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小野伸二・・中田英寿(!?)・・中村俊輔・・(2002年9月23日、月曜日)

さて今回も、「外国人」に関するショートコメントを・・。

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 まず小野伸二について、ちょっとだけ。また、フェネルバチェとの勝負マッチに関するコラムも参照してください。

 とにかく、「ブレイク」を果たしつつある彼の、これからの発展については、もう心配ない・・。とにかく、攻守にわたって、あれだけ積極的なプレーをつづけられれば(自ら仕事を探すプレー姿勢!)、やっている彼自身が楽しくて仕方ないことでしょう。小野伸二は、サッカーを楽しむというテーマの本質的な背景を体感しつづけているということです。

 たぶん、この「ブレイク」の本当のキッカケになったのは、先日行われたヨーロッパスーパーカップ(・・っていうネーミングでしたっけ!?)での、レアル・マドリーとの一発マッチだったのでは・・なんて思っています。自信レベルをアップさせつづけていた小野に浴びせられた氷水!? そこで彼は、組織プレーと個人プレーが絶妙にバランスしたハイレベルサッカー体感し(天才たちのテクニックばかりではなく、素晴らしいサッカーの背景にある、攻守にわたる自分主体の目立たないアクション等!)、大いなる刺激を受けたということです。そのことは、試合後の彼のコメントからも伺えます。

 また、パルド、ブッフェル、ソン・ジョングという、組織と個のバランス感覚に長けたニューパートナーたちも、彼のプレーの可能性を大いに拡大してくれていると思います。

 彼のプレーぶりを見ていて、またまた「グラウンド上の自己主張」というテーマを見つめ直す機会をもらったと思っている湯浅なのです。

 もちろん、守備での「1対1の競り合い」やタイミング良いアタック(ボールを奪い返すテクニックに課題がある!)、決定的状況での(ボールウォッチャーにならない!)忠実なマーキング、また攻撃での、(一般的な意味での)パスを受ける動き、状況を見計らったドリブル勝負(足が遅くても、彼ならば、『タイミング』で、何人でも置き去りにできる!)等々、課題は抱えてはいますが、まあそれも、発展をつづけている彼だからこそ、私も含め、証人になろうとしている人々にとって、大いなる楽しみになるということです。

 とにかく、守備を「基盤」にしているからこその「攻守にわたる」ダイナミックプレーの更なる発展を楽しむことにしましょう。

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 さて次は中田英寿。先日のUEFAカップ一回戦(敵地モスクワで引き分け)では、その前のリーグ戦とは見違えるほどのダイナミックプレーで、チームに貢献したとか。

 先週のリーグ戦に関するコラムで、「出来はまあまあでしたが、それでも、昨シーズン2-3月以降に魅せつづけた、攻守にわたる復活のダイナミックプレーから比べれば、かなり見劣りする・・」なんて書きました。

 要は、プレーの基本は、やはり「守備からサッカーに入っていく」ということです。ボール奪取に「実効あるカタチ」で絡めれば、それだけ「次の攻撃」も自分をコアにしたものにし易くなる(心理的なダイナミズムが活性化する ≒ 次の攻撃に絡んでいく積極性が格段にアップする)ということです。このことについては、ちょっと「ロジック」が弱い気がしますが、とにかくその考え方が、フットボールネーションにおける、歴史に支えられた「コモンセンス(常識)」だということです。

 さて・・なんて思ってテレビのチャンネルを合わせたら、何と・・。

 UEFAカップとリーグ戦との絡みで「ローテーションシステム(ハードスケジュールをマネージするため、試合によってメンバーセットを交代させること)」を実施した・・ということで(パルマ、プランデッリ監督談)、今節のリーグ戦では、中田は先発にも、ベンチにも入っていません。あ〜あっ・・。でもまあ仕方ありません。監督さんの言葉は、たぶんその通りなんでしょう。

 もちろん監督にしては、チャンスだから、他のメンバーコンビネーションも「確かめて」おきたいということもあるんでしょうしね。その意味じゃ、スケジュールが厳しくなっていることは(もちろんそれに応じて多くの良い選手を抱えていることが前提ですがネ)、監督の仕事の可能性を広げていると言えないこともない・・。以前だったら、明確な理由なく、主力がメンバー落ちした場合、大きなスキャンダルにつながってしまうこともしばしばでしたからネ。

