湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第21節(2018年8月11日、土曜日)

 

「J1の定着グループ」のなかで、「普通に強いチーム」と呼べるまでに成長しているベルマーレ・・(ベルマーレvsマリノス、0-1)

 

レビュー
 
・・我々は、しっかりと「ゴール機会」は創りだせていた・・

・・たしかに決め切れなかったけれど、決定力というのは、また別のテーマかもしれない・・

・・とにかく、いまチームが順調に成長しているという実感があるんです・・

・・今日の気候条件は、とんでもなく高温多湿だったじゃないですか、それでも我々は、攻守にわたって、全力スプリントを繰り返しました・・

・・たぶん数字的にも、この気候条件を考えれば、大いに満足できるモノだったと思いますよ・・

・・とはいっても、あれほどのゴールチャンスを創り出しながら・・

・・あっ・・それは、タラレバでした・・

(最後の1行は、筆者のでっち上げ脚色でした〜〜・・へへっ・・)

ということで、このコラムのテーマだけれど・・

それについては、ベルマーレが、「J1の定着グループ」のなかでも「普通に強いチーム」と呼べるまでに成長している・・っちゅう事実にスポットを当てたいね。

チョウ・キジェも、そのテーマについて、こんな言い回しをしていたっけネ。

・・今日ベルマーレは、美しいプロセスをベースにしたチャンスメイクを魅せたわけですが・・

・・でも私は、そんな「美しいプロセス」とは無縁の苦しい歴史を知っているんですよ・・

・・だからこそ、いまのチームの成長の内実を、隅々まで実感できるんです・・

いいね〜、チョウ・キジェ。

そして私も、ゲームを観ながら、同じコトを考えていたっちゅうわけさ。

まあ、このテーマについては・・

そう、「攻守ハードワークとリスクチャレンジあふれる積極的な攻撃サッカー・・」なんていう、ベルマーレ賞賛の常套句だけじゃなく・・

それに、「攻撃での創造性レベルも格段にアップしている・・」なんていう前向きな表現も付け加えなきゃいけないよね。

そう、仕掛けプロセスにおける、「主体的にアタマのなかにイメージ」するコノテーション(言外に含蓄される意味)が、どんどんと深まっているって感じるんだよ。

だから、こんな質問を投げた。

・・後半には、何度か、とても実効レベルの高いコンビネーションシーンがあった・・

・・そう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・

・・最前線スピアヘッドへの、強烈なタテ(足許)パスをスタートラインに、そこから、そのタテパスをスルーして後方の味方へ送ったり・・

・・次のレシーバーが、ダイレクトで、上がってきた別のチームメイトにパスを回したり・・

・・そこでの、人とボールの動きが、とてもスムーズで素早いからこそ、相手ディフェンスは、うまく対応できない・・

・・そして、そんな人とボールの動きの最後に、まったくフリーで走り込んできた(例えば逆サイドから!!)味方に、合わせちゃったりする・・

・・普通だったら、味方でも、まず「動きの展開」を見極めようとするじゃないですか・・

・・でもベルマーレのコンビネーションじゃ、ホールがないところでの動きに迷いがない・・

・・そんなコンビネーションは、見応え十分だったのですが・・

・・そのバックホーンについて、語ってくれませんか?・・

そしたら・・

・・実はわれわれ、基本的に、攻撃のトレーニングしかやっていないんですよ・・

・・もちろん、ステレオタイプ的なものじゃなく、選手たちが、しっかりとイメージし、それをシンクロさせ、主体的に応用していけるようなトレーニングですよね・・

・・もちろん、こちらもアドヴァイスはするけれど、結局は、選手たち自身が、考え、勇気をもって決断して実際のアクションにつなげていかなきゃ、何も生み出せませんよね・・

