湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第5節(2022年3月18日、金曜日)

 

自然条件(豪雨)に翻弄されたからこその気持ちの闘い!?・・まあ、これもまたサッカーさ・・(マリノスvs鳥栖、0-0)

 

レビュー
 
サガン鳥栖・・

前節レッズ戦でも書いたけれど、とてもチカラのあるチームだ。

忠実でダイナミックなボール奪取プロセス(守備)にしても・・

人とボールを、しっかりとスムーズに動かしながら、勝負所では個の勝負もブチかましていく攻撃にしても・・

ワンツーを忠実にトライする姿勢から、たまには、美しい、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだって魅せちゃったりする。

そんなサガン鳥栖のサッカーは・・

内容的には、リーグトップクラスといっても過言じゃないほど高質なんだよ。

ということで・・

彼らのコトは、これから、川井健太サガン鳥栖・・って呼ぶことにしよう。

とにかく、プロコーチ、川井健太は、ホントに良い仕事をしている。

まあ、とはいっても・・

そんなふうに、両チームを、比較しながら楽しめていたのは前半だけだったね。

そう、豪雨・・

後半は、もう、水(たまり)との格闘・・ってな様相を呈すコトになっちゃったんだ。

まあ、だからこそ・・

意識と意志の、極限のぶつかり合い・・ってな視点(分析)も出てくるわけさ。

その後半のゲーム(勝負)展開だけれど・・

最初の頃は、川井健太サガン鳥栖に、一日の長あり・・ってな流れだった。

もちろん・・

決して、ケヴィン横浜マリノスの意識と意志が弱い・・なんて言っているわけじゃない。

そこには、心のぶつかり合いではチャレンジャーに分がある・・ってな視点もある。

ハーフタイムでのケヴィン・マスカット・・

・・このグラウンドコンディションに負けるな・・

そう檄を飛ばしてプレイヤーをグラウンドに送り出したということだけれど・・。

やっぱり、高質な「リズム・イメージ」から完全にフッ切れないマリノスの方が、より強いフラストレーションを溜めていたんだよ。

彼らは、自分たちのイメージで、人とボールを動かせないわけだから。

もちろん彼らは・・

川井健太サガン鳥栖が強いコトは、しっかりと理解していただろうし、そのイメージでゲームに臨んだはず。

だからこそ前半は、「そうだよ・・こうやれば・・オレたちの方が、明らかに上なんだよ・・」なんていう自信と確信を深めていたに違いない。

そう、たしかに立ち上がりの時間帯は、川井健太サガン鳥栖にゲームを支配される流れもあったけれど・・

時間の経過とともに、イニシアチブを握り直し、しっかりとスペースも攻略できるようになっていったっちゅうわけだ。

そして、そんなポジティブ体感があったからこそ・・

後半の「水たまりとの格闘」では、鳥栖プレイヤーたちよりも、より大きなフラストレーションを溜めていた!?

まあ、そういうことなのかもしれないね。

とはいっても、そんなジリ貧の後半でも・・

そうなんだよ・・

ケヴィン横浜マリノスは、フラストレーションにもめげず、徐々に「劣悪ピッチ」に合わせたサッカーで、ゲームのイニシアチブを握り返していったんだ。

まあ確かに、微妙な「ゲームと勝負の流れの変容」ではあったけれど・・さ。

ところで・・

試合後の、ダゾン日々野真理さんのインタビュー・・

そこで、ケヴィン・マスカットが・・

・・これじゃ、サッカーにならない(水球だ〜!?)・・

なんていうニュアンスの内容を言いかけ、少しマイルドに、言葉を濁していたけれど・・

もちろん私は、気持ちは分かる。

そう、その背景には・・

ちゃんとしたグラウンドだったら、確実に、勝ち点3を奪えた・・

・・そんな、確信のニュアンスを感じていたんだ。

でも、だからこそ、わたしは・・

後半20分過ぎあたりからの、フッ切れた、アバウトな、現実対応サッカーを、選手たち自身の判断で(!)もっと早いタイミングから展開できなきゃ、いけなかった・・

・・ってなニュアンスのコメント「も」聞きたかったね。

へへっ・・

「雨に負けるな・・」っていう、ケヴィンの「ハーフタイム檄」には、そんなニュアンスも含まれていたはずだから・・さ。

まあ、その意味でも、このゲームは、とても意義のある学習機会だった・・っちゅうことだね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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