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- 2007_CWC・・睡魔と闘いながら書きましたヨ・・(レッズ対エトワール・サヘル、2-2、レッズPK戦勝ち)(ACミラン対ボカ・ジュニアーズ、4-2)・・(2007年12月16日、日曜日)
- 夜中の2330時ですが、やっと自宅までたどり着きました。明日は朝が早いから、コラムは、二試合を合わせて簡潔にまとめようと思います。まずレッズ対サヘルから。
チーム力はほぼ互角。もちろんそれにはチーム戦術的な意味合いも含まれます。要は、両チームともに組織プレーと個人プレーがうまくバランスしているということです。北アフリカの国々は、チュニジアにしてもアルジェリアにしても、はたまたエジプトにしても、なかなか洗練されたサッカーをやるからね。
まあ・・ね、チームの総合力はほぼ互角と書いたけれど、厳密に言えば、組織力ではレッズがやや上で、サヘルは、その差を、シェルミティーに代表される個人の能力で補っているという表現の方が実際に近いかもしれないね。でも後半になったら(特にレッズが勝ち越しゴールを挙げてからは)、サヘルが繰り出す組織プレーの勢いが大きく増幅していくのですよ。そして、その組織プレーをベースに、シェルミティーやベンデイファラーといった個の才能たちが、危険なドリブル勝負を仕掛けていく。
組織プレーの内容で差がなくなった場合、「個の能力の差」によって勝負が決まるというのが常識。まあレッズは、サヘルに勝ち越しゴールを奪われなかったことをラッキーだったと考えるべきでしょう。かなり守備ブロックが崩されかけていたからね。それにしても、サヘルが展開した「スペースを活用するスマートな組織プレー」は見事だった。それがうまく機能したからこそ、個の能力が存分に発揮されたのですよ。
とはいっても、PK戦の内容は完全にレッズが圧倒していた。落ち着きや蹴るコースなど、レッズには一日以上の長がありました。特に、ゴール上半分を狙ったシュートは秀逸。そこに飛んだ場合、GKは手が出ないからね。そこでは、アジアチャンピオンズリーグ準決勝でPK戦までもつれ込んだソンナムとの激闘を通じて得たギリギリの成功体感が大いに活かされていたに違いありません。
ところで前半のこと。細貝と山田暢久、そして長谷部誠が、基本的なポジションを入れ替えたことでサッカー内容が改善されるという現象が目立っていました。
最初、山田暢久がトップ下に入り、長谷部が守備的ハーフとして鈴木啓太とコンビを組みました。そう、昨シーズンのリーグ終盤で大成功を収めた「ダイナミック・トライアングル」。期待が大きく膨らんだものです。でも、どうもうまく「トライアングル」の機能性が高揚していかない。ただ、基本的なポジションを変えたところから、レッズのサッカー内容が高揚していくのですよ。組織プレーと個人勝負プレーの高質なバランス。そこでは、長谷部誠がトップ下に入り、細貝が、鈴木啓太と守備的ハーフのコンビを組みました。また山田暢久は、本来の右サイドバックへ。
良かったですよ、本当に。とはいっても、後半は(特に終盤は)サッカーの質でサヘルに軍配が上がるけれどね。
どうもうまくアタマが回転しない。とにかく、国際的なトーナメントにおいて、実力で三位を勝ち取ったレッズに、心からの拍手を贈ります。
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さて次は、ACミランとボカ・ジュニアーズの決勝。ACミランが、内容でも結果でもボカを圧倒しました。
ということで、クラブワールドカップになってから初めて、ヨーロッパのクラブがカップ(シャーレ!?)を持ち帰ることになりました。もっと言えば、はじめて、総合力が上の(プレー内容が上の)チームが勝利を収めた大会だったということになりますかネ。リバプールにしてもバルセロナにしても、ゲームを支配していたにもかかわらず、結局はゴールを奪えずに敗退してしまったからね。
この試合でのACミランは、アンチェロッティー監督の弁を借りれば「攻撃的なゲームになった・・」ということだったけれど、本当にACミランは(本来の意味合いでの)攻撃的なサッカーを展開したのだろうか・・!? アンチェロッティー監督に、「攻撃的・・」という言葉の意味合いを質問すればよかった(質問数が制限されたことで結局は質問できなかった・・残念・・)。
この試合でのACミランは、相変わらず、互いのポジショニングバランスをしっかりとマネージしながら、素晴らしいスピードと正確性の足許パスをつなぎまくっていた。そして最後の瞬間に、ズバッと決定的スペースを突いていく。もちろん組織コンビネーションを駆使したり、セードルフとカカーの個人技を活用したり。
まあ確かに、この試合でのACミランは、より積極的に「高い位置」でボール奪取勝負を挑んでいたから、そのことを「攻撃的」と呼んだのかもしれない。それでも、その後の攻撃のやり方は、基本的には何も変わっていない。互いのポジショニングバランスを取りながら、全体的に押し上げていく・・そのなかに、(カカーとセードルフに代表される)個のドリブル勝負を織り交ぜたり、一発勝負のロング(スペース攻略)パスを繰り出したり・・などなど。ミランのサッカーについては、レッズとの準決勝レポートを参照してください。
ボカの監督さんも、ミランが魅せる、巧みなスペースの使い方に脱帽していた。もちろんスペース活用には二種類あるよね。一つは、ボールがないところでの動き(フリーランニング)とパスによってスペースを突いていく組織的な勝負プレー。そしてもう一つが、ドリブルでスペースへ入り込んでいく個人的な勝負プレー。その両方で、ミランが一日以上の長を感じさせていたのです。
ドリブル勝負では、特にカカーが切れまくっていた。試合の立ち上がりは、相手のタイトマークに、うまくフリーでボールを持てなかったけれど、シンプルプレーを組み合わせることで、徐々に「スペース」でボールを受けられるようになった。そうなったら、もう誰もカカーを止められない。やはり、個人プレーのバックボーンは、シンプルな(ボールがないところでの動きがコアになった!)組織プレーなのですよ。
申し訳ありません。もう睡魔に勝てなくなっています。今日は、こんなところです。あっと・・セードルフも素晴らしいプレーを魅せたですよね。ボールが亡いところで大きく動き、そこでパスを受けることで効果的な攻撃の起点になっていた・・。いま、一瞬寝てしまい、ハッと目が覚めてセードルフに関する記述を読み直したところです。どうもうまい表現が出来ないけれど、アタマが回転していないのだから仕方ない。とにかく今日はもう寝ます。
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しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(ウーマン)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「五刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞、東京新聞の(また様々な雑誌の)書評で取り上げられました。NHKラジオでも、「著者に聞く」という番組に出演させてもらいました。また、スポナビの宇都宮徹壱さんが、この本についてインタビューしてくれました(その記事は「こちら」)。またサボティスタ情報ですが、最近、「こんな」元気の出る書評がインターネットメディアに載りました。
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