湯浅健二の「J」ワンポイント


2016年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第9節(2016年4月30日、土曜日)

 

高山薫は、真のヒーローだ!・・また、チョウ・キジェの継続パワーにも心からのレスペクトを!・・(マリノスvsベルマーレ、0-1)

 

レビュー
 
「チョウさん・・冒頭コメントで、これまでは勝てていなかったから説得力などなかった・・なんて、おっしゃいましたが・・ダメですよ、心にもないことを言っちゃ・・」

質問の冒頭で、失礼ながら、思わずそんな「導入句」が口をついてしまった。

そのとき会見場内では(その私の意見に同意する!?)含み笑いが広がっていたっけ。

それに対してチョウさんは、「いや・・そんなことはありません・・ホントにそう思っていま〜す・・」などと、微笑みとともに、「政治家の答弁」で逃げていたっけ。へへっ・・

まあ、そんな私の(失礼な!?)導入句のバックボーンについては、新連載「The Core Column」で、かなり以前に発表した「このコラム」を参照して下さい。

そのタイトルは、「ベルマーレ・・継続こそチカラなり・・」でした〜。へへっ・・

ということで、私は、もちろん(多分)読者の皆さんも、チョウ・キジェが志向するサッカーに対して、心からのシンパシーを抱いていると思うのですよ。

だからこそ、この「今季初勝利」を心から喜んでいた。

それも・・

そう、決勝ゴールは、「あの」意志のカタマリ、高山薫だったわけだからね。

たぶん、今のリーグのなかでは、攻守ハードワークを、積極的に(強烈な意志ベース)で探しつづけられるという視点で、彼はベストプレイヤーの一人だろうね。

だからこそ、常に、「全力スプリント」ランキングでも、トップ(領域)を占めている。

攻守のフルスプリント(≒汗かきのハードワーク!?)。

その絶対的ベースは、その選手が達成したいと思う、攻守の具体的イメージに他ならない。

でも、そのイメージを実行するためには、インテリジェンスと強烈な意志が必要なんだ。

だからこそ、誰もが、高山薫の「プレー姿勢」に感動させられるっちゅうわけさ。

ヒーローインタビューでの高山薫のコメントには、深いインテリジェンスと強い意志が、ほとばしり出ていた。ホントに、素晴らしいプロ選手だと思う。

その高山薫の同期に、アントラーズの天才、遠藤康がいるけれど、彼の才能に、高山薫の「意志のチカラ」をプラスしたら、そりゃ、すぐにでも「世界レベル」だよな。

まあ、そのことは、ガンバの宇佐美貴史にも言えるし、アイツにも、コイツにも言える。

メディアの皆さんには、高山薫のプレーコンテンツが創造しつづけている、日本サッカーにとって最も大事なコノテーション(言外に含蓄される意味)を、もっと採り上げてもらいたいよね。

この、積極的な攻守ハードワーク姿勢の表象としての「フルスプリント」については、新連載「The Core Column」において、「こんなコラム」や、イビツァ・オシムをモデルにした「こんなコラム」を発表したから、そちらもご覧あれ。

まあ、フルスプリントについては、本編でも「The Core Column」でも、もう数限りなく言及してきたから、読者の皆さんには「しつこい限り」でしょうが・・ね。

あっと・・試合・・

冒頭の「失礼な導入句」のあとには、もちろんホントに聞きたかったことを投げかけたよ。

・・ところで、アトレティコ(マドリー)の守備について言及されたけれど、まさに私も、今日のベルマーレの守備に、そのテイストを感じていたんですよ・・

・・そう、ゴールを守るのではなく、あくまでも相手からボールを奪い返すという姿勢のディフェンス・・それについてコメントを・・

そんな質問に対してチョウさんは、例によって誠実に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

・・相手ポールホルダーへのプレスは、とても粘り強く、忠実に、最後の最後まで、効果的に繰り出しつづけてくれた・・もちろん「そこ」では、細かなポジショニングやチェイス&チェックの位置調整も、自分たちなりに実行していいた・・

