湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第10節(2019年5月3日、金曜日)

 

まあゲームの実質内容からすれば、「痛み分け」というのがフェアな結果だったかもしれないけれど・・(レッズvsジュビロ、0-1)

 

レビュー
 
・・たしかに、攻撃には課題をかかえている・・

・・これからも、そのことを意識してトレーニングに臨まなければならない・・

オズワルドが、そんなニュアンスの内容をコメントしていた。

フムフム〜・・

だから、すぐに、前節の(ダゾン観戦の!)コラムを読み返した。

その冒頭で、「いまは、内容よりも結果を残すことが大事・・」ってな、槙野智章のコメントを紹介したっけ。

そして、こんな内容ニュアンスのコラムを展開した。

・・たしかに攻撃の内容はまだ沈滞気味だけれど、選手たちは、全体として、サッカーが良くなってきているという体感をもっているはず・・

・・だからこそ、粘り勝ちという結果を呼び込めた・・

・・そして、そんな粘り強いサッカーを継続していけば、かならず、美しい質実剛健サッカーへ向かうホンモノの進化ベクトルに乗れるはず・・

前節は、そんな感じのコラムになったっけ。

でも・・

そう、この日のレッズ攻撃は、度を越して悪かったって意識せざるを得なかった。

たしかに、連動するブロック守備は、ある程度は機能していた。

でも、次の攻撃の内容が、悪すぎたんだ。

そんなだから、90分を通して、確かな「ゴール機会だった」といえるシーンは、三つしか創り出せなかったという体たらくも、頷(うなづ)ける。

それに対してジュビロ。

たしかに多くのシュートは放ったけれど、「本物のゴール機会」と呼べるようなチャンスメイクの数は、レッズと同じレベルだったですかね。

だから、「まあ・・このまま引き分けがフェアかな・・」なんて思いはじめていた後半ロスタイムだったんですよ。

その、交通事故(オズワルドの表現)が起きてしまったのは。

そしてコラムを書き進んでいる今、あのシーンにこそ、いまのレッズが抱える構造的な課題が詰め込まれていたって感じはじめているっちゅうわけです。

そう、人とボールの動きが(特に人の動きが!)緩慢であることが遠因の交通事故。

青木拓矢は、タテのスペースでパスを待つ山中亮輔が、相手マーカーに狙われているって感じていたんでしょ。

だから(狙われている!)山中亮輔ではなく、GK西川周作へのバックパスを選択した。

でも、その一連のアクションのなかで、青木拓矢の集中力が切れてしまったんだ。

・・そして、その弱いバックパスをロドリゲスに拾われて万事休す・・

いまでは、優れた中盤守備や、創造的なゲームメイクなど、チームの中心として存在感を発揮しつづけている青木拓矢。

そんな彼が、信じられないことに、一瞬、集中を切らしてしまった。

もちろんそれは、次につながる貴重な経験(体感)。

人は、失敗を通してこそ、本当の意味の「活きた学びの場」を得られるわけだから・・。

まあ、仕方ない。

でも・・

そう、「仕方ない」では済まされないのが、攻撃での「人とボールの動き」なんだ。

実は、選手たちの攻守ハードワーク(強烈な闘う意志と、走りの量と質!)が、とても減退しているって、このゲームほど切実に感じたことはなかったんだ。

どうなんだろうね・・

選手たちの「闘う意志のレベル」は、ホントに減退しはじめているんだろうか!?

もし、そうだとしたら、それこそ「チーム造りプロセスにおける構造的な欠陥」として、とても深刻に、打開策を考えなきゃいけないよね。

フ〜〜ッ・・

最後に・・

名波浩が率いるジュビロにも一言。

彼らは、「幾何学ロジック」などクソ食らえってな感じの、素晴らしい「魂の闘い」を披露した。

そう、選手全員が、攻守にわたって、積極的に「仕事を探しつづけた」んだよ。

だからこそゲームのイニシアチブを握りながら、しっかりとチャンスも創りだせた(スペースも攻略できた!?)。

そこには、まさに「解放サッカー」と呼ぶに相応しい、心理的&物理的なダイナミズム(力強さとか活力など)が詰め込まれていたんだ。

そんなだったから・・名波浩も、会見で言っていたように・・

あの「交通事故」は、ジュビロの強烈な闘う意志が「呼び込んだ」モノだったのかもしれない。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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