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「The 対談シリーズ」_第17回目・・レッズについて、二人の方と語り合いました(ということで鼎談=ていだん)・・たまには、こんな企画もいいでしょ・・(2010年5月28日、金曜日)

■フィンケが目指すサッカーとは・・?

 「それじゃ〜あ、まず、フォルカー・フィンケのサッカーを、簡単に、一言で表現するところから始めましょうか・・どうですか古屋さん・・?」

 「エッ??・・フィンケのサッカーを一言で表現する!?・・それって、もっとも難しいテーマじゃありませんか・・??」

 「あっ・・そうだね・・ゴメン・・それじゃ、ボールオリエンテッドなプレーという表現についてはどうですか?」

 「フ〜〜ッ・・それも難しいテーマですよね・・一言じゃ・・どうも・・」

 今回は、フリーランスジャーナリスト島崎英純さん、そして冒頭から登場していただいた、サッカー専門紙エルゴラッソ記者、古屋恭平さんとの鼎談(ていだん)ということにしました。写真では、向かって右が島崎さん、中央が古屋さんです。

 テーマは、もちろんレッズ・・というか、読者の皆さんが、レッズのサッカーをとことん楽しむために蓄積しているインテリジェンスベース(自ら考える姿勢)を、より深めていくことの一助となれるよう、 フォルカー・フィンケが目指すところを、なるべく分かりやすく表現することにトライしたといった方が正確かな。あっ・・またまた表現が難しくなってしまいそうな感じ・・そうだよな〜、「難しい」フォルカー・フィンケがテーマだから仕方ないかな〜〜・・フ〜〜・・

 フォルカー・フィンケは、もちろん、攻守にわたる組織的な(コレクティブ)プレーを絶対的なベースに置いています。人とボールが、しっかりと動きつづける組織サッカー。そのイメージを絶対的なベースに、その流れのなかで、いかに効果的に「個の才能」を活かしていくのか・・というテーマに取り組んでいるということ・・だと思う。

 もちろん、組織パスプレーで、相手守備ブロックの中や背後のスペースを攻略できれば(フリーでボールを持てれば)すぐにでも最終勝負の起点ということになるよね。そこから勝負のコンビネーションを仕掛けたり、ドリブル勝負をブチかましたり。要は、しっかりとした組織プレーを展開できれば、「個の才能」を、最大限に表現させられるということです。

 そんなイメージで組織プレーをうまく機能させるためには、もちろん優れた運動量が求められる。まあ・・ボールがないところでの、攻守にわたる「動き」の量と質がテーマになるということだね。そこで重要な意味をもってくる「組織コンビネーション」というテーマについて、島崎さんに口火を切ってもらった。

 島崎さん。「フィンケは・・組織コンビネーションでは、11人全員が責任をシェアする・・その責任が、ある選手に偏ってはいけない・・とにかく例外なく全員が、攻守にわたる組織プレーに貢献しなければならない・・全員が、常に、次に何をしなければならないのかを考え、イメージし、忠実に実行していかなければならない・・なんて、よく、そんな言い方をしますよね」

 島崎さんがつづけます。「その視点でフィンケは、山田直輝を高く評価していますよ。彼の的確な判断とか予測能力を信頼しているんです。自分がボールに絡んでいくべきか、それとも絡まずに次のスペースへ移動すべきか・・とか、山田直輝は、その判断に長けていますからね」

 フムフム・・。要は、考え、予測し、実行していく能力のことだよね。そこで私は、ボールオリエンテッドなサッカーというテーマに入っていくことにしました。

 「ところで、冒頭で古屋さんを惑わしてしまったボールオリエンテッドなプレーという表現の意味合いだけれど、多分それは、攻撃でも守備でも、ボールに絡んでいる選手・・まあこれは、ボールホルダーが味方の場合は攻撃で、それが相手だったら守備のケースということになるわけだけれど・・そのボールホルダーが描くプレーイメージを予測する(イメージをシンクロさせる)というのが基本になるよね。そして、シュートを打つという攻撃の目的と、ボールを奪い返すという守備の目的を達成するために、その予測ベースのイメージを基盤にアクションを起こしていく・・」

 島崎さん。「そうですね・・。フィンケは、日本では、ボールに寄る傾向が強いけれど、ボールサイドに寄るだけではなく、離れたゾーンで、どんなプレーが出来るのかも、とても大事な要素だと言いますよね」

 古屋さん。「ボール絡みのプレーをしっかりと観察して、次のボールの動きを予測するということですよね。ボールホルダーのイメージを読むとも言えますかね。もっと言えば、次の展開を予測しながら、ボールがないところで何をすべきか考えつづけるともいえる・・」

