湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2019年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第17節(2019年7月7日、日曜日)
- サッカーの内容とゲームの結果が、とてもロジカルに一致した逆転ドラマだった・・(FC東京vsガンバ、3-1)
- レビュー
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- ・・その基盤については、マッシモが創りあげた部分が大きいと思いますよ・・
いつのことだったか・・
FC東京が、連勝街道を突っ走っていた頃の監督会見で、その強力なディフェンスについて、長谷川健太さんに質問したことがあった。
わたしは、彼に自慢して欲しかったんだけれど(いや、ロジカルな説明が欲しかっただけなんだ!)、彼は、とても謙虚に、冒頭のようなニュアンスの内容をコメントしてくれたんだよ。
マッシモ・・
言わずもがなだけれど、それは、以前FC東京を率いたことのある、イケメンのイタリアンプロコーチ、マッシモ・フィッカデンティのことだよ。
とにかく・・
FC東京が魅せつづける、エネルギッシュなチェイス&チェック(寄せ!)、ハイレベルな予測(イメージング)、忠実なカバーリングの連鎖、最後の半歩を出せる読みと勇気などなど・・
FC東京が展開する組織(連動)ディフェンスは、素晴らしいの一言なんだ。
だから、前出のような質問をしたのだけれど、それに対する長谷川健太さんのコメントは、冒頭のように、つれないモノだったっちゅうわけさ。
とにかく・・
このゲームでも、(特に逆転されてからの!)ガンバは、強力なFC東京ディフェンスの前で、まさにノーチャンスだったんだ。
ということで・・
相変わらずスーパーな連動ディフェンスを堪能させてもらったというコトも言いたかったのさ。
とはいっても・・
そう、その素晴らしい組織ディフェンスの機能性を、ヒシヒトと体感できるようになるまでには、紆余曲折があったんだ。
まず前半5分。
ゲームの立ち上がりから、抜群にアグレッシブな「前からプレス守備」をブチかましつづけていたガンバが、先制ゴールまでもブチ込んじゃうんだよ。
それを観ながら・・
「あ〜あっ・・やられちゃった・・」って、ため息をついたモノさ。
だって・・
カウンターでは、ものすごく危険な仕掛けをブチかませるFC東京だけれど、相手にブロック守備を組まれたら、それを崩すのに四苦八苦するのが常だったんだよ。
わたしは、そんな鈍重な攻撃を、何度も体感させられていたんだ。
だから・・
先制ゴール後のガンバが、それまでの「勢い」を180°転換し、強固なブロック守備を構築するのを観ながら、「これは難しいゲームになるかもしれないな〜〜」なんて、(要らぬ!?)心配をしていたんだよ。
あっと・・このガンバの「180°転換」という現象だけれど・・
わたしも、長谷川健太さんの意見にアグリーだったね。
それは・・
その「転換」は、決してガンバが意図的に行ったモノじゃなく、あくまでもFC東京が、より積極的に前へ仕掛けていったからに他ならない・・ということ。
あっと・・FC東京の攻撃が、寸詰まりになってしまうかもしれない・・という心配。
でも・・
そう、それは、まさに杞憂に終わることになるんだ。
それも・・
そう、ナ・サンホの活躍もあって、素晴らしい組織オフェンス(遅攻)から、同点、逆転ゴールをもぎ取る・・なんていう芸当を演じてみせたんだ。
あっと・・
その二つのゴールをブチ込んだ永井謙佑について、長谷川健太さんが、こんなニュアンスの内容をコメントしていたっけね。
曰く・・
・・永井謙佑は、代表マッチから帰ってきてから、少しイメチェンしたかも・・
要は・・
これまでの「優しい」永井謙佑は、チャンスの流れで、自分がシュートすればいいのに、味方にラストパスを出したりなどといった「余計な思いやり」で失敗するケースが多かったのに対し・・
近頃は、本格的なエゴイスト・ストライカーへと変身しつつある・・
・・ってなことを語っていたんだよ。
フムフム・・
わたしも含めて、多くのエキスパートは、同じような印象をもっている・・らしい。
永井謙佑が、「本物のブレイクスルー」を成し遂げつつある・・ってね。
だから、永井謙佑についての質問が多かったわけだけれど・・
決してそれは、彼が2ゴールブチ込んだから「だけ」じゃないっちゅうことだね。
フムフム・・
それと、もう一つ。
前回コラムでも書いたけれど、FC東京が、とてもスムーズに、「久保建英という、イメージングの亡霊」から解放されたかもしれないっちゅうテーマ。
FC東京プレイヤーたちがアタマに描く「仕掛けイメージング」において、その中心に君臨していたのが久保建英だったという事実に、異論をはさむ方はいないでしょ。
そんな「イメージングの中心」が、急にいなくなってしまったんだよ。
そこで、こんな仮説が成り立っていたんだ。
そう、久保建英の移籍によって、FC東京の「仕掛けイメージングのプロセス」に、まさに亡霊のごとく暗い影を落としていたのかもしれない・・。
でも・・
そう、この2試合の内容を観るかぎり、FC東京は、もう完全に、その「亡霊」から解放されたって感じられるわけさ。
まあ、それも、これも、ストロングハンド、長谷川健太の面目躍如ってなコトでしょ。
フムフム・・
長谷川健太さんに、乾杯。
とにかく、このゲームでは、「内容」と「結果」が一致して、本当によかった。
ということで、今日は、こんなところです。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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