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2010_日本代表・・ザッケローニの確かな心理マネージメント!?・・とにかく日本代表のこれからに期待が高まる・・(韓国vs日本, 0-0)・・(2010年10月12日、火曜日)

それにしても・・ホントに・・ザッケローニが率いる日本代表は、素晴らしいスタートを切った。これだけは、誰にも否定できない確かな事実だよね。

 何せ、「あの」アルゼンチンに勝利を収めただけじゃなく、ホームの(日本代表にとってはアウェーの)ソウルで戦う韓国代表に対しても、互角以上の「戦術コンテンツ」を内包した立派なサッカーを魅せつづけたわけだから。

 特にアルゼンチン戦では、立ち上がりの時間帯を除き、リードしてからも、アルゼンチンに最後の最後まで自分たちのサッカーをさせなかっただけじゃなく、彼らを、ボールの動きとフリーランニングが上手くリンクしない(スペース活用とは無縁の)足許パスのオンパレードという無様なサッカーに陥れもした。

 また、この韓国戦でも、たしかに立ち上がりは、(例によって!?)彼らのパワーに押し込まれるシーンもあったけれど、それにしても、以前のように「タジタジから心理的な悪魔のサイクルへ陥っていく・・」という無様な展開に落ち込んでいくのではなく、彼らのパワフルなプレッシングサッカーをしっかりと受け止められていたし、時間の経過とともに、効果的に押し返してゲームのイニシアチブを握っただけじゃなく、ものすごく強い韓国守備ブロックを振り回してしまうシーンも作り出した。

 もちろん、ワールドカップ直前にホームで負けた韓国とのフレンドリーマッチの内容は、しっかりと闘いつづけたという意味も含めて、決して無様な敗戦じゃなかった。でもこの試合では、アウェーで引き分けという「立派な結果」を自らのチカラで掴み取っただけじゃなく、サッカーの内容でも、「日本はホントに強くなったナ〜〜・・」と観ている者を感嘆させたという視点で、特別だったかもしれない。

 とにかくコラムの前段では、ザッケローニのデビュー戦となった、この二つの代表戦が、「確かにザッケローニは何かを持っている・・」と期待を抱かせるに十分な出来事だったということが言いたかったわけです。

 そのポイントも含め、韓国のチョ・グァンレ監督に聞いてみた。「韓国代表が2連勝したワールドカップ前の日本代表と、いまの日本代表では、何かが違うと思いませんか?・・もし、そう思われる場合、その違いは何だと思われますか?」

 それに対してチョ・グァンレ監督は、迷うことなく、こんなニュアンスのコメントをくれた。

 「ワールドカップでの日本代表とこのチームでは、ボールを奪い返した後の、タテへ仕掛けていく姿勢に、明確な違いがある・・オカダ監督のときは、ボールを奪い返した後に横パスを多用するなど、ちょっと時間を無駄にする傾向があった・・ただ、ザッケローニ監督になって、明確に、タテへ仕掛けていく姿勢が積極的になった・・」

 フムフム・・。とても重要な、正しい視点だと思う。

 とはいっても、ワールドカップ本戦では、結果「の方が」重要だったわけだから、それはそれで、岡田武史監督がチームに浸透させた正しい「プレーイメージ」だったとは思うけれどネ。後藤健生さんとの「対談生本」でも、オランダ戦やデンマーク戦で、岡田武史が、より攻撃的にゲーム戦術をチェンジしたシーンを回想したけれど、そのリスクチャレンジで、取り返しのつかない事態に迫られてしまったことも事実だったわけだから・・

 ところで、チョ・グァンレ監督に対するわたしの質問の骨子は、まだ岡田武史が「究極の(プレッシング)組織サッカー」へのこだわりを捨てていなかったワールドカップ以前の日本代表との比較だったけれど、チョ・グァンレ監督は、ワールドカップ本戦という「特殊な状況」と比べてしまった。

 まあ・・ちょっと残念ではありました。チョ・グァンレ監督にしても、あの当時の日本代表とこのチームでは、自信&確信レベルに大きな差があると感じているはずなんだけれど・・

 そう、この試合でのメインテーマは、前回のアルゼンチン戦同様に、日本代表が放散しつづけた「確かな自信」なのですよ。もちろん、ワールドカップで決勝トーナメントへ進出した体感によって確固たるカタチを魅せはじめた心理・精神的なバックボーン・・

 後藤健生さんとの「対談生本」でも語ったけれど、ジーコが、世界レベルの相手とのフレンドリーマッチで勝ち切れない日本代表に対して、こんな苦言を呈したことがある。「何をビビッているんだ・・あれだけのギリギリの勝負を展開していながら、いつも最後はやられちゃう・・あそこで勝たなきゃ、いつ勝つんだヨ・・」

 さすがにジーコ。感覚的に、「勝つこと」がもたらす、ものすごく「大事なモノ」のことを分かっている。フィリップ・トルシエのときも、アウェーで、強豪のポーランドに勝ってから(確か、2002年3月)、日本代表が、明確に「何か」から脱皮したからね。

 そう、世界に対して互角以上のサッカーを展開できたという体感から生み出される「自信と確信」・・それがあるからこそ、どんな相手に対しても自分たちの持てるチカラを存分に発揮できる・・だからこそ、世界トップとの間の「最後の僅差」を、より明確に体感し、それを超えていくアプローチが見えてくる・・

 この試合では、これまで私が継続的に文句を言いつづけていた2人の選手が、とても素晴らしいガンバリを魅せた。言わずと知れた本田圭佑と松井大輔。もちろん、守備での汗かきチェイス&チェックや、攻撃での、ボールがないところでの汗かきの動きが、とても良かったということです。これもザッケローニによる心理マネージメントの賜物!?

 またザッケローニは、ワールドカップで「本格的なブレイク・スルー段階に入った世界に対する自信と確信」のシンボルである遠藤保仁と長谷部誠を、この試合でも中盤の「重心」としてグラウンドへ送り出した。彼らをチームの中心とすることに、何らのためらいもない。これもまた、彼の「眼の確かさ」の証明ということなんだろうか!? まあ・・優れたバランス感覚・・

 そして、韓国のチョ・グァンレ監督が言っていた(彼は、ボール奪取の勝負を仕掛けるポイントも、より高くなったとも指摘していたけれど・・)、ボールを奪い返した後の素早いタテへの仕掛け。それもまた、ザッケローニによる戦術的なイメージ作りの一環だった!? フムフム・・

 ザッケローニが、記者会見で、こんな重要なポイントを指摘した。

 ・・日本代表の選手は、素晴らしい能力に恵まれている・・彼らには、大いなる『伸びシロがある』・・これからの私のテーマは、選手たちをもっとよく知ること・・そして彼らに、自分たちの能力が素晴らしいレベルにあることを自覚させ、それをベースに『確固たる自信を植え付ける』こと・・

 そうそう・・本格的なブレイクスルー段階に入った日本代表の「自信と確信」が、世界レベルのプロコーチによって、選手個々の優れた能力を繰り返し「自覚させられる」ことで、どんどんレベルアップしていく・・

 とにかく、日本代表の将来が、とても明るいモノになった(・・ように感じた)一週間ではありました。

 パラグアイ戦からの四試合について、帰国してからジックリと見直してみることにします。では今日は、このあたりで・・

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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