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2011_ACL・・もちろん、ガンバも「J」優勝争いの主役だよ・・でも課題も見え隠れしている・・(ガンバvsメルボルン, 5-1)・・(2011年3月1日、火曜日)

先日の「XEROX」では、今シーズンもまた、アントラーズとグランパスの2チームが優勝争いの主役を演じる・・なんて書いてしまったけれど、もちろんガンバも忘れちゃいけなかった。

この試合では、明神智和と橋本英郎をケガで欠いたガンバだったけれど、その代わり、バックアップメンバーが良いプレーを展開した。特に、守備的ハーフとして攻守にわたって獅子奮迅のガンバリを魅せた武井択也は気に入った。

 明神智和、橋本英郎、遠藤保仁(そして武井択也)など、攻守にわたる「重心」としてチームをリードするセンターハーフに(特に!)良い人材を抱えていることこそが、西野朗監督のチーム作りの根幹コンセプトということですかね。

 この試合、結局ガンバが「5-1」という大勝を収めたけれど、点数自体は、実際のゲーム内容を正確に表現していたとは言えないね。それは、メルボルンが、そんな弱体チームじゃなかったという意味合いです。

 もちろん総合力という視点じゃ、ガンバに一日以上の長があったわけだけれど、組織的で機能的な実効ディフェンスを絶対的ベースに、攻撃でも、組織パスと勝負ドリブルをうまくバランスさせながら、とても危険な最終勝負を仕掛けていくメルボルンも良いチームでした。だからガンバにとっては、J開幕へ向けて、素晴らしい総仕上げマッチになった!?

 このゲームの見所は、何といっても、両チームが展開した、中盤での守備のせめぎ合いだったね。まあ・・中盤でのつぶし合いばかりが目に付いた・・とも言える。だから、見方によっては詰まらないゲームだったとも言えそうだけれど、それでもいくつかの発見はあった。

 その一つが、ガンバの組織コンビネーション。

 彼らの真骨頂は、トントント〜ン・・という素早いリズムのダイレクト(パス)コンビネーションで、相手ディフェンスの裏スペースを攻略してしまうプレーだよね。以前のクラブワールドカップで、マンUを相手に、素晴らしい組織サッカーで対抗したアレですよ。サー・アレックス・ファーガソンも、「ガンバのハイレベルなサッカーには舌を巻いた・・」と言っていたっけ。

 でも、この試合では、どうも、そのコンビネーション・リズムが高揚していかない。もちろん、トントン・・まではいくけれど、なんか「そこまで」っちゅう感じかな。要は、ボールがないところでの三人目、四人目の動きが、うまく連動しつづけない・・ということですかね。

 そんな組織コンビネーションの連動性と実効性を高揚させるためには、前戦で縦横無尽にポジションチェンジを繰り返す仕掛けの流れに、後方からサポートしてくるチームメイトが「アクセント」を加えていかなければなりません。例えば、橋本英郎とか遠藤保仁、はたまた明神智和とか両サイドバックとか・・。まあ、この試合では、武井択也が気を吐いていたけれど・・ね。

 そんな創造的で爆発的なコンビネーションがあまり見られなかったのですよ。だから、素晴らしい連動性の組織プレッシングを展開するメルボルン守備ブロックも、自分たちの眼前で繰り広げられるガンバの組み立てを踏まえて「次の勝負所をイメージするだけで」コト足りていた。

 もちろん、アドリアーノという新戦力が、まだまだ「ガンバのコンビネーション・リズム」に乗り切れていないという事情はよく分かるし(それでも、3点目、4点目シーンでの右サイドからの勝負&ラストパスは素晴らしかった!)、その他にも、ドリブラー&ラストパサーというイメージに「固執する!?」宇佐美貴史もいる。

 もちろん、宇佐美貴史が、遠藤保仁ばりのスーパースルーパスを何本も繰り出すなど、ラストパサーとしても気を吐いたことは確かな事実。流れのなかから、イ・グノが奪った前半11分の3点目シーンにしても、宇佐美貴史の、アドリアーノへのスーパースルーパスが決め手になったよね。

 たしかに、それはそれで素晴らしいし、彼には必殺のドリブル勝負もあるわけだから・・。その彼に、遠藤保仁ばりの、決定的フリーランニング(決定的パスを呼び込むパスレシーブの動き!)までも要求するのは酷なのか!? さて〜〜・・

 難しいね・・。でも、守備での仕事内容も良くなっている「あの」宇佐美貴史が、忠実な爆発的パス&ムーブも含めて、ボールがないところでもアイデア(意志)を爆発させたら、それこそ「次は世界」・・っちゅうことになるよね。まあ・・西野朗のウデに期待しましょう。

 シーズン開幕前だから、リーグ優勝レース・メインアクターの一角を占めるガンバ大阪の印象も、簡単にレポートしておこうとキーボードに向かった筆者でした。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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