湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第23節(2018年8月19日、日曜日)
- ベルマーレの進化は止まらない・・だからこそ、内容と結果を、このサッカーのベクトル上で整合させて欲しい・・(ベルマーレvsヴィッセル、0-2)
- レビュー
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- ・・この「壁」は、かならず、突き破ります・・
・・期待していてください・・
チョウ・キジェの会見で、彼が最後に述べたエネルギッシュな言葉でした。
いいね〜〜・・
というこで、このコラムでは、その「壁の内実」にスポットを当てようかな・・
要は、あれほど良いサッカーを魅せているベルマーレが、結果を残せていない(例えば、この2週間での3連敗など!?)という「現実の壁」のことだね。
そう、サッカー内容と結果の「相克」。
いや、「相克」ではないよね・・
そうではなく、「両立」。
そう、いかに、積極的な(美しい!)攻撃サッカーで、勝てる可能性を極大まで引き上げていくのか・・っちゅうディスカッションこそが本質だよね。
このところ、W杯も含めて、そのテーマを中心に、考えを集約させようとしていたんだっけ・・ネ。
あっと・・
前述した、「ベルマーレの良いサッカー」という表現の意味合いだけれど・・
もちろんボール奪取プロセス(積極的なプレッシング守備)は、えも言われぬほど素晴らしく(美しく)機能しているから、ここでの「良い」は、攻撃だよね・・
そう、彼らの仕掛けは、これまでとは段違いに進化、深化しているんだ。
ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションと、個のドリブル勝負・・
そんな仕掛けプロセスを、高い次元でバランスさせながら、効果的にスペースを攻略し、可能性の高い「ゴール機会」を創りだしつづけているんだよ。
以前のベルマーレは・・
たしかに、攻守ハードワークとリスクチャレンジという視点では、抜群のダイナミズムを放散しつづけていた。
でも・・
そう、ボール奪取プロセスも含めたゲームドミネーション(支配)や、仕掛けプロセスでの「スペース攻略」という視点では、まだまだ課題が山積だったんだ。
でも今は・・
そう、明らかなポジティブイメチェンのまっただ中・・
そんなベルマーレの進化に関する基本的な「視点」については、前回マリノス戦のコラムを、ご参照あれ。
そう・・
・・J1定着グループのなかで、「普通に強いチーム」にまで成長しているベルマーレ・・
・・っていう視点。
だから、このゲーム結果に、「気持ち悪いネ〜〜・・ホントに・・」っちゅうネガティブ感性ばかりが増幅されてしまったんだ。
まあ、ベルマーレのホームゲームで、2試合もつづけて、こんな「悔しい」敗戦を体感させられてしまったわけだから・・さ。
とにかく、ゲーム内容では、完璧にベルマーレが支配しつづけ、繰り返し、スペースを攻略するカタチで決定的チャンスを創り出しつづけたんだよ。
でも・・
もちろん、ヴィッセル守備が、とても粘り強く、「最後の半歩を繰り出し」つづけたことは立派な事実だし、賞賛に値する。
でも、それにしても、「あの」ベルマーレの効果的なチャンスメイクが、一つもゴールにならなかったことに対する悔しさは、つのるよな。
フ〜〜ッ・・
ということで・・
チョウ・キジェが、この「壁」を、どのように破っていくのか・・
彼の、心理マネージャーとしてのウデに注目しましょう。
とにかく、いまのベルマーレは、ホントに、「本格的な強さ」を身につけ始めているわけだから・・さ。
_______
あっと・・
世界のスーパースターが加入したヴィッセルについても簡単にコメントしておきましょうか・・
それにしても「あの二人」は攻守ハードワークをやらないね。
でも、「ツボにはまった」ら、もちろん世界のプレーをブチかます。
それは、次元を超えているし、ちょっとしたことでゴールに結びついちゃう。
先制ゴール場面では、イニエスタの、長沢駿への正確なロビングパスが、三田啓貴のドリブルシュートを呼び込んだし、追加ゴール場面では、ルーカス・ポドルスキーのの爆発ドリブル&シュートが全てだった。
そんな次元を超えた世界のプレー。
でも、「日常のチームプレー」という視点じゃ、明確な「お邪魔虫」に、成り下がっている。
さて〜〜・・
ヴィッセルの吉田孝行は、頭脳明晰なプロコーチだよね。
だから、うまく「解」を見出すとは思うけれど・・
でも、「今のまま」じゃ、ヴィッセルの組織サッカーが崩壊するのは目に見えている・・と感じる。
ということで「解」・・
もちろん、その大前提は、ルーカスとイニエスタに「攻守ハードワーク」を期待しない・・ということで、チームが納得することだね。
それは、一人ひとりの攻守ハードワークの量が増えることを意味する。
だからこそ・・
そう、チームメイトは、この二人のレベルを超えた「天才」を、うまく活用しようという意志をもたなければならない・・と思う。
そのために・・
そう、彼らは、この二人の「攻撃のイメージング内容」を、しっかりと「イメージング」できていなきゃいけないんだよ。
・・いつ、どんなカタチでボールを渡すのか(彼らにボールを持たせるのか!?)・・
・・そこで、どのように仕掛けパスを受けるために動くのか(パスレシーブの動き出しの内実)・・
・・彼らの勝負ドリブルを引き出すために、動きを工夫する(タテ方向にスペースを創りだすように工夫したフリーランニングを仕掛ける!?)・・
・・等など・・
まあ、いまのところは、周りのチームメイトたちの「攻守イメージングの内容」は、この二人の「天才」の内容と、うまく噛み合っていないよね。
だから、二人がボールを持とうとしても、「狙われて」潰されるシーンが続出しちゃう。
またパスにしても、次のパスレシーバーの動きが分かりやすいから、「そこ」で潰されてしまう。
とにかく、この試合では、ゴールシーン以外で、彼らの「存在意義」が光ることは、なかった。
とても、残念ではあったよね。
とにかく、とても聡明な吉田孝行さんのことだから、何とか、チームメイトたちの「前向きな納得と、自身のプレー内容を世界の天才にシンクロさせる努力」を引き出せると思う。
ヴィッセルのサッカーを観ながら、そんな興味も湧いてきたっけネ。
ということで、このゲームについては、こんなところです。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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