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2010_天皇杯準決勝・・決勝は、メチャクチャ面白い勝負マッチになるゾ〜〜!!・・(ガンバvsエスパルス、0-3)(アントラーズvsFC東京、2-1)・・(2010年12月29日、水曜日)

「そんなに怒らないで下さいヨ〜〜・・」

 アントラーズ、オズワルド・オリヴェイラ監督との「記者会見での対話」で、思わずそんな弁解が口をついて出そうになった。あははっ・・。まあ、このことについては後で・・

 では、まず、テレビ観戦だったガンバ対エスパルス戦から・・

 あっと・・、このコラムのメインテーマですが、チーム総合力における「個のチカラ」と「そのインテグレーション(正しい組み込み)」ってなコトになりそうです。

 それは、とても難しいテーマ(メカニズム)。そんな難解なテーマを簡単な言葉で表現できるかどうか自信がありません。まあ「そのこと」こそが、哲学という、社会を構成するもっとも重要な要素の隠されたミッションでもあるわけだから(まあ・・何故?何故?と考えつづけること自体が哲学ですよね・・しょっぱなから難しい表現をしてしまう愚の骨頂の筆者なのでありました〜〜)・・

 ところでガンバ対エスパルス戦。それは、まさにエスパルスの完勝と呼べるものでした。とてもダイナミックでクリエイティブな守備をベースに、どんどんとガンバ守備ブロック内へ「浸食」していくエスパルスだったのです。

 「浸食」の意味は、もちろん、ガンバ守備ブロックのウラに広がる決定的スペースを、何度も攻略したということです。見ているこちらがビックリするほど、エスパルスのゲーム支配内容が突出していたのです。そして、藤本淳吾のスーパードリブル&スーパークロスから、ヨンセンが先制ヘディングゴールを決め、その9分後には、左サイドを完璧に崩したエスパルスが追加ゴールを挙げる。まさに順当な、エスパルスのリード。2点目シーンでは、完全に崩し切ったからこそ、後方から押し上げてきた兵働昭弘も、余裕をもって、こぼれ球をブチ込むことができた。

 後半は、もちろんガンバの反攻が予測された。そこでは、このところ攻守の組織(汗かき)プレーでも価値ある「姿勢」を魅せはじめた宇佐美貴史が引っ張る。

 宇佐美貴史は、ホントにいいね。「あの」エゴイストの組織マインドを、ここまで発展させたガンバ監督、西野朗に拍手です。

 とはいっても、その宇佐美貴史にしても、この日のエスパルスの敵じゃなかった。たぶん「今のエスパルス・トップチーム」には、とても明確な「共通の敵」がいるということなんだろうね。だからこそチームが、強固に一つにまとまっている!? さて・・

 そしてエスパルスが、前半の明確なドミネーションの雰囲気(ゲーム支配傾向)を薄めることなく、まさに順当という3点目を奪い取るのですよ。

 ここでも、ザッケローニが日本代表に選出した藤本淳吾が右サイド切り裂き、その正確なクロスボールを(相手ディフェンダーの眼前スペースへ正確に飛んできた!)、相手よりもアタマ一つ飛び出したヨンセンが、「コレゾ世界の決定力!」という雰囲気で、ズバリと決めた。

 ということで、この試合のテーマは、藤本淳吾・・ではなく、小野伸二なのです。

 このことは、もう何度も書いたけれど、クレバーな長谷川健太監督は、(もちろん小野伸二や、他のチームメイトたちと深く語りあうことで!)小野伸二という才能を、とても効果的なカタチでチームにインテグレートした(組み込んだ)のであります。

 攻撃でも守備でも、必死のチェイス&チェックや(長い距離を走り切る)忠実マーク、また攻撃でも、自分がボールを受けられる状況でしか走らない小野伸二。そんなプレー姿勢であるにも、かかわらず、ドリブルで決定的な突破を魅せられるワケでもない。

