湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第4節(2017年3月18日、土曜日)
- 両チーム監督は、ホントに、とても良い仕事をしている・・(FC東京vsフロンターレ、3-0)
- レビュー
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- 「グループとして、しっかり闘えたと思う・・たしかにボールを支配される時間帯もあったけれど、それでも、実質的にゲームをコントロールしていたのは我々だった・・」
両チームともに「サッカー内容で最高レベル」のスーパー勝負マッチを制したFC東京の篠田善之監督が、そう胸を張っていた。
そう、まさに、その通り。
このゲームを心から楽しめていた私も、同じ印象をもっていたし、フロンターレの鬼木達監督も、同じようなニュアンスの内容をコメントしていたっけ。
それは、こんな感じ・・
・・途中からボールを「持たされている」という印象があった・・でも後半は、良くなったけれど・・
鬼木達さんは、私の質問に、そのバックボーンについて、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・立ち上がりは、とてもうまく人とボールが動きつづけた・・でも途中から、FC東京のディフェンスが、すこし我々に「間合い」を空けるようになったんです・・
・・そのことで、余裕をもち過ぎた選手たちの(そしてボールの!!)動きが、徐々にダウンしていったと思うんですよ・・
・・要は、FC東京のディフェンスが、とてもクレバーだったということなんでしょうが、だから、変な余裕によって、結局は足が止まり気味になってしまった・・
フムフム・・。
そうなんだよね。
要は、相手が、ボールを奪い返すために、シャカリキにプレスをブチかましてくるような状況では、フロンターレが志向する、人とボールを、素早く、広く動かしつづける組織サッカーが、とてもスムーズに機能するっちゅうわけさ。
そりゃ、そうだ。
相手が、シャカリキに協力プレスを仕掛けてきたら、そのプレスアクションを、スッ、スッと、ダイレクトパス・コンビネーションで「スマートにかわせ」るし、より効率的に、相手守備ブロックの背後のスペースで、仕掛けの起点(ある程度フリーでボールを持つチームメイト)を演出できる。
でも相手が、ガンガンとプレスを掛けてくるのではなく、状況に応じて「様子見」になって間合いをとってしまったら、調子が狂うんだよ。
要は、自分たちがイメージする人とボールの動きが、(その必要がないから!?)うまく回らなくなるっちゅうわけだ。
でも、そんなときにこそ、「個のドリブル勝負」が必要になってくるんだよ。
それが、後半に「修正」し、とても良くなったフロンターレの「組織と個のハイレベルなバランス」だったというわけだ。
そこでの彼らは、ダイレクトでの組織パスコンビネーションで「仕掛けの起点」を創りだし、そして躊躇せずに、ドリブル勝負を仕掛けていったんだよ。
まあ、それでも、あの(FC東京にとっての!)ラッキーゴールが決まってからは、気持ちが途切れ気味になってしまったけれど・・ネ(鬼木達監督の弁)。
まあ、とにかく、冒頭で形容したように、このゲームでは、二つの優れたチームが、最高レベルの勝負マッチを展開したんだよ。
そのことについては、読者の皆さんも体感したと思うけれど、そんな互角の勝負マッチだったからこそ、チト、点差が広がり過ぎたという印象はぬぐえないよね。
まあ、そこはサッカーだから・・。
それにしても、スーパー勝負マッチを制した篠田善之監督と、(内容的には!)まさに惜敗だった鬼木達監督は、とても良い仕事をしていると思うよ。
鬼木達監督は、先週のACLマッチレポートでも書いたけれど、風間八宏さんのサッカーを、より充実させる(進化&深化させる!)ベクトル上にあると思う。
まあ、「ワン・ツー・スリー・フォー」ってなリズムのダイレクトパス・コンビネーションでは、まだまだ不満ではあるけれど、それでも、後半のような、「組織と個」が、うまくコラボする高質サッカーは魅せてもらったし、 これからも、鬼木達監督の下で、まだまだ伸びると感じているわけさ。
また、「大型補強」を敢行したFC東京を率いる篠田善之監督も、加入してきた「力量ある」新戦力を、うまく「相乗効果ベクトル上」に、(ここまでは!?)上手く乗せられているように感じる。
それでも、まだまだ攻守ハードワーク(組織的な連動プレー)という視点では不安もあるけれど、それでも、ストロングハンド、篠田善之さんのことだから、浮き沈みプロセスのなかで、全体としてチーム力を高揚させてくれるでしょ。
とにかく、この両チームにも、大いに期待しましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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