・・もちろん・・ボールを奪い返した直後からスタートする攻撃をイメージしてね・・

・・その意味では、アトレティコ(マドリー)の守備イメージの(基本的な!?)テイストは、ある程度は出せていたのかもしれませんね・・

チョウ・キジェの素敵なコメントはつづく。

・・選手たちは、勝ちたいという意志をみなぎらせてグラウンドに立ちました・・その背景には、ミーティングでの、ビデオを使ったイメージトレーニングや、互いの意志の確認などもあったのです・・

・・選手たちの多くは、若い頃から知っている者たちです・・

・・だから私は、彼らの努力する姿勢をちゃんと知っているつもりですし、その諦めないマインドに対して敬意をもっています・・

・・もちろん出場できないとか、不遇の時間を過ごさなければならない選手もいるでしょうが、それでも彼らのほとんどは、諦めずに、努力をつづけるんです・・

・・だから皆さんには、私の彼らに対する敬意の意味をご理解いただけると思います・・

・・頑張っていれば、いつかは芽が出る・・そんな、希望を捨てない選手たち・・そんな彼らに、主体的に考えつづけさせることで可能性を伸ばすことこそが監督の仕事だと思っています・・

・・だからこそ彼らには、心の底から、オメデトウと言いたいのです(オメデトウと言える!?)・・

いいね・・チョウ・キジェ。

皆さんもご存じのとおり、私は、高山薫も含め、チョウ・キジェを(そのパーソナリティーと、プロとしての仕事コンテンツを)高く評価し、心から支持しているんですよ。

だから、高山薫のゴールも含めた素晴らしい粘りの勝利に、本当に、心から感動していたんです。

いいね〜・・。今回は、とてもポジティブな情緒あふれるコラムが書けた!?

スミマセン、いま、そんな自己満足に浸っている筆者なのでした〜・・。へへっ・・

===========

ところで、ワケの分からない、1.ステージ、2.ステージ、そしてチャンピオンシップ・・という「興行」について。

昨シーズンの「J」は、本当にツキに恵まれた。

何せ、年間最多勝ち点チームというリーグ頂点に立ったサンフレッチェが、「興行チャンピオン」にも輝いたわけだからね。でも、昨シーズンの二位クラブは、ガンバ大阪なんだってサ。要は、「興行チャンピオンシップ準優勝チーム」ということらしい。

まあ、皆さんも感じられている通り、とても、変。まあ、協会側は、この不自然なリーグシステムを「まだ」つづけるつもりらしいけれど・・サ。フンッ。

皆さんもアグリーだと思うけれど、「J」に関わっているサッカー人は、絶対に、『年間最多勝ち点チーム』を目指さなきゃいけないんだよ。

まあ、以前の「2ステージ制」とは違い、昨シーズンから始まった「今回の興行」では、シーズンが終了したとき、『年間最多勝ち点チーム』が一番エライってことになることだけが、救いかな。

ということで、その後のトーナメント(チャンピオンシップ)は、まさに「興行」。

そして「J」の歴史には、『年間最多勝ち点チーム』と『興行チャンピオン』の両方が刻み込まれる(刻み込まれなきゃいけない!)。そうじゃなきゃ、10年、20年後に、「昔」と比べられる、同じ基準のチャンピオンがいなくなっちゃうわけだからね。

だから、サッカー人だけじゃなく、読者の皆さんも、『年間最多勝ち点チーム』をイメージしてシーズンを楽しむべきだと思うわけなのですよ。

この「テーマ」については、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

そこでは、いかに(目的が歪んだ興行の!)2ステージ制が、世界の主流フットボールネーションが築き上げた「伝統」に逆行しているのかというディスカッションを展開しました。

============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





[トップページ ] [湯浅健二です。 ] [トピックス(New)]
[Jデータベース ] [ Jワンポイント ] [海外情報 ]