湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第8節(2018年4月15日、日曜日)

 

後半は余裕を失った(後述)けれど、それでも粘りの逃げ切りには拍手しかない・・(レッズvsエスパルス、2-1)

 

レビュー
 
いいネ〜・・大槻毅・・

発される明瞭な(ときに攻撃的な!?)発言、表情、態度などによって醸(かも)し出される雰囲気だけじゃなく、オールバックも含めた「いでたち」からも、「本格感」があると感じる。

だからこそ、選手たちの「闘う意志」を効果的にモティベート出来るっちゅうことなんだろうね。

このテーマについては、先日アップした「このコラム」をご参照あれ。

まあ、とはいっても・・

このゲームの後半では、チト、「選手たちの闘い方イメージの方向性」に狂いが生じたかな・・!?

要は、二点リードしている後半は、ボールをしっかりキープして「ゲームをコントロールしよう・・」っちゅう意図だったらしいけれど、それがツボにはまらなかったということ。

そう・・

いまのレッズじゃ、余裕をもってゲームをコントロールする(効果的にボールを奪い返し、チーム内で効果的にキープする!?)のは、難しいでしょ。

でもレッズは、そんなイメージで後半のピッチに立った・・

そして・・

まあ、「案の定」という表現が正しいかどうかは分からないけれど・・、とにかく、攻守にわたって「前へ仕掛けていかざるを得ない」エスパルスの勢いに呑み込まれちゃうんだよ。

イレギュラーするボールを足で扱うなど、不確実な要素が満載のサッカーじゃ、余程のチカラの差がない限り、ゲームを意図的にコントロールするなんて芸当はできない相談なんだ。

だから・・

そんなイメージでピッチに立ったレッズは、意図とは真逆に、エスパルスに攻め立てられ、「2-1」となる追いかけゴールをブチ込まれただけじゃなく、その後も、二つ、三つと、ゴール機会(決定的シュートチャンス)を創りだされてしまった。

もちろんレッズも、カウンターから何度かはチャンスの「流れ」は創りだしたけれど、それでも、「ゴール機会・・」と言えるようなチャンスは、なかったよね。

そんな、ちょっとジリ貧の展開になってしまったレッズだったけれど・・

それでも彼らは、最後の最後まで、ものすごい「粘り」のディフェンスを展開した。

それも、また、闘う意志のチカラ。

だからわたしは、心のなかで大槻毅さんに拍手していたんだ。

そんな背景もあって、是非効いてみたいことがあったので、記者会見で質問した。

・・大槻さんが監督に就任されてから、負けなし・・リーグでは3連勝を飾りました・・

・・でも・・

・・そんな状況とは関係なく、チマタでは、次期監督の選定が進んでいるとか、大槻さんのタイトルにも、暫定などという冠がついている・・

・・プロコーチ、大槻毅として、そこらへんに関する心情を吐露していただけないだろうか・・

わたしは、全てのプロコーチを(同僚として!)レスペクトしています。

ホントだよ。

だからこそ、そんな、チト微妙な質問だって投げられる・・と、自分では思っているんですよ。

ところで、そのときの大槻毅さん・・

厳しい表情で正面を見つめ、わたしには、まったく視線をはしらせない。いいね〜。

そして、おもむろに、こんなニュアンスの内容を話しはじめた。曰く・・

・・そう・・3連勝したことは、とても喜ばしいことでした・・

・・最初に暫定監督のハナシをもらったとき、とにかく、次の(正式)監督が就任するまでに、できるかぎり多くの勝ち点をとっておいて欲しいって言われたんですよ・・

・・それが唯一の約束事でしたかね・・

・・でも、わたしもサッカー人として(そこでは、自分をプロコーチと称さなかった・・と思う・・)、もちろん勝ちたいですよね・・

・・そう負けたくない・・だから、この3連勝は、とても、よかった・・

フムフム・・

そんなハナシを聞きながら、彼が、とても優れたパーソナリティーの持ち主だと、すぐに感じとれたんだ。

ところで・・

次のゲームに臨む監督にとっての仕事の本質は?・・

もちろん、「ゲームの目標」を達成するためのゲーム戦術的な仮説(ゲーム戦術プラン)は、無数にあることは確かな事実だよね。

だから監督は、「ゲームの目標」を達成するために、選手たちのアタマのなかに、チームに共通する「闘い方の戦術イメージ」を確立させようと、すべての労力を注ぎ込むわけだ。

そして・・

その「戦術イメージの確立プロセス」でこそ、監督のホンモノのウデが試されるというわけさ。

そう、選手たち全員が、その「ゲーム戦術的な仮説」を、一人の例外もなく、全力を尽くして達成しようとする「姿勢」こそが、全てに優先するんだよ。

一人でも、ほんとに一人でも、「オレは納得できない・・」と、全力でプレーしなければ、その「悪性の心理ビールス」は、すぐにでもチーム全体を損なってしまう。

だからこそ私は、そのプロセスを、監督にとって最も重要な「心理マネージメント作業・・」と、呼ぶことにしているんだ。

その視点で、大槻毅さんには、大いなる期待がもてそうだって思っているんだよ。

さて来週の土曜日は、ミハイロ(コンサドーレ)が浦和にくる。

いまから楽しみで仕方ありません。

では、また〜〜・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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