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2007_CWC・・エトワール・サヘルの粘り腰に拍手!・・(パチューカ対エトワール・サヘル、0-1)・・(2007年12月9日、日曜日)

やっぱりな〜、結局シュート数はほぼ互角ということになったのか・・。

 実力的には誰がみても格上というメキシコのパチューカ。対するは、エジプトの強豪アル・アハリを破ってアフリカ代表としてクラブワールドカップに初登場したチュニジアのエトワール・サヘル。そのゲームは、まさに、誰もが予想した展開になりました。パチューカがゲームを支配し、しっかりと守って鋭いカウンターを仕掛けていくサヘルという構図。

 もちろん、そんな大枠の構図のなかにも、両チームともに、決して仕掛け過ぎない(十分な守備人数を残す!)などの隠されたゲーム戦術(規制)がありました。一発勝負だからね、仕掛け「過ぎた」方が負ける確率はものすごく高いモノになってしまうというわけです。だから、全体的にゲームを支配していたパチューカにしても、基本的には、前後の人数&ポジショニングバランスをしっかりと取りながらゲームを進めていたのですよ。

 前半は、まさにパチューカの独壇場でした。セットプレーから二本、そしてカウンターの流れからも二本、明確なチャンスを作り出したのですよ。なかでも、前半14分のコーナーキックからのチャンスは絶対的だった。最後はフリーのカバジェロが決定的なヘディングシュートを飛ばしたけれど、最後の瞬間、サヘルGKにセーブされてしまった。それは、誰もが「キタ〜〜ッ!」と心のなかで叫んだ瞬間でした。

 でも後半は、サヘルも、粘り強いディフェンスから鋭いカウンターを繰り出していくなど、格段にペースアップしていくのです。それも、しっかりとシュートまで持っていくのだから大したものだ(後半12分には、正面からベン・ディファラーが放った中距離シュートを、パチューカGKカレロがギリギリのセービングで防いだなんていうシーンもあった)。

 そんな流れのなかで、逆にパチューカの仕掛けから勢いが失われていく。どうしたんだろう・・まあ彼らの攻撃は単調だからな・・サヘルの守備ブロックも、パチューカの仕掛けテンポを明確にイメージできるようになったということか・・。そんなことが、冒頭の「やっぱりな〜・・」とという感想のベースにあったということです。もちろんパチューカも、ペースダウンしたとはいっても、アルバレスが抜群のスピードを駆使した勝負ドリブルから決定的クロスを送り込むなど、惜しいシーンを作り出していたけれどネ。

 ということで、全体的にみた場合、両チームともに持てる特長を出し尽くしたというのがストレートな印象でした。とはいっても、実質的な内容では確実にパチューカに軍配が上がるから、エトワール・サヘルが、神様スクリプトのラッキーゴールで準決勝に駒を進めたことには、ちょっと納得がいかなかった。

 そして思ったものです。パチューカは、あれだけの決定機を決められずに、サヘルの後半のペースアップを助長してしまったのだから(そのことが自チームの後半のペースダウンにつながってしまったのだから!)まあ自業自得だよな・・。でもね、内容的にどうも後味が悪かったから、パチューカの監督さんにこんな質問をぶつけてみることにしたのですよ。

 「内容的には、たしかにパチューカの方が上でした・・だからアンラッキーな敗戦という評価が妥当でしょう・・ただ、(特に後半の)パチューカの攻撃が単調だったことは確かなだと思うのですよ・・攻撃のもっとも大事なコンセプトは変化ですからね・・パチューカには、ショート&ショートばかりじゃなく、たまにはロングボールを決定的スペースへ送り込むといった発想はなかったのでしょうか?」

 それに対してパチューカ監督が、こんなことを言っていた。「ロングボール!?・・まあ少しは考えた・・ただそこにはプレースタイルの違いもあるし、我々は身体的なハンディキャップも抱えている・・我々は、空中戦には向いていない・・」

 フムフム。そういえば、毎年ドイツで行われる(ドイツプロサッカーコーチ連盟主催の)サッカーコーチ国際会議で一緒になったメキシコのコーチが(たしか彼はメキシコ人だったと記憶しているけれど・・)、メキシコのサッカーについてこんなことを言っていたっけ。昨年のドイツコーチ国際会議については「こちらこちら」を参照してください。

 そのコーチ曰く。「メキシコは、ショートパスを前後左右にしっかりとつなぐことでチャンスの芽を作り出すという発想なんだよ・・もちろんパスは、横への安全パスばかりじゃないんだぜ・・しっかりとタテ方向へも動かすリスキーなものだ・・それがなければ、相手を挑発して誘い出せないからな・・もちろんパスのスピードにも変化をつけるんだ・・そして、相手ディフェンスに穴を作り出し、一気にテンポアップしてそのスペースを突いていくんだよ・・もちろん味方とのコンビネーションを基盤にしてね・・そんな仕掛けイメージを全員がシェアしているからこそうまくいくんだ・・オレたちにとっては、ロングボールは、ちょっとアバウトに過ぎるかもしれない・・それにオレたちは、日本人と同じくらい背が低いからな・・アハハッ・・などなど」

 フムフム。最後は、エトワール・サヘル監督の胸を張った発言を、私なりにまとめることで締めましょう。

 「相手は強いチームだと分かっていた・・だから守備を固めてカウンターを狙うという発想でゲームに臨んだ・・もちろん、組織的なサッカーをベースにしてね・・今日は、そのイメージ通りのサッカーで勝利を掴んだ・・たしかに支配力が弱いなど、我々のチームは輝いていなかったかもしれない・・でもサッカーは、ボール支配率(ポゼッション)が高くても勝てるというものではないのだよ・・とにかく、世界に対してチュニジアサッカーのプレゼンスを上げられたことが嬉しい・・」

 エトワール・サヘルが展開した粘り強いサッカーに拍手!! それでも、パチューカ対ボカ・ジュニアーズの試合も観たかったな〜〜

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 しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(ウーマン)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま四刷り(2万数千部)ですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞、東京新聞の(また様々な雑誌の)書評で取り上げられました。NHKラジオでも、「著者に聞く」という番組に出演させてもらいました。また、スポナビの宇都宮徹壱さんが、この本についてインタビューしてくれました(その記事は「こちら」)。またサボティスタ情報ですが、最近、「こんな」元気の出る書評がインターネットメディアに載りました。

 




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