トピックス


2017_WM最終予選・・タイは、ものすごく強くなっている・・だからこそ日本にとって貴重な学習(体感)機会になった・・(日本vsタイ、4-0)・・(2017年3月28日、火曜日)

とても良いゲーム内容で、「強い」タイに完勝を収めたからこそ、こんな視点からスタートすることにした。

それは、最終勝負における守備のコノテーション(言外に含蓄される意味)。

それは、何度もあった「大ピンチ」シーンのことだよ。

もちろん、ピンチに追い込まれるまでのネガティブプロセスに関する分析も大事だろうけれど、それよりも、日本代表の強者どもが、最後の決定的瞬間にブチかましつづけた「極限の意志のディフェンス」を、まずコラムのリードインにもってこようっちゅうわけさ。

何せ、何度クリアしても、ブロックしても、そのこぼれ球を拾われて決定的シュートをブチかまされるような大ピンチシーンがあったわけだからね。

そこでは、もちろん川島永嗣の勇気あるプレーを(またスーパーセーブも!)賞賛しなきゃいけないけれど、同時に、日本の強者ディフェンダーたちが、諦めることなく、身体を投げ出してシュートをブロックした粘りのアクションも取り上げたいんだよ。

そこでは、誰も「様子見」になることなく、全員が、次、その次の決定的ピンチに「飛び込んでいった」んだ。

いや、「シーン・ウォッチャー」に陥って足を止めた選手がいたのかもしれないけれど、周りが、その「気抜け」を補って余りある「意志の勝負プレー」をブチかましたのかもしれない。

まだビデオは観てないから、確定的なコトは言えないけれど・・サ。

とにかく、それらの大ピンチシーンで強者どもが魅せた、極限の意志のアクションは、脳裏に焼き付いているんだよ。

そう、ゲームは、そんな、強烈な意志と勝負のイメージング能力に支えられた「目立たないトコロ」での全力プレーによって雌雄が決するモノなんだ。

このテーマについては、「The Core Column」で先日に発表した、ディフェンスを中心にした「このコラム」「あのコラム」を参照して下さい。

ということで、ここからは個別テーマに入っていきますか。

まず、先制ゴールのシーン。

何といっても、森重真人が軽いスイングで蹴った、右サイド久保裕也への超ロング縦パスが、えも言われぬほど美しかった。

もちろん彼には、バックパスを受ける前から「見えて」いたんだろうね、かなりフリー気味の久保裕也の前に広大な決定的スペースがあることを。

そして、パスを受けた久保裕也の、勇気と意志が、はち切れんほどに充填されたドリブル突破からの決定的ラストクロス。「あれ」には、ホント、鳥肌が立った。

もちろん、そのクロスが、香川真司「まで」届いたことには、少しは「ラック」もあったけれど、それでも、グラウンダークロスが素晴らしかったからこその「幸運」だったともいえる。

そして、香川真司ショー。

タックルに入った相手のアクションをしっかり見極め、そして(まさに空気投げのように!?)スマートに「外した」あの落ち着きこそが、ブンデスリーガで培った「自信と確信」の証だった!?

そう、多分・・

香川真司。

先日、あるテレビで、香川真司と岡田武史が対談した番組をやっていた。

そこで、岡田武史が彼について語った言葉が、「ここ最近」の、香川真司の「ホンモノの復調」の原動力になったとのことだった。

その言葉のニュアンスは、香川真司が、「前を向ける・・」選手である(だった!?)ということらしい。

その言葉に、香川真司の思考が動かされ、大いなるモティベーションになったということだ。

そう、前を向く(リスクにチャレンジしていく!!)、自信と確信に支えられた、勇気あるプレイヤーとして・・。

フムフム・・

あっと・・その自信と確信という視点では、2点目を、ニアポスト勝負のヘディングでブチ込んだ岡崎慎司の「勝負のイメージング能力」にも拍手をしなきゃいけない。

彼の強烈な意志のプレーが世界レベルであることは論を俟(ま)たないけれど、そのバックボーンもまた、フットボールネーションで培った「自信と確信」というわけだ。

ホント、素晴らしかった。

でも次は、チト、ネガティブな視点。

そう、ケガで代表チームを離脱した今野泰幸に代わって先発に名を連ねた酒井高徳。

彼は、所属するブンデスリーガのHSV(ハンブルガー・シュポルト・フェライン)でも、守備的ハーフを効果的に務めている。それも、キャプテンとして!!

