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2006_「U21」と入れ替え戦・・本当に残念で仕方ない・・でもまず「J=入れ替え戦」から・・(日本vs北朝鮮、1-2)・・(2006年12月7日、木曜日)

まず、ヴィッセル神戸とアビスパ福岡が争う入れ替え戦のショートレポートから。

 ギリギリのサバイバルマッチ。全力でのチェイス&チェックやボールがないところでの忠実なマーキングなど、両チームのディフェンス集中力は、最後の最後まで途切れず(持てる能力の)最高レベルに保たれていました。それはそれで、見応え十分でした。

 とはいっても、両チームともに仕掛けに十分な人数を投入していけなかったことで(組織的な仕掛けをうまく機能させられなかったことで)、両チームの守備ブロックが極限まで追い詰められたわけではなかったという側面もあった。要は、両チームのチャンスメイクが、「個の突破」が偶発的に成功したときや、相手のミスに乗じたときに限られていたということです。

 ところで、仕掛けへの「十分な人数の投入」という視点。つまり、仕掛けプロセスで数的に優位な状況を演出するというテーマ(=相手のウラを突く組織コンビネーションを機能させるというテーマ)のことだけれど、その背景ファクターを考えるのは面白い。まあこの試合は、サバイバルマッチということで、両チームともにそのテーマをうまく展開させられなかったわけだけれど、そこには、本当の意味での「バランシング能力」という興味深いテーマが内包されているのですよ。

 (戦術的な)バランスがよく話題になるけれど、それは、攻守にわたって、選手の「ポジショニング」と「人数」をいかにうまく均衡させるのかというテーマのことです。まあ、スペース・マネージメントというテーマと同義かな。バランスがうまく取れているからこそ、忠実で素早く、そしてクレバーな「集散」で、攻守にわたって数的に優位な状況を演出できるというわけです。

 ところで、どうしてその「バランス」が重要なテーマになってくるのかって?? それは、(以前のコラムでも何度か書いたように)良いサッカーでは、常にバランスが崩れるものだからです。だからこそ、再びバランスを素早く正確に整えるための優れた「バランス感覚」が大事なテーマになるっちゅうわけです。リスクチャレンジがないところに進歩もない。良いサッカーを志向するには攻守にわたるリスクチャレンジは絶対的ベースだし、そこでは、常にバランスが崩れるものなのですよ。

 でも、入れ替え戦はギリギリのサバイバルマッチだからね、(監督のゲーム戦術的な意図も含め)リスクチャレンジが「個の勝負レベル」にとどまるのも道理というわけです。また、積極的にバランスを崩していくリスクチャレンジには、ある程度以上の個の能力も要求されるという厳然たる事実もあるしね。だから私も、この試合では、ほんの小さなミスが致命傷につながってしまうシーンや、個人勝負による偶発的なチャンスメイクといった散発ドラマに主眼を置いて(要は、勝負という視点だけで)観戦していたのですよ。

 それにしても(互いに注意深かったからこその!?)ギリギリのエキサイティング勝負だったよね。三日後の、福岡での決戦が今から楽しみじゃありませんか。

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 さて、U21日本代表と北朝鮮との予選リーグ最終戦。

 フ〜〜ッ。いまゲームを見終わったところです。(戦術的な)内容では北朝鮮を凌駕していたのに、フリーキック二発で沈んでしまった。それだけじゃなく、勝ち点を六つも取ったのに二次リーグで敗退し、彼らのアジア大会が終わってしまった。

 たしかに北朝鮮は、最後の最後までディフェンスでの足が止まらなかったし、素晴らしいスピード感あふれる守備アクションは気迫にあふれていた・・日本代表は、そんな北朝鮮の守備ブロックを崩し切る(決定的スペースを突いていく)ところまでいけなかった・・人とボールの動きが足りなかった!?・・まあ、決定的な仕掛けを繰り出していくための(ボールなしの)動きの量と質が、北朝鮮ディフェンスが描くイメージの上をいくことが出来なかったということか・・組み立て段階での、ボールがないところでの動きの量と質はよかった・・ただ結局、北朝鮮守備ブロックのウラスペースを突いていけるだけの勝負プレー(勝負ドリブルや勝負コンビネーションなど)を繰り出していけなかった・・本田圭佑と家長昭博のドリブル勝負能力を効果的に引き出せるような「攻撃の変化」が十分ではなかったということか・・平山のアタマを狙った、シンプルなタイミングのアーリークロスを放り込んだり、中距離シュートをバンバン打ったり・・そんな攻撃の変化があったら、北朝鮮の守備ブロックも、少しは「開いて」いたはず・・等々・・どうもタラレバが・・もう止めよう。

 彼らのサッカー内容が明確に発展していたからこそ(ブレイクの予感さえあった)、本当に残念で仕方ない。シリア戦レポートを書きながら、このチームは、トーナメントのなかで大きく飛翔するに違いないと確信していたのに。いまはもう、これ以上のレポートを書く元気を絞り出せない。もう寝よう。

 




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