 とにかくパルマが、攻守にわたって着実にダイナミズムを高揚させていくに違いない中田英寿をコアに、組織プレーコンビネーションを向上させていくことに疑問の余地はないと思っている湯浅なんですよ。

 まあ中田英寿に関しては、また次の機会にでも・・。

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 ということで、次は中村俊輔。相手は「あの」インテル。さて・・。

 インテルのメンバーは豪華絢爛じゃありませんか。レコパ、ビエリ、サネッティー、ディ・ビアッジョ、ココ、アルメイダ、クレスポ・・昨年まで、パルマで中田英寿とも一緒にプレーしたカンナバーロもいます。

 それでも、試合内容自体は低迷。守備はまあまあですが(でも後半は、勝負所への読みプレスが効かなくなってしまった)、とにかく攻撃が「チグハグ」なんですよ。ボールがないところでの動きが緩慢の極みだから、ボールがクリエイティブに動かない・・ボールをもった者が、相手にもミエミエのタイミングで勝負パスを狙おうとし過ぎる(まあ、マテラッツィーからビエリへ出されたタテパスは見事でしたけれどネ・・ビエリのダイレクト先制ゴール!)・・パスを出した後の「次の動き」がまったく出てこない(パス&ムーブがなければ相手守備ブロックを崩すキッカケさえ掴めない)・・等々、とにかく組織プレーと個人プレーがバラバラなんですよ。たしかに今シーズンのインテルは難しいな・・。

 さて、この試合での中村俊輔。味方が、積極的に中村を「探すようになっている」ということで、前節から比べれば、ボールタッチ数が増えているという印象です。まあ、監督の指示もあったんでしょう。

 それにしても、ボールを持ち、相手が「遅れたタイミング」で、安易にアタックしてくるような状況では、本当に「天才的」に上手い。そのボールコントロールにほれぼれさせられますよ。スッ、スッと、華麗にタックルをかわしてしまうのです。「もちろん」パスも正確だし、それに込められた「意図」もハイレベル。要は、逃げのパス等ではなく、とにかく「次の勝負につながる」パスだということです。ボールを持つ前から、味方のポジショニングと「狙い」に対する明確なイメージを持っているということです。もちろん、事前の意図を持つことができないような厳しい状況におけるインプロビゼーション(即興)プレーも一流。とにかく、良い状況でボールさえ持てば、かなりのプレーができる中村俊輔なのです。

 とはいっても、そんな良いシーンは希だし、パスに込めた「意図」にしても、直接的に結果を生み出すレベルまで到達していない。それに、まだまだ運動量が足りない・・守備参加も実効を伴っていない・・。

 前回も書いたと思うのですが、彼のボールのないところでのプレーでは、攻守にわたって、「全力ダッシュシーン」がまったく見られないのですよ。全力ダッシュが内包する意味は、攻守にわたる「明確なターゲットイメージ」を持っているということですからね。いま彼が中心的にイメージしているのが「中継プレーヤー」になることだけ・・と言われても仕方ない。

 もちろんフリーならば、足を止めてパスを待ってもいいですよ。それでも、そこが「アクティブ・ゾーン(仕掛けの流れに乗っているゾーン)」から外れたら、すぐに「次」へ移動しなければならない。また、アクティブゾーンに入っていたら、自分を中継したラストパス勝負「ばかり」をイメージするのではなく、自ら決定的フリーランニングを仕掛けるなど、とにかく積極的に仕事を探すという姿勢を前面に押し出さなければならない・・。

 まあ、もう少し時間がかかる・・ということなのでしょうが、それにしても、プレー意図(プレーイメージ)が消極的なことは大きな問題です。それこそが全ての基盤ですからね。中村が、自分主体で描くアクティブな仕掛けイメージを実現できないのならば(そのイメージに基づいたアクションにチャレンジしつづけているにもかかわらず、それが実を結ばないのならば)まだオーケーなんですけれど・・。

 とにかく中村俊輔に対し、攻守にわたって、すべてのプレーシーンに何らかのカタチで絡んでいこうとする積極姿勢を望んで止まない湯浅なのです。彼にもまた、「このシーンでは、どうしてここへ動かないんだ・・」とか、「どうして、ここで相手のパスを読んでいなかったんだ・・」等々の、ビデオを活用した効果的なイメージトレーニングが必要だということです。




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