湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第26節(2018年9月15日、土曜日)

 

ちょっと(ゲーム運びの)柔軟性を魅せたフロンターレ!?・・そして百戦錬磨ミハイロの素敵なコメント・・(フロンターレvsコンサドーレ、7-0)

 

レビュー
 
・・ゲームの立ち上がりは、何点とられてもおかしくない展開だった・・

・・ただ、そこで「我慢」ができたからこそ、結果につながったと思う・・

記者会見で、鬼木達さんが発した(確信の!!)弁でした。

そう、まさに、その通り。

その「我慢」のコノテーション(言外に含蓄される意味)だけれど・・

もちろん、しっかりと守備ブロックを構築し、忠実に、クリエイティブに(予測ベースで!)、ボール奪取プロセスをブチかましつづけるという「地道なディフェンス」のことだよ。

サッカーは、すべてが、ボールを奪い返すところから始まるんだ。

そんな、立ち上がりの(フロンターレにとっての!)我慢の時間帯・・

ミハイロ率いるコンサドーレが、ゲームを完璧に牛耳っている。

それだけじゃなく、荒野拓馬が2本、チャナティップが1本と、まさに決定的な「ゴール機会」までも創りだしてしまうんだ。

それが、冒頭の鬼木さんコメントのバックボーンにあったっちゅうわけさ。

もちろん私は、そんな、立ち上がりのコンサドーレが魅せつづけた積極的な攻撃サッカーに舌鼓を打っていた。

そして心のなかで・・

「ホントにミハイロは、良い仕事をしている・・」って拍手していたっけ。

私は・・

そんな、立ち上がりフロンターレの「重いサッカー」を観ながら、すぐに、ルヴァンカップのアントラーズ戦(第二戦)を思い出していた。

でも・・

そう、この試合でのフロンターレは、「ハーフタイムの奇跡」を待つまでもなく、選手たち自身で、ゲームの流れを「ポジティブ」に変容させていったんだよ。

私は、そのキッカケになったはずの「闘う意志の炸裂」を感じていた。

そして、その「炸裂」によって、先制ゴールと、その2分後の追加(突き放し)ゴールが生まれたっちゅうわけさ。

それは、ものすごいレベルの「闘う意志」によるボール奪取。

そう、両ゴールともに、高い位置でボールを奪い返せたことで生まれたんだ。

その主役は、中村憲剛と家長昭博。

彼らは、相手の人とボールの「次の動き」を鋭く「読んで」、抜群のボール奪取アタックをブチかましたんだ。

たぶん・・

二人とも、それまでのゲームの流れが、まったく「自分たちのモノ」ではないことにフラストレーションを溜めていたに違いない。

だから、「何とかしなきゃっ!!」ってな感じで、闘う意志を、極限までアップさせていた(=それこそが、セルフモティベーション能力!!)に違いない。

それが、「あの」素晴らしいタイミングと、スキルフルなボール奪取アタックにつながった。

「あの」高い位置での、素晴らしいタイミングと状況でのボール奪取だったからね・・

フロンターレが秘める、効果的な(ショート!?)カウンターをマネージする才能が、見事に弾けつづけるのも道理っちゅうわけさ。

そんなフロンターレに対し・・

ミハイロ率いるコンサドーレは、もちろん、失点にめげることなく、よりダイナミックに押し上げ、リスクチャレンジをブチかましつづけたっちゅうわけだ。

そして・・

帰宅してから、すべての7ゴールを見返してみるけれど、イメージ的には、ほとんどが(ショート気味の!?)カウンター状況だったと思う。

もちろん、その絶対ベースは、良いタイミングとポジションのボール奪取と、タテへの素早く正確な仕掛け(フィード)だよね。

そのタテへのフィードでも、フロンターレは、とても長けているんだよ。

この試合でのフロンターレは・・

ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを基盤にする積極的な攻撃サッカーで、ゲームのイニシアチブを掌握してしまうようなゲーム運びではなく・・

どちらかといったら・・

守備ブロックをしっかりと構築し、(もちろん下がり過ぎるのではなく!)ポジショニングオリエンテッドな(ボールオリエンテッドな!)ボール奪取プロセスを展開していたんだよ。

そして・・

そう、前述したように、相手のボールの動きを、狙い目のゾーンへ「誘い込む」ようにコントロールしながら、とても効果的にボールを奪い返していた。

そして、言わずもがなの、タテへの仕掛けパスやドリブル勝負をベースにした必殺カウンターで得点を重ねていったっちゅうわけだ。

フロンターレは、ホントに素晴らしい結果を引き寄せたよね。

これで、(今日負けた)サンフレッチェとは、実質的に「1ゲーム差」というところまで迫れたし、得失点差も「1差」まで詰めちゃった。

これから、苛烈な優勝争いが繰り広げられる・・

楽しみで仕方なくなったじゃありませんか・・

最後になったけれど・・

簡単に、ミハイロ・ペトロヴィッチの会見も振り返っておきます。

様々な視点で、素晴らしい会見だったと思うから・・ネ。

ミハイロは歴戦の勇士。ホントに、数限りない「修羅場」を体感しているんだ。

もろちん、こんな大敗マッチも含めて・・ネ。

だからこそ、「その大敗の内実と意味するところ」をしっかりと理解しているし、そんな状況で、どのように選手たちやメディアに接するかも、心底、分かっている。

決してネガティブにならず、ゲーム展開の内実をしっかりと理解するなかで結果を受け容れ、それから目を逸らすことなく、次の進化と深化のリソースにするんだよ。

そう、それこそが、真の学習機会っちゅうわけだ。

そうそう・・

ミハイロは、こんなニュアンスの素敵な内容もコメントしていたっけね。

・・サッカーでは、何が正しく、何が間違っているかなんて、軽々にディスカッションできない・・

・・その意味も含めて、チーム一丸となって、一つの(チームのリーダーが志向する!?)ベクトル上を全力で突き進むことこそが大切なんだ・・

・・いま我々は、常に攻撃的にチャレンジしつづけている・・

・・もちろん、これからも、結果にかかわらず、そのベクトル上を突き進む・・

・・選手たちも、心底、その方向性を正しいと感じているはずだし、だからこそ強くモティベートされている・・

・・そして、だからこそ、うまくいくし、必ず結果もついてくるんだ・・

このテーマについては、「The Core Column」で発表した「このコラム」をご参照あれ。

そう、「美しく勝つサッカー」というテーマ。

ということで、今日は、このあたりで・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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