湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第32節(2017年11月18日、土曜日)
- 再びの神様ドラマが予感されたけれど・・フロンターレ選手の「自分たち次第」という強い意志に乾杯!!・・(フロンターレvsガンバ、1-0)
- レビュー
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- ・・あれだけ、100%のチャンスを創りつづけたにもかかわらず、あそこまで時間が経過してしまった・・
・・何か、典型的な神様ドラマだったルヴァンカップ決勝の再現を観ているような感じだった・・
・・でも、あの試合では負けたにもかかわらず・・この試合では、最後の最後まで諦めることなく闘って勝ち切った・・
・・わたしは、結果だけで、ゲーム内容を論評するのは愚の骨頂だと思っている・・
・・また、この試合で何度もあった、決定的チャンスが入らなかったという現象(結果)については、単に、ツキに恵まれなかっただけという側面があるとも思っている・・
・・ということで(長く語ってしまってスミマセン!)質問ですが・・
・・結果でしかモノを語らない「周りのノイズ」と、それに影響される選手たちの心情を、しっかりとロジックな(積極的な!?)感性ベクトルに戻すには、何がもっとも大事なのだろうか?・・
そんな、例によって長〜い質問に対して、フロンターレ鬼木達さんは、真摯に、こんなニュアンスの内容を、コメントしてくれた。曰く・・
・・ルヴァンカップ決勝の後は、たしかにチームの雰囲気は沈んでいた・・
・・でも選手たちの意志は、時間を置いたことも含めて、徐々に高まっていった思う・・
・・そして、リーグ優勝は奇跡の領域かも知れないけれど、でも結局は自分たち次第だと思い直し、そこでチームの雰囲気が高まっていったんですよ・・
・・私は、そんな心理、精神的なプロセスを経てたどりついたポジティブな気持ち(意識と意志)が、この試合の結果まで呼び込んだと思っているんです・・
そう・・、まさにおっしゃるとおり。
最後は、選手たちの、主体的でポジティブな自己主張の内実をアップさせていくしかない。
多くの賢人が異口同音に言っている。押しつけない忍耐こそが成功をもたらす。特に、創造性が求められるサッカーにおいては。
状況がギリギリであればあるほど、そこでの心理マネージメントで、もっとも大事なことは、忍耐なんだ。
アプローチされる選手の学習(心理)プロセスは千差万別でしょ。
だからこそ、監督は、明快な目標設定と最低限の個別指示、乞われた場合に出す核心のアドバイス以外は、選手たち自身による主体的な心理プロセッシング(学習プロセス)に託すのだよ。
鬼木達さんは、リーグ状況がギリギリまで切迫しているからこそ、選手たちに主体的に考えさせ、自分たちが追い求める目標と、必要なコトを明確に再認識させたっちゅうことだね。
そして今日、そんな(主体的な!?)心理・精神的プロセスの成果が現れた!?
私は、そう思っているんですよ。
それこそが、有能な心理マネージャーとしての鬼木達監督の真骨頂なんだろうな・・ってね。
ところで・・
それにしても、チャンスを潰しつづけたネ〜〜フロンターレ。
もちろんガンバGK東口順昭のスーパーセーブもあった。また、フロンターレの課題としての「決定力」という視点も、なきにしもあらず・・だった。
でも、やっぱり私は、ツキに見放された・・という見方の方を優先するわけですよ。
「あの」不運なシュートシーンに、戦術的な意味づけをしちゃ、いけない・・ってね。
あっと・・
戦術&心理ロジカルな「決定力」という視点では、「The Core Column」シリーズの記念すべき第1回目で、「こんなコラム」を発表したから、そちらもご参照下さい。
そう、ドイツサッカーが誇るレジェンド・スーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーの教え。
もう一つ・・言いたいこと。
それは、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションをベースに、「組織」と「個」が素晴らしいコラボレーションを魅せつづけるフロンターレのサッカーが、とても美しい・・という事実。
そう、美しく勝つサッカー。
もちろん「美しさのバックボーン」には、いろいろな種類がある。まあ、そのディスカッションについては、「こちらのコラム」も参照して下さい。
とにかく、人とボールが、スムーズに、大きく、そして人々の予測を超えるような「動き」をしたときに「も」人々は感動を覚えるということだね。
さて、雨も止んで、道路も乾いたから、このコラムをアップしてから、愛車で帰路につきます。
今日の夜中は、アルヒラル対レッズ。そして明日は、「J2」の、ヴェルディ対徳島。
勝負マッチの連続。いまから楽しみで仕方ありません。こうなったら、時差ボケには放っておいてもらいましょう。
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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