The Core Column
			 The Core Column(68)_テーマ「気づき」・・プロローグ・・(2021年12月25日、土曜日) The Core Column(68)_テーマ「気づき」・・プロローグ・・(2021年12月25日、土曜日)
 
 
 
- ■「気づき」という普遍的テーマ・・まず、プロローグ
 
 「そうなんだよ。あんなに、いろいろと気がつくコーチには、たぶん、もう二度と、会えないだろうな〜・・」
 
 1980年。
 
 ドイツサッカー史に、いまでも燦然と輝きつづけるスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラー。
 
 彼が、ケルンと袂を分かち、アメリカのニューヨーク・コスモスへと活躍の場を移した。
 
 冒頭に紹介したのは、当時、ケルン中盤で主力を張っていたヘルベルト・ノイマンが、ヘネスの退団を惜しみ、感慨深げに語った言葉だ。
 
 わたしも、ヘネスからは、様々な「教え」を授かったものだ。
 
 なかでも・・
 
 「オマエ・・とにかく、サッカーだけじゃなく、日頃の小さなコトにアンテナを伸ばしていなきゃダメだぞ・・親しい人たちの情動の(表情や言葉の!?)動きとか、街中の、ちょっとした出来事も含めてネ・・そして、その変化のバックボーンに、思いをめぐらせるんだ」
 
 「そんなふうに考えをめぐらせることで、自分の置かれている状況が厳しくなればなるほど、よりスムーズに、ソリューション(解決策アイデア)がアタマに浮かんでくるものなんだヨ・・」
 
 ヘネスの深い言葉(金言!)には、いまでも、心から感謝している。
 
 その頃からだった、わたしが、「気づき」という、深いテーマに思いを巡らせはじめたのは。
 
 気づき・・
 
 それは、高い、意識と意志とイメージングによる、脳の活性化とも言えるかな。
 
 だからこそ・・
 
 常に「考えつづける姿勢」こそが、絶対ベースだと思うわけだ。
 
 さて・・
 
 どうなるか分からないけれど、フッと、この「気づき」というテーマを深めていこうと思った。
 
 その「気づき」は、監督、コーチにとって、前述のヘネス・ヴァイスヴァイラーが言うように、とても大事なテーマなんだ。
 
 そう、選手たちの「気づきのチカラ」を高めていくための(!)心理マネージメントの「ウデ」を磨いていくためにも・・ね。
 
 そこでは、戦術的なテーマだけじゃなく、選手たちのプライベート環境(心理状態)、そのバックボーンの追求など、気を張って「感じ」なければならないテーマは、限りない。
 
 ということで、このコラムシリーズの展開プロセスだけれど・・
 
 まず、サッカーの根幹メカニズムというテーマから入っていくことにしようかな。
 
 別な言い方をしたら・・
 
 わたしが、よく使っている、「カタチから入っちゃいけない・・」というテーマとも言える。
 
 もちろん・・
 
 選手たちのイメージング・コンテンツを高め、チーム内での「共有レベル」を高めていくという視点でのチーム戦術(イメージング内容の高揚&深化&共有)は大事さ。
 
 でも、その「イメージングの植えつけ作業」が、強すぎると・・
 
 「過ぎたる規制」ってなコトになってしまう危険性が、限りなく大きくなっていく。
 
 そして結局、良いサッカー(美しい、主体的な質実剛健サッカー!)への正しいベクトルを阻害するようなコトになってしまうネガティブ現象がハバを利かせるようになっていく。
 
 不確実なファクター(要素)が満載のサッカー・・
 
 だから最後は、プレイヤーそれぞれが、主体的に、自由にプレーせざるを得ない・・というのが本質的なメカニズムなんだよ。
 
 もちろん・・
 
 戦術イメージングという「カタチ」は必要。
 
 でも、「過ぎたるは及ばざるがごとし・・」なんだ。
 
 あっ・・また例によっての「繰り返し」・・スミマセン・・
 
 とにかく・・
 
 だからこそ、「カタチ」と「解放マインド」の、ハイレベルな「バランス」こそが、希求すべきゴールだというコトが言いたかった。
 
 そこでの、プレイヤー個々の、積極的&攻撃的な(!?)、自由な判断と決断、そして勇気をもった行動の前提条件もまた、創造的な「気づき」というわけだ。
 
 そのために・・
 
 そう、選手たちに対して、「考えなければプレー出来ない・・」という、進歩のための「インテリジェンス環境」を、与えつづけられるかどうかが、コーチの「本質的なウデ」っちゅうわけだ。
 
 ということで・・
 
 その、「考えなければプレー出来ない・・」という「環境」の整備が、次のテーマかな。
 
 そう、正しいオートマティゼーション(考えなくてもカラダが自然と動くレベル!)を養うために。
 
 そのオートマティゼーションの「中身」が、チームメイトたち個々がアタマに描く「イメージ」と、うまく連動するようになれば、まさに最高の「組織(コレクティブ)サッカー」がカタチ創られていく。
 
 そして・・
 
 そう、究極のゴールは、プレイヤー個々の、強烈な「意識と意志とイメージング」をベースにする、攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢あふれる、主体性プレー。
 
 「それ」があってはじめて、美しい質実剛健サッカーを体現できるんだよ。
 
 そこじゃ・・
 
 日常トレーニングに、ストリートサッカーのエッセンスを導入する・・というテーマもある。
 
 そう、ドイツサッカーの父、ゼップ・ヘルベルガーが言っていたようにね。
 
 ・・良いトレーニングとは・・
 
 ・・それが終わったとき、選手たちが、笑いながら(疲労で!)ブッ倒れるような内容であるべきなんだ・・
 
 ・・ってな感じで、シリーズを展開させていければ・・って思っている筆者なのであ〜る。
 
 さて、どうなることやら・・
 
 請う、ご期待。
 
 (不定期につづく)
 
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 「The Core Column」の全リストは、「こちら」です。
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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは ”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。 ”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
 
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