湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第5節(2018年3月31日、土曜日)

 

優れたプロコーチ、城福浩にも乾杯!!・・(フロンターレvsサンフレッチェ、0-1)

 

レビュー
 
・・我々の、新シーズンへ向けた活動のスタートは遅かった(城福さんの契約タイミングが遅れた!?)・・

・・そんな、与えられた時間が少ないなかで、リーグ戦立ち上がりでレッズやアントラーズといった強豪とぶつからなければならなかった・・

・・だから、「まず」守備からチーム作りに入っていった・・

・・でも、そんな強豪との競り合いを切り抜けたことで、我々が志向するムービングフットボールを目指せるようになった・・

・・だから今は、攻撃のトレーニングを主体にメニューを考えている・・

・・選手たちにも、常日頃言っているのだが・・

・・我々は、自分たちが主導権(ゲームのイニシアチブ)を握るムービングフットボールを、この一年間の目標に設定している・・

いいね〜〜、サスガ、城福浩。

私の質問は・・

・・シーズン当初のレッズ戦では、うまく攻撃を組み立てられなかったが、このゲームでは、相手がチャンピオンであるにもかかわらず、立派な攻撃サッカーを魅せた・・

・・たしかに「ゴールゲット機会」は限られていたけれど、その攻守ハードワーク満載の攻撃的なプレー姿勢は、とてもインプレッシブだった・・

・・わたしは、そんな、攻守にわたる攻撃サッカーが進化しているのは、やはり、積極的にボールを奪いにいく攻撃的ディフェンスが絶対的バックボーンだと思っているのだが・・

・・ってなことだったけれど・・

要は、優れた、攻撃的な組織(連動)ディフェンスができていれば、自然と、次の攻撃での「ボールがないところでの動きの量と質」もアップしてくるでしょ・・っちゅうニュアンスだったんだよ。

ボールがないところでの動きの量と質がアップしてくれば、自然と、ボールまわりで数的に優位なカタチができる。

そんなカタチは、攻撃的に「前からプレス」をブチかましていければ、自然の流れで構成できてくる・・っちゅうニュアンスだった。

それでも・・

そう、そんなふうに攻撃的に「前で勝負」を挑めば挑むほど、次の守備でのリスク要素が拡大していくよね。

例えば・・、人数を掛けて仕掛けている「前方ゾーンの味方選手たち」を、相手の次の攻撃で「置き去り」にされてしまうようなカウンターシーンでは・・。

その視点で、わたしは、アンカーの青山敏弘だけじゃなく、彼のパートナーである稲垣祥にも大注目していたんだ。

この試合での彼は、素晴らしくクリエイティブな「汗かきスーパーマン」だった。

今野泰幸に、優るとも劣らない(!?)・・なんて書くと、言い過ぎだろうか??

いや、今日の彼のパフォーマンスを観ていれば(特に、フロンターレのカウンターを全力で追いかける汗かきアクション!!)、そんな評価が順当だと思えてくる。

ということで・・

そう、城福浩は、例によって、ものすごくよい仕事をしている・・ということが言いたかった。

レッズ戦での「サッカーの内実」から、チト心配していたけれど、ここにきて、攻守ハードワークがものすごく充実した「本物のムービングフットボール」が機能しはじめている・・と感じる。

対するフロンターレだけれど・・

もちろん、例によって、高みで安定した、高質なサッカーを魅せてくれたし、何度か、ヘディングやミドルなど、決定的な「ゴールゲット機会」も創りだした。

でも・・

そう、そんな強豪フロンターレに、優るとも劣らないサッカー内容のサンフレッチェだったんだよ(まあ、ゴールチャンスの量と質では少し劣るかな〜〜・・へへっ・・)。

そのサンフレッチェだけれど・・

前述したように、イニシアチブ掌握のベースとなった守備が素晴らしかった。

何せ、「あの強力な仕掛け」のフロンターレを「順当に」抑え切ったんだからね。

要は、フロンターレの真骨頂である、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを、サンフレッチェ守備が、優れた「イメージング」で抑え切った・・ってなディスカッション。

そう、彼らは、フロンターレが繰り出す「華麗なボールと人の動き」を、次、その次と「読み切って」先回りしちゃううんだよ。

私は、青山敏弘を中心にした、そんなサンフレッチェ守備ブロックの「イメージング(読み)」に舌鼓を打っていたんだ。

もちろんフロンターレとしては・・

大久保嘉人やエウシーニョ、家長昭博といった「個の才能」による局面勝負に期待が高まったわけだけれど、その局面デュエルでも、サンフレッチェ守備は、まったく引けをとらなかった。

まあ、立派な、「美しく勝つサッカー」ではあった。

ところで・・

今シーズンのリーグを盛り上げているチームを見渡してみたら・・

「ゲームのイニシアチブを奪い取る・・」という、積極果敢で、勇気あるリスクチャレンジャーとしての姿勢を前面に押し出すチームが増えていることが分かるじゃありませんか。

・・ミハイロ・ペトロヴィッチ率いるコンサドーレ、渡邉晋がリードするベガルタ仙台、ポステコグルー率いるマリノス・・

・・もちろん、レイソル、レッズ、フロンターレは言うに及ばない・・

・・また、ここにきて、アントラーズ(彼らのイメチェンについては「このコラム」をご参照あれ)、そして城福浩が率いるムービングフットボールのサンフレッチェといったクラブも存在感をアップさせている・・

観ている方々も、そんな、プロサッカーという「際ビジネス」の主役である個人事業主たちの「姿勢の変化」を感じられているはず。

そりゃ、そうだ。

何せ、結果「だけ」を追い求めるサッカーほど詰まらないモノはないからね。

やっぱりサッカーでは、美しく勝とうしなきゃ、ホンモノの自由を謳歌できないんだよ。

そう、そこには、選手にとっても、観る方にとっても、楽しさと感動があるからね。

今日は時差ボケがヒドイ(昨夜、帰国)。

・・ということで、今日は、このへんで失礼しま〜す。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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