 でも、小野伸二が魅せるシンプルな展開パスや確かなキープ力、そして、その「タメ」から繰り出される決定的な勝負パス(特に中距離パス)やフリーキック等々。長谷川健太監督は、そんな「勝負プレー」に対するチームの信頼性を、極限まで引き上げた。だからこそ、チームメイトたちは、彼のために、汗かきの守備に走りまわり、攻撃では、味方にスペースを作るためや、小野伸二からの決定的パスの効果レベルを高めるために、3人目、4人目のフリーランニングを忠実に繰り出しつづけるのです。

 いまのエスパルスでは、そんな「仕掛けイメージのメカニズム」が、とてもうまく機能しつづけていると思います。周りのチームメイトたちも、納得して「小野伸二の才能」を活用しまくる・・っちゅうわけです。もちろん、最終的にはチームのため、そして自分自身のため・・にね。これは、とても健全な雰囲気だよね。

 それに、この試合での小野伸二は、気まぐれではあるけれど、比較的「忠実」に、チェイス&チェックや忠実マークなど、組織的な汗かきプレーだけじゃなく、攻撃でも、パス&ムーブといった組織的な汗かきチームワークにも精進していた。まあ・・あくまでも「気分が乗れば・・」のハナシなんだろうけれど、この試合での小野伸二は、本当に、とても効果的なプレーを展開できていた。

 だからこそ、使われる方の藤本淳吾も、後ろ髪を引かれることなく、スペースへ向けて、忠実にフリーランニングする。そして、効果的なカタチで、小野伸二からの正確なパス供給を受けていた。だからこそ、素晴らしい活躍を魅せることができた。

 ということで、いまのエスパルスでは(共通の敵という心理・精神的バックボーンも含め!?)ポジティブなマインド(意志のパワー)と攻守にわたる効果的なプレーイメージの善循環が回りつづけていると感じた。

 いまのヤツらは、ホントに強いゼ・・

 そして、そんな「強い」エスパルスと決勝で相まみえることになったアントラーズ。

 この試合での彼らは、大きくイメージダウンしていた。攻守にわたるエネルギー(パワー・・ダイナミズム・・など)が半減した・・っちゅうイメージ。攻撃がうまくいかなくても、圧倒的な守備力(ボール奪取力)で相手をねじ伏せ、ゲームの主導権を握る・・っちゅうのが、よい時のアントラーズのイメージなんだけれど、この日の彼らは、とてもそんな雰囲気じゃなかった。

 そんなだから、FC東京がゲームのイニシアチブを握るのも道理。とはいっても、そこは腐ってもアントラーズだよね。肝心の「チャンスの量と質」じゃ、FC東京を凌駕してしまうのですよ。要は、ゲームの主導権はFC東京が握ってはいるものの、アントラーズの方が、より危険なチャンスを作り出しているということです。

 じゃ・・アントラーズのイメージが大きくダウンしたっちゅう評価は正しくないじゃないか・・って?? いやいや・・、にもかかわらず、そのサッカーが「いつものアントラーズ」とはかけ離れていたことは確かな事実だったのですよ。

 わたしの目には、そのもっとも大きな要因が、マルキーニョスの退団にあり・・と映っていた。それが、二つ目の、チーム総合力における「個のチカラの存在感」というテーマ。

 「本山雅志の登場でアントラーズのサッカー内容が格段に好転したという、いまの大住良之さんの質問の流れに乗るのだが・・わたしは、アントラーズの優れたサッカーの流れを演出するメインパーソンとしてマルキーニョスも挙げたい・・もう彼はいないのだから、話題にすることはフェアではないかもしれない・・ただ、彼の後継者たるべき大迫勇也のプレー姿勢には、大いに落胆させられたから、聞きたいと思った・・マルキーニョスは、攻撃で素晴らしいプレーを披露するだけではなく、素早い攻守の切り替えから、常に最前線からチェイス&チェックを仕掛けつづけていた・・それが、アントラーズの効果的なボール奪取プロセスを演出していた・・それに対して、若い大迫のディフェンス姿勢は、まさにゼロに等しいと思う・・たしかに大迫はゴールを決めた・・とはいっても彼の全体的なプレーはマイナス要素の方が大きかったと思う・・これからアントラーズは、どのようにマルキーニョスの穴を埋めていくのだろうか?」