 そう、その通り。だからこそ、守備でも、攻撃でも、その目的を「どのように達成するのか」ということについて、チームメイト同士が、自分たちのイメージをしっかりとシンクロさせなければならないということです。そのためにトレーニングがある。

 まあ、ボールオリエンテッドなプレーという表現のコノテーション(言外に含蓄される意味合いなど・・)については、難しいからこんなところで締め、ここからは、フォルカー・フィンケが志向するサッカーの本質的な「意義」についてディベートを深めていくことにしましょうかね。

 言葉を換えたら、フォルカー・フィンケの「情緒的なこだわり」なんていうふうに表現できるかもしれないね。「あんな」、ロジカルな必然要素のカタマリってな雰囲気を放散しているフォルカーにしても、もちろん、情緒的、人間的な「夢」があるんですよ。そう、リスクチャレンジ・・

■フォルカー・フィンケのリスクチャレンジと、サッカー的な悦び・・

 島崎さん。「サヌですけれどネ・・やっぱり彼はサイドバックじゃないですよ・・ディフェンダーとしては、ポジショニングが甘すぎる・・湯浅さんも、記者会見で、そのことについて質問をぶつけていましたよね・・もちろん前気味のハーフだったら、とても魅力的なプレーをするとは思うけれど・・」

 わたし。「そうそう・・ボールがプレーされているのとは逆のサイドで、決定的スペースへダッシュしようとしている相手へのマークを簡単に振り切られてしまうような集中切れプレーが二回もつづいたからネ・・それが失点につながった・・アレは、どの試合だったっけ?・・まあ、いいや・・でも、島崎さんが言うように、攻めでは、とても優れた才能を感じさせてくれるよね・・」

 島崎さん。「フィンケは、一方のサイドから攻められている状況で、その高さにいる三人目までの選手は、一人ひとり、階段のようにポジショニングさせることでカバーリングに備えさせるけれど、一番離れた反対サイドにいる選手については、ポジショニングを下げさせるのではなく、逆に高いポジションを取らせるんですよ・・要は、うまくボールを奪い返せたら、その、前に残っている逆サイドのフリーな選手に素早くパスを回すことで効果的なカウンターを繰り出していけるという発想です・・サヌも、そのことをイメージしてポジショニングしていたのかもしれないし、センターゾーンへボールが来ることを想定して、そこへ寄せていったのかもしれませんよね・・」

わたし。 「反対サイドの選手を、逆サイドゾーンのケアーではなく、ボール奪取からスタートする次の効果的なカウンターに有利なポジションに着かせるというやり方は、グランパス当時のアルセーヌ・ベンゲルも同じだったね。でも、そのやり方にしても、ケースバイケースで柔軟に対応しなければ、一発のサイドチェンジパスで決定的なピンチに陥っちゃう。サヌのようにね・・」

 島崎さん。「そうなんですけれど、フィンケは、次の攻撃の可能性を広げるリスキーなポジショニングについては、とても前向きに取り組んでいるんですよ。彼自身も、オレは、そのようなリスクを冒すことに躊躇しないよ・・そんなチャレンジがなければ、結局は勝負に勝てないし、選手にしても、喜びを持てないじゃないか・・なんて言うんです。わたしも、その考え方に納得しているし、選手も、しっかりと理解していると思いますよ」

わたし。 「そうか〜〜・・。まあ、それこそが、監督の意志ということだよね。ギリギリのところでリスクを冒す・・それがなければ、プレーする喜びがない・・。イレギュラーするボールを足で扱うという不確実な要素がいっぱいのサッカーだからネ、石橋を叩きすぎたら、選手や観客は、自由という感覚も含めて、まったく魅力を感じられないだろうな〜。でもさ・・」

 そこで軽くコーヒーに口を付けてから、言葉をつなぎました。「だから、フォルカー・フィンケのチームは、ギリギリのところで勝負弱いという傾向がついて回るのかもしれない。去年の夏、派手に負けつづけたじゃない。そこでは、無様なサッカーで完敗したっちゅうゲームは、一つか二つしかなかった。それ以外のゲームは、ギリギリのところで競り負けたという内容だったと思う。言い換えれば、当時のレッズは、勝ち切ることができなかったとも言える。そんな視点は、どうだろうか?」