・・だから、ボールがないところでの決定的な動きにしても、具体的なイメージの描写を積み重ねていることの成果とも言えるんでしょうね・・

フムフム・・

まあ、ストロングハンド、チョウ・キジェのことだから、自由と規制という、ある意味で背反する(心理)マネージメント要素を、できるかぎり高みでバランスさせているはず。

あっと・・

この場合の「規制」の意味ニュアンスだけれど・・

ある程度のカタチ(チョウ・キジェの仕掛けピクチャー!?)をベースにした選手たちの応用イメージングと、その内容を、チーム内で、うまくシンクロさせるという目標設定・・ということかね。

まあ、選手たちは、チョウ・キジェのことを、よく理解し、信頼しているだろうから、「自由」を成り立たせるためのバックボーンについても、しっかりと考えを巡らせているでしょ。

まあ・・ネ・・

突き詰めたら、その「自由」は、結局は「勇気」という根源ファクターに行き着くよね。

またまた、ニーチェ・・

・・名声を失ったら、努力して創り直せばいい・・カネを失ったら、稼ぎなおせばいい・・でも、勇気を失ったら、生まれてきた意味(価値!?)がない・・

フムフム・・

ということで、ベルマーレが、とても良くなっている・・というテーマでした。

あっと・・

チョウさんは、「攻撃のトレーニングしかしていない・・」なんて言っていたけれど、もちろん「それ」は、同時に、ディフェンスの「創造性トレーニング」でもあるわけだから・・

・・決して偏って理解しちゃ、ダメですよ・・へへっ・・

ということで、マリノス・・

彼らも、(ポステコグルーが言っていたように)たしかに前半25分を過ぎたあたりから、サッカーが良くなっていったよね。

サッカーが良くなっていった・・!?

もちろん「その現象」は、ディフェンス(ボール奪取プロセス)が、より積極的になることで、ゲームを「より」着実にコントロールできるようになる・・っちゅうことだね。

そのマリノスだけれど、「唐突な」決勝ゴールを奪ってからは、攻撃の内実も、より「大胆」になっていったとも感じられたよね。

要は、攻守にわたるリスクチャレンジ姿勢もアップしていった・・っちゅうことだね。

だからこそ、ボールがないところでの動きの量と質もアップし、より効果的にスペースも攻略できるようになった・・っちゅうこと。

ところで・・

ポステコグルー率いる今シーズンのマリノスが、ポジティブな「イメチェン」を果たした・・という事実に異論を唱える方は、少ないに違いありません。

とはいっても、ポステコグルーのイメージする攻撃的なプレッシングサッカーを実践していくのは、いまの「酷暑」じゃ、とても厳しい。

だから、今は、様々な意味を内包する「バランス感覚」を研ぎ澄ませている・・っちゅうことなんだろうね。

でも・・

そう、そこはサッカー・・

そんなふうに「色々なコトを考えてバランスを執ろう」なんていう姿勢でプレーしたら、このゲームでの前半立ち上がりのように、完璧に「後追い」になってしまうのがオチなんだよ。

イレギュラーするボールを足で扱う、不確実なファクターが満載のサッカー。

だからこそ、最後は、「自由」にプレーせざるを得ない。

そしてだからこそサッカーは、究極の「意志のボールゲーム」なんだ。

ということで、私が、W杯決勝でフランスが執った「戦術(規制)サッカー」を好きになれないことはご理解いただいてますよね。

また、だからこそ私は、リスク要素が満載の「積極的な攻撃サッカー」で、いかに「勝てる可能性をアップさせるのか・・」っちゅう創造性テーマに没頭するのさ。

何度も書くけれど、サッカーから「自由」だけじゃなく、「美しさ、楽しさ」も抜け落ちたら、それは、もう「何かの抜け殻」にしか過ぎないんだよ。

いくら「それ」がリスキーだからといって、勝つこと「だけ」に執着したら、それはサッカーじゃなくなっちゃうというわけさ。

だから・・

「すぐに忘れ去りたいウィナーがいる・・逆に、記憶に留めおきたいルーザーがいる・・」ってなコラムを発表したりしちゃう筆者なんだよ。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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