湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2018年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第6節(2018年4月7日、土曜日)
- 大岩剛、チョウ・キジェという、スーパーな個人事業主チャレンジャーに乾杯!!・・(ベルマーレvsアントラーズ、2-1)
- レビュー
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- ・・いまは、うまく、冷静になってコメントできるかどうか・・
・・でも、まあ・・
・・たしかに今の我々は、おっしゃるような変化(進化&深化!?)を志向しています・・
私の質問に、アントラーズ大岩剛監督が、絞り出すように、そんな言葉を紡(つむ)いでいったけれど、たしかに「あんな」結末だったから、ちょっとキツかったかもしれないね。
スミマセンね、大岩剛さん・・。
そうなんだよ。
ベルマーレが、全体的には押され気味で、何度か決定的ピンチを迎えたにもかかわらず、強烈な意志と集中力をもって守り切り、最後の最後に(後半ロスタイムが終了する直前!)、これ以上ないほど劇的な決勝ゴールをブチ込んだんだ。
それも、ブチ込んだのは、スリーバックの一角を占める山根視来だったんだぜ。彼にとっての、リーグ初ゴールだって・・サ。
フ〜〜ッ!! まあ、それもサッカー・・。
そんな経緯だったから、アントラーズ大岩剛監督だって、私の質問に応えるための平常心を保つのにチト時間が要ったのも道理だった。
でも彼は、少しの間をとりながら、エンスージアスティックに、応えてくれたんだよ。
感謝・・
そこで彼は、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・やろうとしているコトは、湯浅さんがおっしゃるとおりだと思います・・
・・でも、この試合では、やろうとしていたことと、自分たちが出来たことのギャップはあったんですよ・・
・・たしかに今は、ケガ人や出場停止など、さまざまなネガティブ要素が、タイミング悪く重なってしまっている(特に、レオ・シルバの欠場は痛い!?)・・
・・それでも我々は、いま志向している路線に、しっかりと実を詰めていくつもりです・・
・・たしかに、上手くいかないときもあるし、チャンスをゴールに結びつけられないゲームがつづくことだってある・・それでも我々は、しっかりと継続していく覚悟です・・
そう、「継続こそチカラなり・・」なんだよ。
ところで・・私の質問だけれど・・
そのバックボーンをご理解いただくために、まず「このコラム」をご参照いただければ幸いです。質問では、そのベースに、こんな視点を追加しました。
・・いまのアントラーズは、大きなイメチェンの最中にあると思う・・
・・そう、素晴らしくアグレッシブなサッカーを志向していると思うんですよ・・
・・それを表現する手段として、ここでは、二つの視点をビックアップしたい・・
・・一つは、より高い位置でボールを奪い返そうとする(イメージがシンクロしていることで効果的に連動する!?)積極ディフェンス・・
・・そして二つ目が、次の攻撃で、以前とくらべて少なくとも「0.5人」、多ければ「2人」がプラスして、後方からサポートに上がっていくという視点・・
・・攻撃に、そんな厚みがあるからこそ、金崎夢生にしても、レアンドロにしても、はたまた鈴木優磨や土居聖真にしても、組織コンビネーションだけじゃなく、個のドリブル勝負「も」、より効果的にブチかませるようになっている・・
・・そんな、アントラーズのイメチェン・・
・・個のチカラの単純総計という意味でのチーム総合力では、リーグ随一のアントラーズ・・
・・だからこそ、もし今の路線(美しく勝つサッカー!!)を拡充していけば、誰もがレスペクトし、憧れ、目指される存在として日本サッカー史に残ると思うのだが・・
そこまで聞いていた大岩剛監督。
心を落ち着かせるように、少しの間を置きながら、まず、冒頭のコメントから入ったっちゅうわけさ。
そうね・・たしかに・・無理もない。
とにかく、いまの大岩剛アントラーズ「も」支持していることが言いたかった。
ということで・・
鹿島は遠いけれど、たまには、気合いを入れて観にいくことにしま〜す。
さて・・
これ以上ないほど劇的な勝利を掴んだベルマーレ。
皆さんもご存じのように、私は、チョウ・キジェのサポーターでもあるけれど、この試合に限っては、その決勝ゴールを観ながら、チト複雑な心境にさせられてしまった。
もちろん、チョウ・キジェに対して、心から祝福はしたけれど・・サ。
そう、彼らは、アントラーズに試合をドミネートされ(主導権を握られ)何度かの決定的ピンチにも遭遇したんだよ。
もちろんベルマーレも、セットプレーやカウンター、はたまた組み立ての流れのなかから決定的なカタチを創りだしたから、「You deserve it !!」ってな勝利ではあったわけだけれど・・。
私は・・いったい何を書こうとしているんだろ??・・
あっ・・そうそう・・
言いたかったのは、ベルマーレが魅せた、主導権を握られたゲームでの「しのぎの内実」が、とても進化しているっちゅうポイントだったっけ。
彼らは、主導権を握られていても、決して慌てず、騒がず、ものすごく冷静で効果的、そしてエネルギッシュな「粘りディフェンス」を魅せつづけたんだ。
そう、「最後の瞬間」に、効果的に「最後の半歩を出し切れる」ディフェンス。
それは、それで、感動モノだった。
そしてチョウ・キジェは、その現象について、とてもインプレッシブな表現を聞かせてくれた。
曰く・・
・・ゴール前での最終勝負シーン・・
・・そこでは、メンタルの強さとか、身体を張ることが大事だと、よく言われますよね・・
・・でもボクは、シンプルに、確かなポジショニングが何よりも優先すると言うんですよ・・
いいね〜〜、チョウ・キジェ。サスガだね〜・・。
そう、まさにおっしゃるとおり。
「最後の瞬間」へ臨むにあたっては、冷静な理解と判断力をベースにした、個人戦術的なポジショニング判断こそが重要だっちゅうわけだ。
・・相手が、どの「ピンポイント」を、最終勝負の「点」にしようとしているのか・・
・・そこへ、どのように走り込もうとしているのか・・
・・ヤツは、オレの視線をどのように盗もうとしているのか・・
・・等など・・
それは、たしかに、とても深いディスカッションではあるよね。
私も、ドイツでのサッカーコーチ国際会議では、ティーブレークなどで、仲間と、そんな「ディテール」を語りあったものさ。
とにかく・・
私の、「粘りのディフェンス・・」というニュアンスの質問に対して、シンプルに、「冷徹なポジショニングが大事・・いまのベルマーレには、それを正確に判断し実行できるだけの自信がついてきている・・」と切り返したチョウ・キジェ。
彼に「も」・・乾杯!!
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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