 島崎さん。「そうですね・・彼らの場合、やりたいことが出来ないと、最後の勝負所で、フッと集中が途切れてしまうという傾向があるかもしれませんよね」

 古屋さん。「自分たちは積極的にリスクを冒していくんだ・・っていう意識は、徐々にチーム内に浸透してきていると思いますよ。それがなければ、決して発展しないということも含めてですけれど、とはいっても、島崎さんが言うように、90パーセントはうまく集中できているのに、最後の最後で、フッと集中が途切れてしまうようなシーンがあるのも確かなことだと思います」

 わたし。「そういうことなんだよね。逆サイドは、高いポジション取りをして次のカウンター攻撃に備える・・でも、状況によっては、柔軟に、カバーリングポジションに入ったり、協力プレスの輪に入ったりしなければならない・・とはいっても、そんな、柔軟で集中した守備プレーをしていても、ハッと気付いたときに、肝心の最終勝負シーンで、マークしていなければならなかった相手に決定的スペースへ抜け出されてしまうなんていう集中切れのミスを冒したりしてしまう・・とかね」

 フォルカー・チルドレンは、常に、様々な状況に対応し、最善のプレーを実行していかなければなりません。要は、考えて、積極的にアクションしていくサッカー。でも、考えてばかりで足が止まっては元も子もない。だから、考えながら、まず行動し、そのなかで、激しいポジションチェンジなど、常に柔軟に、プレーのイメージを「調整」していかなければならないのですよ。

 主体的に考えて決断し、自分を信じて積極プレーを繰り出していくこと(健全な自己主張)を要求しつづけるフォルカー・フィンケ。もちろんリスクは伴うけれど、リスクチャレンジのないところに進歩・発展はないし、もっといえば、希望や悦びもないからね。

 いまいる選手の能力を、リスクチャレンジに積極的にトライさせることで極限まで引き出し、その「組織プレー的に増幅した総合力」を、最高のレベルまで引き上げていく・・。それがフォルカー・フィンケが志向する行動原則であり、彼自身のモティベーション(悦び)でもあるということなんだろうね。最高のリスクチャレンジャー、フォルカー・フィンケ。フムフム・・

■「日本の夏」とフィンケのサッカー・・

 わたし。「さて、ここからは、日本の夏という難しいテーマに入っていくことにしましょうか・・」

 「フォルカーが目指すサッカーでは、運動量が求められる。だから日本の夏は、とても大きな障害になるのは理の当然だよね。昨シーズンも、時間の経過とともに運動量が目立って落ちたゲームも多かった。それでもサ、蒸し暑くなれば、ゲーム全体の運動量が下がってくるのは当たり前だから、勝負所でタイミングよく運動量をアップさせ、相手よりも、より多く、数的に優位な状況を作り出すというのがテーマになると思うんだよ」

 島崎さん。「そうなんですよね。でもフィンケは、暑いから運動量を効率的にコントロールしようといった発想は持ち合わせていないかもしれませんよ。要は、暑さ対策のプランニングを、過度にはやらないということなんですが、基本的にフィンケは、自分たちのサッカーが出来ていれば、疲れも感じないに違いないと考えているようです」

 わたし。「まあ・・そうだよな。記者会見で、日本の夏への対策について聞いたときも、自分たちのサッカーが出来ていれば・・そこに悦びさえあれば、疲れを感じることはない・・なんて、フォルカーにしては、ちょっとロジックベースが弱いと感じられるような発言をしていたよね。でも、不確実な要素が満載されているという意味で、究極の心理ゲームとも言えるサッカーだからね。たしかに、楽しければ、そんなに疲労も感じないだろうな〜。どちらにしても、攻守の切り替えも含めて、両チームの全体的な運動量や速さが減退していくのは当然の成り行きだから、そのなかで、プレーする悦びを、より強く持てているチームが有利になるというか」

 わたし。「とはいってもサ・・チーム戦術的に、やっぱり、何らかの具体的な方策はあるに違いないと思うんだよ。どうだろう・・?」

 島崎さん。「そうですよね・・たしかに、ポゼッションの傾向は、より省エネへと向かうでしょうね。例えば、足許パスを多用してクレバーにボールをキープするとか・・。省エネのポゼッションですか・・ネ。また、サイドチェンジを効果的に活用するということを、より強くイメージさせるような方策も練っているようです。相手守備が薄いゾーンへ効率的にボールを動かしていくということですが、これもまた省エネですよね」

 古屋さん。「たしかにフィンケは、積極的に暑さ対策のゲーム戦術を採用するような考え方はしないですよね。それよりも、暑いからこそ、よりクレバーに、数的に優位な状況を作り出す工夫をすることを要求する。そのためにも、やはりコレクティブな(組織的な)協力プレーが欠かせないし、全員が、同じイメージでプレーすることが大事ですよね」

