湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2021年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第11節(2021年4月24日、土曜日)
- 攻守にわたる積極的なリスクチャレンジ姿勢も含め、アンジェ横浜マリノス選手たちの「解放されたマインド」に乾杯っ!!・・(マリノスvs横浜FC、5-0)
- レビュー
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- え〜〜、ゲームディスカションに入る前に・・
まず、エネーチケーBS中継について簡単に。
カメラワーク(ズーミングワーク)、実況の方、そして牛若丸の解説。
とても、良かったですよ。
特に、牛若丸。
とにかく、多くのコトに「気付き」つづけるんだ。
もちろん戦術的な視点がメインだけれど、それぞれの現象について、選手たちの心理や、パーソナリティー的な「視点」でも、とても深く「気づき」、適切に解説する。
この「気づき」の内実が、ホントに素晴らしい。
彼が、現役時代から、広く、深く、考えつづけていたことを再認識させられるじゃないか。
ちょっと脱線させてネ・・
わたしのドイツ留学時代のハナシ。
わたしの師匠の一人でもあった、ドイツが誇るレジェンドプロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、1FC.ケルンを離れることになった。
そのとき、当時のドイツ代表チーム主力の一人だったヘルベルト・ノイマンが、ヘネスについて、こんな表現をしたんだよ。
・・残念だね・・
・・とにかく、あの方ほど、様々なコトに「気付く」コーチは、もう出てこないよね・・
・・だからオレたちは、彼の気づきの内容を、しっかりと消化しなきゃいけないよな・・
やっぱり・・
瞬間的に状況が変わる、不確実なファクターの集積であるサッカー。
だから、体感ベースでも、ロジックでも、本当に色々な現象ファクター(そのバックボーン)を抽出しつづけられなきゃいけないんだよ。
選手の場合は、もちろん、次の効果的プレーにつながる瞬間的な「気づき」。
また、コーチの場合は・・
サッカーの機能性をアップさせ、選手モティベーションを高揚させられるような、日常的なコトも含めた、さまざまな現象についての「気づき」。
とにかく、牛若丸の解説は、とても素敵な「刺激」になった・・っちゅうコトが言いたかった。
牛若丸については、現役最後のゲームでのスーパープレーを採りあげた「こんなコラム」を書いたから、そちらも、ご参照あれ。
ということで、ゲームについてだけれど・・
まあ、アンジェ横浜マリノスがブチかましつづけた、素晴らしい、ボール奪取プロセス(守備)と、次の攻撃での「人とボールの動き」を、ピックするしかないよね。
その、人とボールの動き・・だけれど・・
とにかく彼らは、シンプル&素早いタイミングでボールを離す(優れた球離れ感覚)。
だからこそ、人の動きが、自然と「加速」していく。
牛若丸は、「忠実でダイナミックに、出して動く・・出して動く・・を積み重ねているからこそ、うまく、スペースを攻略できる・・」なんてニュアンスの内容を語っていた。
まさに、その通り。
まあ、わたしは・・
忠実でダイナミックな「ワンツー」を積み重ねるコトで、人とボールをクリエイティブに動かしつづけられる・・なんて表現するけれどネ。
だからこそ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションも、うまく機能させられるし、(相手を無為に下げさせることで!?)うまくスペースを創りだすことができる。
そんなだから、彼らが、横浜FCの背後スペースを難なく攻略できるのも道理。
そして、だからこそ、次の「個の勝負」も、より有利にブチかませる。
そう、優れた「組織と個のバランス」ってなテーマだね。
そんな「優れたバランス」を魅せられるコトの背景には、もちろん、活発なボール奪取プロセス(守備)があるっちゅうわけだ。
選手たちのボール奪取プロセス(イメージ)が、効果的に「連動」するディフェンス。
だからこそ、とても効果的に、選手たちの動きの集散が噛み合う。
そして、だからこそ、次の攻撃でも、人数やポジショニングで、とてもうまく「バランス」の執れた組織的な仕掛けができるのさ。
要は・・
不確実だからこそ、決して「カタチ」から入っちゃいけないサッカーは、究極の意志のスポーツということさ。
だからこそコーチは、様々なコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包する、「規制と解放のバランス」をマネージできなきゃいけない。
そう、戦術という「規制」のなかで、ある意味の「ルール破り」にも、積極的にチャレンジできるような、次につながる主体性の育成だよね。
また、ある視点では、ミスの積み重ねとも表現できるサッカー。
だからこそ、自分から(主体的な意志で!)バランスを崩していかなければならないシチュエーションは、多いんだよ。
そして、だからこそ・・
そう、次のボール奪取プロセス(守備)で、素早く、効果的に「カタチを取り戻せる能力」こそが、ホンモノの「バランス感覚」って呼ばれるんだ。
とにかく・・
攻守にわたる積極的なリスクチャレンジ姿勢も含め、アンジェ横浜マリノス選手たちの「解放されたマインド」に乾杯っ!!
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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