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2006_ワールドカップ日記・・仲良しクラブから、高質で健全な緊張感の高揚へ・・次の日本代表監督にイビツァ・オシムさんを!・・そしてブラジルとオーストラリア・・(2006年6月5日、月曜日)

どうも皆さん。昨日のコラムで書き忘れたことがあったもので、今日はまずそこからスタートすることにしました。それは、チーム内の深いところで蠢(うごめ)いている、守備に関する「ディスカッション」。昨日のコラムで書いた、いかにスリーラインをコンパクトに維持しつづけるのか・・というテーマです。

 そこでは、色々な視点にもとづいた(色々なポジションやチーム内の役割、はたまた、それぞれの選手の考え方やパーソナリティーに応じた)主張があるに違いありません。主張のぶつかり合い。私はそこで高まる緊張感を、チーム内の闘う意志を高揚させるために絶対に必要なものであり、本当にポジティブなことだと思っています。

 主張(パーソナリティー)のぶつかり合い。それこそがチームのスピリチュアル(心理・精神的な)エネルギーの源泉だとまで言い切る湯浅なのですよ。チームが仲良しグループになってしまった瞬間から、選手たちの闘うマインドが腐りはじめますからね。だからこそ優れたコーチ(監督)は、「平穏すぎる雰囲気」を意図的にブチ壊したり、「ぶつかり合い」が限界を越えそうになったときに、そこでの興奮(エモーション)を抑えたりなど、しっかりとチーム内の「心理・精神的なバランス」を取るようにマネージするわけです。優れた監督の心理マネージメント。それは、パーソナリティーのぶつかり合いという「緊張関係の剣が峰」が高くなるようにコントロールしながらも、チームが「その剣が峰」のどちらの側にも転げ落ちないように、うまく「縁」の上にキープしつづけることなのです。

 主張をすれば、当然、様々な責任が責任が掛かってくる。だから選手たちは、自分の主張の「チーム内でのパワー」をアップさせるために、味方のミスを(文句を言いながらも)カバーすることも含めて、全力でプレーせざるを得なくなる。そして、それぞれの状況に応じて「うまく機能するサッカー」に対するイメージが収斂され、チームが、一つにまとまって闘うようになる。

 もちろんそのメカニズムをしっかりと機能させるためには、それぞれの行動(プレー)が、グループ共通の目的を達成するための「フォア・ザ・チーム」に徹したものであるという前提条件が満たされる場合に限るけれどね。チーム共通の目的とは、もちろん、(選手の能力も含め、様々なチーム事情をベースにした)美しさと勝負強さのギリギリのバランスを達成することであるべきだけれどね・・。

 とにかく、いまの日本代表内部でのディスカッションは、選手たちが大人(=ホンモノの個人事業主)であることも含め、様々な視点でポジティブなことだと確信している湯浅なのですよ。もしかしたら誰かが、チーム内の緊張感を健全なカタチで高揚させようとする意図をもって、主張のぶつかり合いを「ディベート」の域まで高めようとしているのかもしれないし・・。

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 さて次のテーマは、日本代表の次期監督。私も、遅ればせながら、自分の考えを表明しておかなければと思った次第です。ジーコの後継者は、イビツァ・オシムさんしかいないという主張。体感レベルで「日本」を知っていること、カリスマ性、フットボールネーションでの名声の高さと、それを基盤にした信頼ベースの有効コネクション、哲学レベルも含むインテリジェンス、優れた心理マネージャーとしてのパーソナリティー、意志の強さ、経験、そして人間としての誠実さ・・等々、私が知りうる限り、彼ほどのレベルに達している監督さんはいません。

 彼は歳を取りすぎているし、健康に問題を抱えている!? そんなことは、まったく問題になりません。突き詰めれば、監督さんの仕事は「言葉や表現」に集約されるのですからね。物理的な「動き」は、彼のパートナーとしての優秀な反町さんに任せておけばいい。またその他にも、協会には優秀なコーチ連中が控えているではありませんか。

 リスクチャレンジのないところに進歩なし。イビツァさんが、常日頃いっていることです。もちろん「蛮勇」ではないリスクチャレンジ。それに対する「世界レベルのバランス感覚」を備えているオシムさん。

 イレギュラーするボールを足で扱うという不確実なボールゲーム。だからこそ、「石橋をたたく」前に、まずチャレンジありきなのですよ。サッカーは、ヨーロッパ狩猟民族のスポーツですからね。