 フムフム・・なるほど。フォルカー・フィンケは、暑さ対策のチーム戦術を導入するという、どちらかといったら「受け身」の発想ではなく、より「積極的・攻撃的」に暑さを克服していくようにチームをリードしていくわけだね。それは大正解だと思うよ。

 リスクチャレンジのないところに進歩はない・・という大原則を前面に押し出し、攻守にわたって積極的にリスキープレーを突き詰めていこうとするプロセスのなかで、もしコーチが、一度でも、「それでも、蛮勇はダメよ・・」なんていう注釈を入れた次の瞬間には、(特に日本人選手の場合は!?)もう誰も、本物のリスクにチャレンジしていかなくなるからね。

 自己主張のカタマリのようなフットボールネーションの選手を扱う場合は、より「抑える」心理マネージメントが有効に機能することが多い・・と思う。それに対して日本の場合は、より「極端&ラディカル」に、一つのベクトルを極めていく方向へ選手をモティベートしていくような心理マネージメントの方が有効になってくるケースが多いということですかね。

 だから、日本ほど、コーチに「忍耐力」が求められる社会「文化」環境はない!? フムフム・・

■最後は、より選手個々にスボッとを当てることにしましょう・・

 わたし。「さて今回の最後のテーマとして、個々の選手にスポットを当てましょう。ちょっと大雑把な質問だけれど、フォルカー・フィンケは、選手に対して、何を期待しているんだろうか?」

 島崎さん。「フィンケは、より総合的なチカラを要求していると思いますよ。攻守にわたって、しっかりとした組織プレーができるチカラとでも表現できますかね」

 古屋さん。「そうですよね。フィンケが目指すコレクティブなサッカーからすれば、やはりスペシャリストよりもジェネラリスト的な能力の方がフォーカスされる。もちろん、一芸に秀でたジェネラリストというニュアンスですけれど。例えば田中達也は、攻守にわたるハードワークでも抜群の効果レベルを魅せますよね。それにプラスして、ココゾ!の場面では、 リスキーなドリブル勝負など、しっかりと自分の特長を表現することも忘れない。とにかくフィンケの場合は、まず、攻守にわたる組織ハードワークありきということですよね」

 わたし。「そういうことだよね。その視点で、昨シーズンよりも何倍もパフォーマンスをアップさせているのが、トゥーリオが抜けたことで解放された阿部勇樹だと思うんだけれど・・」

 島崎さん。「私もそう思います。いまのチームで、彼ほどプレーすることを楽しんでいる選手はいないと思うんですよ。ある意味、フィンケが理想としているサッカーにマッチしたプレーが出来ているとも言えますかね。彼の場合は、イビツァ・オシムの指導によって攻撃面も開花したけれど、トゥーリオがいたことで、そんな彼のアクションが制限されていたのかもしれませんよね。それと、細貝萌と阿部勇樹によるセントラル中盤コンビですが、彼らは、フォルカー・フィンケが志向するサッカーにとって、とても重要な役割を担っていると思います」

 わたし。「たしかに、そうだ。先日のナビスコカップのベルマーレ戦では、このセントラル中盤コンビがいなかったことで、どうもうまくレッズのサッカーが機能しなかったよね。わたしは、所用があって試合後の記者会見に参加できなかったけれど、そこでフォルカーは、何て言っていたの?」

 島崎さん。「勝てたことはよかったけれど、内容は良くなかったって言っていたと思いますよ。そのセントラル中盤コンビですが、フィンケにとってそのコンビは、まさにチームの中核をなす存在なんですね。だからフィンケは、特に彼らに対して、攻守にわたって活躍することを要求するんですよ。彼は、セントラルの機能性と、そのエネルギーがチーム戦術を支えている・・なんて表現することさえあるんです」

 古屋さん。「わたしも、セントラルプレイヤーの大事さについて、何度かフィンケからハナシを聞いたことがあります。フィンケにとっては、まさに彼らがチームの中心ということなんでしょうね。守備でのハードワークだけじゃなく、攻撃でも、サポートワークや、三人目、四人目の飛び出しプレーが、仕掛け段階でのポゼッション内容とスペースの攻略プロセスをより効果的なモノにするわけですからね」

 わたし。「フムフム・・。セントラル中盤コンビは分かったけれど、そんな彼らと前戦をつなぐリンクマンとしての柏木陽介も、とても素敵なプレーを魅せつづけていると思うんだけれど・・」

