湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2017年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第8節(2017年4月22日、土曜日)
- 立派な粘りサッカーを魅せたコンサドーレ・・立派に勝ち切ったレッズ・・(レッズvsコンサドーレ、3-2)
- レビュー
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- やっばり、スーパーコンビュータ「京」はホントに素晴らしい。
気象庁の予報どおり、東京都に入ってから雨に降られたんだよ。近頃、その予報の精度は、大きくアップしているという実感があるんですよ。
私は、単車で移動するのが常。だから、いつも「京」の天気予報に頼り切っているのです。
その今日の予報・・
「京」さんは、3時を過ぎてから、埼玉から東京にかけて、かなり高い確率で雨になる・・という予報を出していた。まあ弱い雨・・。
だから、行きの天気は完璧だから・・と、「エイヤッ!」と、愛車にまたがった次第。
そうなんだよ。「京」さんのことは、信頼しきっているから、初めから、帰りに濡れるのは仕方ないと、覚悟して出かけたっちゅうわけさ。
とはいっても・・
そうなんだよ。自分が濡れるのは問題ないけれど、単車がドロで汚れるのはイヤだから、かなり気持ちが沈んだ状態で帰宅したっちゅう体たらくだったんだ。
でも・・
そう、今日の勝負マッチのコトを考えはじめたら、そんなネガティブ感覚は、すぐに吹き飛んだ。レッズが、相変わらずの素晴らしい組織サッカーで、勝ち点を積み重ねたしね。
ただコラムの導入部は、これまた素晴らしい闘いを披露したコンサドーレから・・
とにかく、コンサドーレが魅せた立派なサッカーは、とても印象的だったんだ。
その事実も、このゲームの印象を、とても「締めたモノ」にしたということだね。
だからこそ、見終わったときに、ものすごく清々しい感覚に包まれたっちゅうわけさ。
そのコンサドーレ・・
特に、リードされて迎えた後半の「積極サッカー」は、インプレッシブの極みだった。
効果的な協力プレス、ボールを奪い返し、攻守をスムーズに切り替えながらの「人数をかけた」勇気ある仕掛け。
私は、監督の四方田修平さんに、心からの拍手をおくっていた。
コンサドーレは、勇気をもって積極サッカーをブチかませば、相手がいくら強くても、互角に近いサッカーを展開できる。そのことは、ここまでの戦績と「その内容」に如実に現れている。
でも、逆に(四方田さんも言っていたけれど・・)、前に人数を「かけ過ぎ」たら、相手のカウンターに沈められてしまう確率が高まってしまう。
さて〜〜っ・・ということで・・
このテーマについては、昨日の「J_リーグコラム」も参照して欲しいですね。対戦カードは、フロンターレ対エスパルスだった。
その試合について書いたコラムのタイトルは、「戦術サッカーと解放サッカーをうまく使い分けられるようになれば・・」。興味があれば、ご一読アレ。
あっ、そうそう・・
もう一つ、コンサドーレについて語りたいコトがあったっけ。
それは、彼らが魅せつづけた高質な「粘りディフェンス」。そう、強烈な意志のプレー。
その意味は、ボールがないところでの守備プレー(マーキングやインターセプト、そして協力プレス等など)と、言わずもがなの、ボールをめぐる「局面デュエル」・・等など。
彼らは、その内実でも、特筆モノのパフォーマンスを魅せつづけたんだ。
そして、ここからレッズのハナシに入っていく・・
そう、だからこそ、そんな立派な(強烈な意志の!!)ディフェンスを打ち破って、何度も(決定的)スペースを攻略し、ゴールチャンスを創りだしつづけたレッズの組織サッカーに対する信頼感が深まったというわけなんだよ。
決して私は、レッズやミハイロに対して「甘い評価」をしているわけじゃありませんよ(この点については、自信をもって、限りなくニュートラルだと自己分析できる!!)。
そうではなく、彼らが魅せつづける、ダイレクトパスを織り交ぜた、組織的なコンビネーションサッカーの「質」が、ものすごく高くなっていると体感(実感)しているんですよ。
そう、(決定的な!)スペースを攻略していく、高質な組織サッカー。
人とボールが活発に「動き」つづる組織サッカーだからこそ、最終勝負シーンでは、個の才能が、最大限に活かされもする。
そう、自身も組織コンビネーションの流れに効果的に乗りつづける「個の才能」連中だからこそ、より良いカタチで(決定的スペースで!)ある程度フリーでボールを持てるんだよ。
そして、だからこそ、より効果的にドリブル勝負「も」ブチかましていける。
そうそう、ミハイロが、そんな「組織サッカーのメカニズム」を講釈しているなかで、こんな興味深いハナシ「も」披露したっけね。
例えば、トレーニングにおいて関根貴大が、スーパーなドリブルシュートを決めたシーンを思い浮かべて欲しい。
そんなときミハイロは、すぐに誉めたりはしない。
そうではなく、彼は、すぐに関根貴大に対して、そのゴールシーンの「周り」で、より有利な体勢でパスを待っていた興梠慎三が見えていたかどうかを確認するんだよ。
見えていたら、それは、それで素晴らしい勝負プレーだから褒め称える。
でも、「見えていなかった」ら、逆に、反省を求めるというんだ。
このハイレベルなディスカッションは、私のドイツ留学時代でも頻繁に交わされていたっけ。
例えば、ドイツサッカー史に燦然と輝くスーパー・プロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーは、そのテーマについて、こんな言い方をしたことがあった。
それが、コスいんだよ・・
例の「ダミ声」で・・
・・うまくいったとき(ゴールが決まったとき)は、ヨ〜〜シッって誉めりゃいい・・でも失敗したら、フリーのチームメイトが見えてなかったことを指摘するんだ・・
・・まあ、サッカーは、理不尽なものだからな・・
そんなヘネスに対して、レッズ監督ミハイロ・ペトロヴィッチは、結果にかかわらず、「気付かせる」コトを優先するという。
もちろん、そのトレーニング(指摘の)姿勢には、勝負の瞬間に「逡巡するようになってしまう・・」かもしれないという危険性は潜んでいる。
でも逆に、トレーニングにおいて成功(ゴール)したからこそ、余裕をもって、別の可能性「も」視野に入れることの重要性を、心から(より効果的に!?)体感し、脳内のイメージタンクに収納できるかもしれない。
まあ、レッズの場合は、この試合で証明したように、ダイレクトパスのタイミングで、ボールがないところの3人目、4人目フリーランナーが動きつづけている・・という事実から、ミハイロの哲学が、とても大きな効果を発揮していると高く評価するのがフェアだろうな。
それも、これも、「美しく勝つサッカー」へ向かうプロセスを構成する、とても重要な「心理マネージメント・コノテーション」っちゅうことだね。
ちなみに・・
すべてのサッカー人が目標とすべき、「美しく勝つサッカー」というテーマについては、「The Core Column」で発表した、「このコラム」や、「あのコラム」もご参照ください。
では今日は、こんなところで・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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