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2010_スルガ銀行CS・・このゲームの内容と結果によって、私の「凝り固まったイメージ」が払拭された!?・・(FC東京vsリガ・デ・キト, 2-2、PK戦で東京の勝利!)・・(2010年8月4日、水曜日)

「相手が、主力を欠いた二軍相当のチームだったとはいえ(腐っても、南米の雄リガ・デ・キトだからネ!)最後に勝ち切ったことには、とても大きな価値があると思う・・ 私は、昔からのイメージを引きずっているから、二度も、こりゃダメだなんて思っていた・・まず第一が、相手に一点リードされ(ワンチャンスを、そつなくゴールに結びつけられ!?)、残り数分というタイミングまで追い込まれたら、絶対に同点に追いつけないというイメージ・・」

 そこで、ちょっと間を置いた。「そしてもう一つが、南米チームとのPK合戦・・普通だったら(PK戦は心理戦でもあるから!)南米の強者プロには決してかなわないという(凝り固まった!?)イメージがある・・でも、そこでも勝ち切った・・FC東京は、二度も、わたしのネガティブイメージをブチ破ってくれたと感じている・・そんな私の感覚(考え方)は変だろうか・・?」

 FC東京、城福浩監督に、そんな質問をぶつけた。

 「内容的には、我々の方が明らかに優っていた・・相手の先制ゴールは、彼らにとってのファーストチャンスだった・・その点の取られ方は最悪だったが、南米のワンチャンスを活かすチカラは、サスガだと思った・・それでも我々は、内容的には相手を凌駕しつづけていたと思う・・でもゴールは遠いという感覚もあった・・だからこそ、ロスタイムに入ってから同点に追い付いたことには、とても重要な意味合いが内包されていたし、それだけではなく、PK戦までも勝ち切ることができたことは、我々にとって、大いなる自信につながると思う・・わたしは、PK戦に向かう選手に対し、PK戦を愉しんでこいと声を掛けた・・」

 たしかに、スルガ銀行チャンピオンシップには「唐突なトーナメント」という印象があるよね。それでも、スルガ銀行が、インターナショナルな勝負の機会を与えてくれたという意味でも、日本サッカー界は彼らに感謝しなければいけません(城福浩監督は、何度も、スポンサーに対する感謝の意を表現していた・・)。

 そしてFC東京は、成功体感を積みかねることで自信と確信を高揚させるという意味合いで、その与えられたチャンスをポジティブに活用し尽くしたわけです。

 相手は二軍だったかもしれないけれど、それでも、二年前に東京で開催されたクラブ・ワールドカップ決勝でマンUと互角の勝負マッチを展開した(0-1で惜敗!)リガ・デ・キトだぜ。その彼らが、昨年の南米カップに優勝して来日した。相手にとって不足なし・・じゃありませんか。

 そんな強者に対し、FC東京は、とても立派なサッカーを展開し(攻守の局面勝負で、自信あふれるクリエイティブな競り合いプレーを展開し!)全体的な内容で凌駕した。そして、前述した、二つの「イメージ的な壁」を突き崩して勝ち切った。素晴らしい経験じゃありませんか。

 城福浩監督は、とても優れた戦略&戦術家というだけじゃなく、優れた「心理マネージャー」でもあるからね、必ず、この成果を、これ以上ないほど効果的に活用するはずですよ。

 この試合でもっとも素晴らしかったのは、何といっても、後半から登場した大黒将志が、ロスタイムに同点ゴールを「流し込んだ」シーンでした。

 「この試合では、わたしが数えただけでも、三回も、相手最終ラインのウラの決定的スペースを攻略した・・その三つ目が、大黒の同点ゴールになった・・相手の最終ラインは、スピードやテクニックなど、ものすごく強い・・そんな強者ディフェンスに対して、三回もウラを取った・・それは素晴らしい成果だと思うが・・」

 そんなわたしの質問に対し、城福浩監督は、例によって誠実に応えてくれました。

 「たしかに大黒は、平山がヘディングを競り合っているタイミングで、既に、抜け出す動きに入ってた・・あのゴールは、平山の粘りの競り合い能力と、大黒の(動物的な!?)嗅覚が見事に重なり合ったことで生まれた・・たしかに南米の守備ラインは強い・・特に「足許勝負」では、その強さがいかんなく発揮される・・我々の攻めにしても、アタッキングサードまでは行けるけれど、そこではね返されるシーンがつづいた・・我々には、コンビネーションでウラスペースを突いていくイメージシンクロなど、まだまだ大きな課題がある・・」

 まあ・・ね。そりゃ、そうだけれど、あの強固な南米ディフェンスを、三回も崩し切ったんだからね・・誇りに思っていいと思いますよ。また選手たちにも、その事実をしっかりと反芻させることで、彼らの自信を深められると思う。

 それ以外でも、サイドからニアポストを狙った鋭いクロスによる仕掛けとか、またセットプレーとか(前半には、二度も、森重真人が決定的ヘディングシュートをブチかました!!・・森重と平山のコンビがいれば、単純に放り込むだけで点が取れちゃうんじゃないか!?・・なんてネ・・あははっ・・)、とにかく、FC東京の攻めには、迫力と「実効」があった。

 最後にもう一度、南米チームとの対戦に関する、わたしの「凝り固まったイメージ」・・。

 それは・・一生懸命チームプレーに徹することで(中盤の組織プレーによる構成では!)ある程度は互角の展開にはなるけれど、決して、相手守備ブロックを崩すようなカタチでのチャンスメイクまでは行けない・・そして、カウンターやセットプレーから、まさに「スリ」のようにワンチャンスを決められて負けちゃう・・なんていうことだったわけだけれど、そんなネガティブイメージが、この試合の「内容と結果」によって、ある程度は払拭された!?・・フムフム・・

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 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。その本に関する告知記事は「こちら」です。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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