 島崎さん。「ホントにそうですよね。移籍した一年目からチームの中心として活躍してしまうんだから、彼のポテンシャルの高さには舌を巻きます。そんな彼の発展には、サンフレッチェ監督のペトロヴィッチのチカラがあったと思いますよ。以前の彼は、自分だけが活きようとするプレー姿勢が強かったですが、いまでは、チームのためのハードワークを率先して遂行しますからね。彼もまたフィンケが志向するサッカーに、とてもフィットする選手だと言えますよね。まあ、とはいっても、柏木陽介自身は、まだまだ自分の能力を、周りが生かし切ってくれていないと感じているはずですが・・。何となく、彼が、もどかしさを感じているようにも見えるんですよ」

 わたし。「それと、ボクは天才ヤマダって呼ぶんだけれど、山田暢久も、とてもモティベートされてプレーしていると思うんだけれど・・」

 島崎さん。「彼は、常々、中でプレーしたいという希望を持っていたんですよ。サイドバックは、とても疲れるハードなポジションですからね。だから今の暢久は、満足感に満ちているんじゃないですか。実際、プレーも素晴らしく積極的ですしね。彼が、あんなに声を出すなんてネ・・。それも、彼の満足度のバロメーターっちゅうことなんでしょうね」

 わたし。「ところで、スピラノビッチ。前出の、ナビスコ、ベルマーレ戦での彼は、まあまあの出来だったという印象だけれど、チーム内での彼の評価はどうなの??」

 島崎さん。「良くなってきていると思いますよ。私は、とても能力の高いディフェンダーだと思っているんです。もっと言っちゃえば、山田暢久とスピラノビッチのセンターバックコンビが理想だとも思っているんです。坪井慶介は、運動能力が高いですから、サイドバックでも使えますからね」

 わたし。「フムフム・・。そうね〜〜・・暢久とスピラノビッチのセンターバックコンビね〜。それは・・、とても素敵な組み合わせになるかもしれないね。その視点でも、今後のレッズの発展プロセスに対する期待が膨らんでいくよね。さて、最後に攻撃陣のハナシをしようか。サイドバックやセントラル中盤コンビは除き、前の四人の組み合わせについてだけれど、ケガ人がもどってくることを前提に、その理想的なメンツは?」

 島崎さん。「言っちゃって、いいですかね〜・・。ボクは、理想的な攻撃陣として、エジミウソン、山田直輝、田中達也、そして柏木陽介のカルテットを思い描いているんですよ」

 わたし。「いいね〜〜・・。もちろん基本はエジミウソンがワントップということなんだろうけれど、もっと言っちゃえば、エジも下がって、ゼロトップのダイナミックカルテットってな感じも魅力的だよね。エジミウソンは、中盤でも、攻守にわたってしっかりと仕事を探せるからね。いいね〜〜、それ。ゼロトップをベースに、カルテットの四人だけじゃなく、セントラル中盤コンビやサイドバックが、ケースバイケースで、最前線のセンターゾーンへ飛び出していくんだよな。相手の守備ブロックは、恐怖におののくだろうね。フムフム・・。ところで古屋さんは?」

 古屋さん。「実は、わたしも、同じイメージを持っているんですよ。でも島崎さんと同じじゃ、あまり面白くないし・・。でも・・まあ、いいですかね。その、ダイナミックカルテットですが、彼らの基本は、何といっても守備意識の高さですよね。そんな基本があるからこそ、全員が、攻守にわたって、サボらずにハードワークできる。そして、それがあるから、相互信頼のレベルも上がる。フィンケも、そんな理想イメージを抱いていると思いますよ。後は、原口元気の使い方ですよね」

 わたし。「原口元気だけじゃなく、契約を更改したポンテ、セルヒオ、サヌ、梅崎司もいる。彼らが、健全でギリギリの競争を繰り広げる・・。考えただけで、ちょっと気が昂ぶってくるよね。もちろん、その競争を、健全なモノにするのがフォルカーの心理マネージャーとしてのウデというわけだけれど、そんなところにも大いに興味を惹かれるな〜〜」

 島崎さんと古屋さんが、異口同音に・・。「そうですよね〜〜。とにかく、レッズという興味深いチームを、継続的に観察できる立場にいることは、本当にラッキーだと思っていますよ」

 わたし。「ということで、今日は有難うございました。また、やろう・・ネ」

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 ところで、三年ぶりに新刊を上梓しました。4月14日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定したらしい。フムフム・・。タイトルは『サッカー戦術の仕組み』。池田書店です。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。

 




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