 私は、イビツァ・オシムさんが日本の次期監督になれば、確実に、日本のサッカーにとってものすごく大きな宝物を残してくれると思っています。そしてサッカーが、本当の意味で、21世紀の日本社会のイメージリーダーになっていく・・。

 そんなシナリオが、いまの私にとっての「具体的な夢」なのです。とにかく、このことについては、どんな方々に対しても深々と頭を下げる用意のある湯浅健二なのです。とにかく、よろしくお願いします。日本サッカーの将来のためにも・・。

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 さて、オーストラリア。昨日のテストマッチで、「あの」オランダと引き分けた。それも、61分に中盤のウィルシャーが退場になったにもかかわらず、最後の最後まで「同点」を守りきった。

 この試合は、早朝の再放送(EUROスポーツ)で内容を確認しました。そして再び思ったものです。やはりオーストラリアは強敵だ。今更何を言っているのかって!? いやいや、この体感こそが(観察者のイメージトレーニングとして)ものすごく大事なのですよ。

 たしかにチャンスメイクの量と質では、オランダの方が大きく上回っていたけれど(オランダの迫力ある仕掛けには、オーストラリアの優秀な守備的ハーフであるゲレッラもタジタジだった!)、それ以外の全体的なサッカー内容では、決してオランダに大きく引けを取っていたわけじゃない。特に、忠実でダイナミック、そして組織的なクリエイティビティー(次のインターセプトや協力プレスなどの有機的な連動性イメージ)にあふれるディフェンスが素晴らしいかった。

 前回のコラムでも書いたように、たしかに個の才能ではオランダに譲るけれど、シンプルな展開からの粘り強いクロス攻撃は脅威でした。しっかりとボールを止め、しっかりと蹴れる。そのプレーのベースにあるのが、シンプルなリズム&タイミングでの組織イメージ。全員が、守備から攻撃にかけての「流れ」について、明確な共通イメージをもっていると感じます。

 この試合でも、まだキューウェルはベンチから出てこなかったけれど、彼が出場したら、そんなオーストラリアのシンプルな組織プレーに、ものすごく効果的な「個のアクセント」をミックスできるでしょう。

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 最後に「ブラジル」を簡単に。

 すごいよね、本当に。常に、美しさと力強さとスピードが先行する魅惑的サッカー。それでいて、エメルソンやゼ・ロベルトの貢献もあって、守備ブロックも適度に安定している。パレイラ監督のウデを感じます。

 それでも、これまでのテストマッチではルツェルンやニュージーランドが相手だからね。ちょっと、自分たちがアタマに描く理想イメージを有機的に連鎖させる「作業」に集中し過ぎなんじゃないだろうか。相手が強くなれば、簡単にはイメージをシンクロさせられないことは自明の理。そこでは、個人の突破力だけではかなわないサッカー的なメカニズムも働くに違いないと思うのですよ。そう・・2002年ワールドカップでのベルギー戦のようにね。

 まあ彼らのことだから(智将パレイラ監督が)、大会がはじまってから、様々な微調整を施しちゃうんでしょう。世界最高峰の個の能力を備えているからこその余裕といったところ。その「個の能力」にしても、ヨーロッパの組織プレーテイストにも溢れるようになっているからね。まあ、鬼に金棒。

 後は、チカラのある相手が仕掛けてくる、強烈な「戦術サッカー」を、どのように切り崩していくのかというテーマだけだろうね。パレイラ監督のことだから、仕掛けが詰まったら、単純な放り込みクロスや超ロングシュートの雨を降らせるといった「泥臭い」仕掛けもイメージしているに違いないと思っている湯浅なのです。

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 今日はこれから、エーリッヒ・ルーテメラー(彼については、このコラムを参照してください)との意見交換に行ってきます。日本について、ドイツについて、優勝候補について・・等々。

 そして明日は、ハンブルクのパートナー会社を訪れます。彼らからの報告で、「ブロードバンド・インターネットカード」を機能させるためのドライバー(ソフトウェア)が、つい3-4日前にリリースされたいうことなのですよ。いま使っている、ISDN程度のスピードが出る無線カードでも仕事はできるけれど、やはり早いほうがいいに決まっている。それにしても、マック用のドライバー開発が、常に、ウインドーズよりも2-6週間遅れるという状況には、仕方ないと分かってはいるものの、ちょっと閉口気味の湯浅なのです。ということで、明日は「完全な移動日」ですから日記はお休み。それでは・・
 



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