湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第21節(2025年6月22日、日曜日)

 

素晴らしい、攻守にわたる主体性プレー・・そこでの仕事(攻守ハードワーク)を探しまくるプレー姿勢こそが、称賛されるべき・・(横浜FCvsサンフレッチェ、0-4)

 

降格リーグに、どっぷり浸かっている、横浜FC。

勝ち点を失うコトなど、まったく許容できない・・

そんな危機感が絶対モティベーションの横浜FC・・

彼らが、ゲーム立ち上がりから、積極的&攻撃的なボール奪取プロセス(守備)をブチかましてくるのは、まあ当然の流れではあった。

そう、ゲーム立ち上がりから横浜FCが、かなりの強度で、イニシアチブを握りつづけたんだよ。

とにかく、横浜FC選手たちの危機感は、ハンパない・・

それが、ボール奪取プロセス(守備)のスタートラインである、チェイス&チェック(寄せ)や協力プレスの集散を、これ以上ない程、活性化していったんだ。

でも、そこは、百戦錬磨の、ミヒャエル広島サンフレッチェのこと。

とても、余裕をもって、彼らの前からプレスの「圧」を、受け止めるんだ。

そして・・

そう、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では、少し押され気味であるにもかかわらず、しっかりと人数をかけて攻め上がっていくんだよ。

ミヒャエル広島サンフレッチェの、攻守ハードワーク(仕事)を探しつづける主体性プレーのクオリティーは、もう群を抜いているよね。

主体性プレー・・

いつも書いているとおり、その本質は、「プレイヤー自身の意識と意志」に根付いている。

彼らがアタマに描く、「こうありたい・・」、「これをやりたい・・」等などの、攻守にわたるイメージング(ポジティブ自己主張)を、ヒシヒシと感じるんだよ。

彼らは、決して「やらされている」わけじゃない。

そうではなく、常に、自分自身が、次の攻守ハードワークをアタマに描き、それを忠実に、そしてダイナミックに(≒それこそが主体性!)トレースしていくんだ。

とにかく・・

そんな選手たちの主体性プレーは、いうまでもなく、ミヒャエル・スキッベの、優れた心理マネージメントがバックボーンになっている。

まあ、2002年のレポートでも書いた「頃」のミヒャエルは、少し、頭でっかちの「戦術オタク」的なトコロがあった。

でも、日韓W杯で準優勝を遂げたドイツ代表のヘッドコーチだったコトもあったね。

そう、そこじゃ、監督ルディー・フェラーの戦術ブレインという立場だったんだ。

だから・・という側面もあったわけだけれど・・

戦術的なアイデアが主体で、机上の空論を並べ立てる(アカデミックな戦術ナラティブ!?)ような傾向「も」あったんだよ。

でも、その後・・

プロ現場での体感・経験を積むなかで、何が、サッカーにとって「本質的に大事」なコトなのかを、自分自身で(主体的に!?)現実的アイデアを、積み重ねたと、聞く。

まあたしかに、彼とは、2002年以来、直接的なコンタクトはなかったけれど・・

間接的に、そんな彼の、コーチとしての「成長プロセス」について、ドイツのプロコーチ友人たちから、聞いていたんだ。

そして実際に・・

そう、サンフレッチェでの彼の仕事ぶりは、とにかく選手たちに、主体的に(!)考えさせるというコーチング(心理マネージメント)姿勢が、前面に押し出されている・・って、聞いている。

それが、サンフレッチェでの、素晴らしいサッカー(仕事)の礎になっているっちゅうことか。

最後に、サンフレッチェ2点目、加藤陸次樹の、「心理的な粘り勝ちのゴール」。

GK大迫敬介の自ゴール前からフリーキック・・

そのスーパーロングボールに反応し、最後の最後まで決定的スペースへ走り抜けた加藤陸次樹。

その走りが、ボールの処理を誤った相手ディフェンダーからのこぼれ球を「ゴッツァンゴール」で決めた。

でも実際は、「ゴッツァン」じゃなく、彼の「忠実な汗かきランニング」が生み出した、ものすごく心理&戦術バックボーンが豊富なゴールだったんだ。

いや、見応え十分だった。

ということで、再び、リーグ優勝争いに名乗りを挙げてきた、ミヒャエル広島サンフレッチェ。

実力的には、ホント、リーグ優勝の栄冠を勝ちとるだけのバックボーンを備えている。

ガンバレ〜、ミヒャエル〜〜・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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