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2010_UCL・・第二戦の「ゲーム構図の全体像」は明確になったけれど、バルサ対インテルも含め、実際のコノテーションには様々な興味深いテーマがある・・(バイエルン・ミュンヘンvsリヨン, 1-0)・・(2010年4月22日、木曜日)

フ〜〜、バイエルンは粘り強いね。多国籍軍だし監督もオランダなのに、底流に流れるマインドは「伝統的なドイツ」!? さて・・

 バイエルン・ミュンヘンにしてもリヨンにしても、実質的なゲームの内容からすれば、準々決勝で姿を消してもおかしくなかった両チーム。

 バイエルンは、マンチェスターユナイテッドに、内容では完璧に凌駕されていたにもかかわらず(まあ・・攻守にわたる組織プレーが一つのユニットとして有機的に連鎖しつづけ、そのなかに天才プレーが効果的にミックスしてくるマンU・・ってなことかな!?)、マンUに、サッカーの神様のイタズラとしか考えられないほど不運がつづいたことで勝ち進んだ。またリヨンにしても、ローラン・ブランという若き智将に率いられて素晴らしい発展を遂げているボルドーを相手に、同様に「ラッキー」な準決勝進出を決めた。

 そんな両チームだし、そこはUEFAチャンピオンズリーグの準決勝だからネ、「ここまで来たら・・!」と、勝ちにこだわる「堅い」サッカーを展開するのも道理というところでした。要は、攻めるにしても、常に「次のディフェンスでのバランス」をより強く意識しているのが手に取るように分かる・・といった雰囲気なのですよ。前にスペースがあっても、後ろから「行け〜っ!」と後押しされたり、まわりのチームメイトと目くばせの合図をしながら(後のカバーはたのむゼッ・・ってな具合)のオーバーラップ・・などなど。

 とはいっても、もちろんホームのバイエルンの方が、より積極的に押し上げていったことは言うに及ばない。人数の掛け方が、とても注意深く、限定的だったにしてもネ・・。

 まあ、バイエルンの場合は、リベリーとロッベンという希代の「個の才能」が仕掛けイメージを引っ張るから、どうしても、オリッチやトーマス・ミュラー(また両サイドバックや守備的ハーフも!)といった周りの味方は「二つの天才がリードする仕掛けの流れ」を注意深くサポートするというイメージでプレーせざるを得ないよね。だから、この二人が「個の勝負」を仕掛けていかなければ何もはじまらない。

 まあ、中盤の絶対的リーダー、ファン・ボメルが出場停止ということも大きかったね。彼がいれば、もっと組織的な仕掛けの流れが加速したはず。要は、より積極的に、両サイドバックと守備的ハーフが(シュヴァインシュタイガーとファン・ボメルが)最終勝負プロセスに、実効あるカタチで参加したはず・・ということです。そして、そんな「組織」がより活発に機能すれば、二つの希代の天才も、もっと効果的に光り輝けたかもしれない・・。

 さて、一週間後の、リヨンでの第二戦。こちらも、バルサ対インテル同様、ゲーム戦術的に「状況設定が限定されている」からこそ、見所も豊富だね。もちろん、どちらかが攻め上がっていくしかないと(要は、最初から、どちらかが仕掛けていくという展開が必然!)ということだけれど、その現象にしても、分かりやすい構図にはならないでしょ・・。そこには、ゲーム戦術的な発想として、ちょっと違った視点もありそうなのですよ。

 まあ二点ビハインドのバルサは、(ブスケッツを、仕掛けの流れに参加していかない=攻め上がっていかない=次の守備の中心となるべきバランサー=アンカー=に設定するというゲーム戦術的な大前提をベースに!?)最初からガンガン仕掛けていくだろうけれど、同じように、勝たなければならないリヨンはどうだろう・・。

 わたしは、彼らの場合は、ちょっと微妙だと思う。何せ、バイエルンには、ロッベンという、カウンターの天才がいるからね(まあ・・リベリーが出場停止というアドバンテージはあるにしても・・ネ)。攻め上がり過ぎたら、必ずしっぺ返しを喰らう。そして一点でも「アウェー・ゴール」を奪われたら、それで全てが終わってしまう。微妙だね・・。

 一方のチームが勝ちにいかなければならないという「ゲーム構図の全体像」が明確になった第二戦。そこでは「どのように勝ちにいくのか」というゲーム戦術的な見所があるわけです。とにかく、お互い、とことんサッカーを愉しみましょう。

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 お知らせですが、きたる5月3日の月曜日。NPO法人横浜スポーツコミュニケーションズ(ヨココム)が主催する「湯浅健二の独演会」が、昨年につづいて開催されることになりました。テーマは「岡田ジャパン」・・まあ、「日本人はなぜシュートを打たないのか?」っちゅうテーマにも入っていかざるを得ない!? さて・・。詳しくは「ここ」を参照してください。

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