レッズに一日以上の長があった。

でも、前述したように(!)、全体的なゲームの流れでは、「互角の雰囲気」を鮮烈に放散しつづけていた鳥栖だったのであ〜る。へへっ・・

それにしても、「あの」強い鳥栖のディフェンスに対して、レッズは、例によって果敢に、ダイレクトパス・コンビネーションを織り交ぜた、組織的な(リスキーな)仕掛けをブチかましたよね。

そして、ここからが、チト微妙なニュアンスのディスカッションになるんだけれど・・

レッズは、フロンターレやサンフレッチェ、ガンバやアントラーズといった強敵に対しても、全体的なサッカー(ゲーム)内容だけじゃなく、チャンスメイクの量と質でも、明確に上回る。

要は、誰が見ても、レッズの方が「強いチーム」ということだ。

でも・・

そう、「その事実」が、結果に反映されないケースも、「まだまだ」あるんだよ。

直近の2試合(フロンターレ戦ヴィッセル戦)が、まさに「それ」だった。

もちろん以前のように、イージーなミスが原因の失点をブチ込まれてしまうような、後味の悪い負けは少なくなったよね。

それだけ、守備ブロックが安定してきているということだね。

特にボールがないところでの連動守備アクションの量と質がアップしているのが特筆モノ。だから、カバーリングが充実するのも道理ということだ。

例えば、この試合で阿部勇樹が何度か魅せた、まさに秀逸の極みといったカバーリングアクションとかね。

そして、そんな強い、強いディフェンスをベースに、ダイレクトパス・コンビネーションを織り交ぜた組織パスサッカーで、相手守備のウラに広がる決定的スペースを、とてもスムーズに攻略しちゃったりする。

もちろん、「それらのチャンス」を実際のゴールに結びつける・・という視点では、まだまだ課題はある。今日の後半に李忠成が得た二つの決定的ゴールチャンスとか・・ね。

そして最後は、またまた、勝者メンタリティーというテーマで締めようと思うわけだ。

とにかく今のレッズが魅せているサッカーの質は、相手が強敵であればあるほど際立つという、まさに極上の勝者メンタリティーそのものだと思っているわけなんだよ。


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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパックについて、何人かの方から質問されたこともあって、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」のプロモートをさせてもらうことにしました。

この方は、有名メーカーのデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードを内包する「METAS」


とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。

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ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。

昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。

何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。

まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。

皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。

まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。

ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。

そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。

だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。

この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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