でも、この試合では、たしかに守備では忠実で効果的なプレーも多かったけれど、そこからの「次の攻撃」では、消極的なプレー姿勢ばかりが目立っていた。

前方に、ある程度フリーな味方が縦パスを待っているのに、安全な横パスやバックパスに「逃げて」しまうんだよ。

何度、「なんで勇気をもってトライしないんだ〜〜っ!!」なんて、心のなかで叫んだことか。

バイード・ハリルホジッチ監督は、彼について、こんなニュアンスの内容をコメントしていたっけネ。曰く・・

・・ハンブルクでの彼は、ボランチを立派にこなしている・・

・・ただハンブルクでは、どちらかといったら守備(ボール奪取のプロセスを主導すること)が主な仕事になっている・・

・・でも日本代表では、ボール奪取だけではなく、次のビルドアップ(ゲームメイク)でも大事な役割が期待されているんだけれど・・

・・酒井高徳と山口螢のコンビは初めての試みだ・・山口螢には、もっと攻撃への絡みを意識してもらいたかった・・

ということで、バイードも、酒井高徳の、攻撃への「積極性」と、勝負を仕掛けていく意志の内実に関しては、チト課題を見出していたということだね。

でも・・

そう、これは、とても面白い現象だったんだけれど、本田圭佑がグラウンドに登場した次の瞬間から、何か、チームが醸し出す「雰囲気」が大きくチェンジしたという視点。

まあ、「雰囲気の変化」っちゅう現象かな。

そのバックボーンについては、うまく表現できないけれど・・

今日は、西部謙司さんと、楽しい会話を楽しみながら観戦していたのだけれど、その雰囲気の変化について、彼には、こんなエピソードを話していたっけ。

「もう大昔のことだけれど・・ヘネス・ヴァイスヴァイラーが、チームの雰囲気が悪いのは、アイツの(消極的なプレーの!?)せいだって、ソイツを交替した んだよ・・そしたら、ホントに、ゲームの流れが、ガラリと変わり、それまでネガティブな雰囲気を醸し出していたチームが、急に活き活きとプレーし始めたん だ・・ヘネスからは、そんな風に、雰囲気を読み、その原因を素早く掴むことも、コーチとしての大事な資質だと教わったということだね・・」

ということで、日本代表の雰囲気が低迷しはじめたと感じられたコトの顛末。

もちろんバイード・ハリルホジッチ監督も、試合後の記者会見で述べていたように、二点を先行してから代表の「リズム」が悪くなったことを意識していた。

その原因について彼は、コンディションの問題と、ハードワークが減退気味になってしまったコトを挙げていた。

まあ、たしかに、その要素もあったんだろうけれど、でも、相手が、とても強くなっているタイ代表であることも忘れちゃいけない。

そのタイ代表が、二点を先行されてしまったわけだから、シャカリキにプレッシングを仕掛けてくるのも道理でしょ。

もちろん日本代表が、そんな相手のプレッシャー(攻守にわたる前への勢い!)を十分にはね返せなかった(受け止めて反発できなかった!?)ということもある。

バイードは、それを、ハードワークの減退(悪コンディション)と表現したわけだ。

でも・・

そう、そんなネガティブな雰囲気が、本田圭佑が登場してから、目立って「反転」していったと感じたんだよ。

本田圭佑の、個のチカラに対する信頼・・!?

まあ、そういうことなんだろうね。

そして、ソレがあるから、彼がボールをもったとき、周りの味方の、サポートや、決定的スペースへ抜け出す動きが活性化したというわけだ。

そして、だからこそ、日本代表の攻撃の「危険度」が、再びアップした!?

そう、アグレッシブなプレー姿勢が甦(よみがえ)ったんだ。

そして私は、そんな雰囲気の変化によって、(前述した)チト消極的だった酒井高徳のプレー内容もまた、大きく「好転」したと思っていたわけさ。

さて〜〜・・

ということで最後は、バイード・ハリルホジッチの、こんな興味深いコメントで締めようか。

それは・・

・・この試合は、UAE戦とは違い、ゲームコントロールが足りなかった・・

フムフム・・

要は、攻守にわたって、局面でのデュエルを制したからこそ、実効あるカタチでゲームをコントロールできたUAE戦に対して、このタイ戦では、そこまでうまくゲームをコントロールできていなかった・・ということなんだろうね。

もちろん相手の内実が違うわけだから、そう簡単にはゲームコントロールという視点で、この二つのゲームを比較できないわけだけれど、それでも私は、「確かに・・」と、バイードの発言に納得していたっけ。

次の、イランでの「イラク戦」。

故郷が大変なコトになっているイラクは、強烈な闘う意志をもって日本を叩きにくる。

だからこそ、局面でのデュエルで、まさにUAE戦で魅せたような「強烈な意志のプレー」を展開できなきゃいけない。

そうだった・・次のイラク戦こそが、雌雄を分ける闘いになるんだっけ・・


============

ところで・・

チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。

以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。

彼女については、このページあのページを参照してください。

私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。

その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。

 藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。

「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。

ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。

また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。

-------------------

あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]