 そんな私の質問に、オズワルド・オリヴェイラ監督が、不機嫌な雰囲気で、それでも、いつものように真摯に、こんなニュアンスのコメントをくれた。例によって、行間ニュアンスを中心にまとめまさせていただきますよ。

 ・・サッカー選手にとってもっとも重要なファクターは、何といっても経験だ(大迫勇也に欠けているモノ!?)・・あるブラジルの詩人が、こんな詩を詠んだことがある・・世の中には、一日ガンバリつづける人がいる・・それはそれで、素晴らしい・・また世の中には、一ヶ月もガンバリつづけられる人がいる・・それも、本当に素晴らしいことだ・・でも世の中には、一生を、継続してガンバリつづけられる人もいるのだ・・それこそが最も素晴らしいことなのだ・・

 たぶんオズワルドさんは、大迫勇也に欠けている経験は、一朝一夕には克服できるものじゃない(そのマイナス面を殊更にクローズアップするのはフェアではない!!)・・でも彼には、それを克服するための努力を惜しまない姿勢(資質!?)がある・・人には様々なタイプがいるわけだが、彼には、粘り強く、一生つづくような努力を積み重ねて欲しい・・彼は素晴らしい才能だ・・もちろん今はまだ多くの課題を抱えている・・でも私は、彼が、継続的な努力を基盤に、そんな課題をステップパスステップで乗り越えていくと確信している・・だから、この段階で、彼のことを(必要以上に!?)クサすのは止めろ〜〜っ!!・・ってな文句が言いたかったんだろうね。

 わたしは、オズワルドさんに対し、殊更に「挑発的なニュアンス」で質問したけれど、実は、部分的には、大迫勇也のプレーに舌鼓も打っていた。

 突破ドリブルや、ドリブルシュートといった「才能プレー」は当たり前だけれど、それだけじゃなく、たまに(気が向いたら!?)取り組む、汗かきの(爆発的な)チェイス&チェック、全力での(最後まで走り切るような)忠実マーキング、はたまた、味方にスペースを作り出すような「大きなフリーランニング」といった、忠実な、組織的な汗かきプレーも(それに対する大迫勇也の強い意志も!!)何度も確認していたのですよ。

 逆にいえば、だからこそ、そんな、攻守にわたる忠実な組織プレーを「必要なときに常に」繰り出さない(たまにサボる!)という不安定なプレー姿勢(不安定な闘う意志!!)に、とても不満になっていたというわけです。

 あんな才能だからこそ、組織的な汗かきプレーにも、高い安定性をもって精を出せば、レッズの原口元気も含め、ホンモノの「世界レベル」へ到達できるはず・・という「強烈な思い」が、オズワルド・オリヴェイラ監督に対する、ちょっと挑発的な質問になってしまった・・っちゅうことでしょうか。

 スミマセン・・ね、オズワルドさん・・でも、わたしの、プロコーチとしてのオズワルド・オリヴェイラに対するレスペクトには、まったく変わりはありませんから・・

 ということで、第90回天皇杯の決勝。

 わたしは、例によって、ラジオ文化放送で解説を担当するのですが、来シーズンのACL参加権を争う一発勝負という意味合いも含め、それが、メチャクチャ面白い勝負マッチになることを確信しているから、いまから、鳥肌が立つほどの期待感に燃えていますよ。

 とにかく、お互いに、とことん決勝を楽しみ尽くしましょう。

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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