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2010_WM(17)・・よかった〜・・チリが決勝トーナメントに進出できて本当によかった・・(チリvsスペイン、1-2)・・(2010年6月25日、金曜日)

さて、チリ対スペインの勝負マッチ。今はまだ試合前だけれど、先発メンバーが発表されたから、ちょっと事前のコメントを・・

 やはり、スペイン監督ビセンテ・デル・ボスケは、シャビ&イニエスタという、バルセロナ中盤の王様コンビに賭けた。前の試合では、セスク・ファブレガスを交替出場で使うなど、「まだ」最後の望みをもっていたらしいけれど、その、あまりにも「意志のない」プレーぶりに、最後の希望も断たれたということでしょうかね。

 でもイニエスタは、ケガが癒えたばかりだし、スイス戦でプレーしただけ(そこでは、まだプレーに精彩を欠いていた)。でも・・まあ・・ビセンテ・デル・ボスケのことだから、しっかりとした根拠があっての先発に違いない。期待しましょう。

 対するチリ。前回のコラムで書いたように、チリには、ちょっと(ファミリーマターの・・)思い入れがあります。

 彼らは、本当に良いチーム。でも、予選Hグループの状況は、まさに一寸先は闇だから難しい。グループリーグ最終戦では、まあ、スイスがホンジュラスを下し、スペインがチリに辛勝することを前提にハナシを進めれば、最後は、三チームが「勝ち点6」で並び、最後は、得失点差と総得点、そして当該チーム同士の対戦結果で順位が決まる。これが微妙なのですよ。

 とはいっても、全員守備&全員攻撃のハードワークを基盤に、とても素晴らしい組織ディフェンスからのショートカウンターを繰り出していくチリは、本当に、とても強いチームだから、スペインといえども、一筋縄にはいくはずがない。フム〜〜・・

 キックオフまで、あと一時間。あっと・・この試合は、ものすごく多くのジャーナリストが注目していることで、事前に「メディアシート・チケット」の断りメールが配信されるほどの混雑となりました。でも私は、メディアシート・チケットの事前承認が下りているから安心してスタジアムに馳せ参じたという次第。

 あっと・・、ちょっと蛇足だけれど、決勝トーナメント一回戦の「目玉カード」、ドイツ対イングランド戦についても、すでに、メディアシート・チケットが承認されています。ちょっとビックリ・・ではありました。「何か」あったのかな・・!?

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 ということで、チリとスペインの勝負マッチ。

 チリのビエルサ監督は、素晴らしい仕事をしている。選手たちが展開する、忠実でダイナミックなチェイス&チェックへの強烈な意志をみれば、そのことは一目瞭然です。

 そんな守備の汗かき起点プレーに、まさに有機的に連鎖(シンクロ)するように、周りのチームメイトが協力プレスやインターセプトを狙いつづけるのです。それだけではなく、ボールと遠いところで決定的スペースへ抜け出そうとするスペイン選手に対しても、決してフリーにすることのない忠実なマークが付く。

 そして、そんな強烈な組織ディフェンスをベースに、ボールを奪い返した次の瞬間には、危険なショートカウンターを繰り出していくのです。チリの攻撃は、どちらかといったら「組織プレー」がベース、シンプルにボールを動かすことで決定的スペースを攻略しようとするのです。もちろん、チャンスがあれば、ドリブル勝負も仕掛けていく。

 その個人プレーを観ながら、チリは、個の才能でも、とても秀でたモノを備えている・・そんな才能ある選手たちに、このような、攻守にわたってフルパワーの、究極の組織(汗かき)プレーをやらせるんだから、そんなところにも、ビエルサ監督の「ウデ」が垣間見える。

 とはいっても、そこは強力なスペイン守備だから、簡単に決定的スペースを攻略させてはくれない。それでもチリは、素早く、スイスアーミーナイフ並みの鋭利なワンツーコンビネーションや、強烈な意志が込められた危険なクロスなど、スペイン守備を困難な状況に押し込めるところまで攻め込んでいくのですよ。

 チリが魅せつづける「究極の組織プレー」は、日本サッカーにとっても、とても参考になるよね。もちろん「白か黒か」っちゅうハナシではありませんよ。チリにしても、チャンスがあれば、中盤の低い位置からでも、直線的なドリブルで、スペインの中盤守備ブロックを切り裂くような「個の勝負」も、組織の中にふんだんに盛り込んでいるからね。要は「グレーの色合い」で、やはりチリは「南米」だということです。

 そんな、南米的な「究極の組織プレー」を魅せるチリと対峙したスペイン。最初の頃は、たしかに、チリが仕掛けつづける素早く強烈な寄せ(チェイス&チェック)をベースにした組織ディフェンスに「とまどい」があったネ。それでも、徐々に、チリが仕掛ける協力プレス守備の「リズムとタイミング」に慣れ、自分たちのプレースタイルを前面に押し出しはじめるスペインなのです。

 サスガに現役のヨーロッパチャンピオン。華麗なパスワークが、徐々に増幅していく。彼らの人とボールの動きは、最後は決定的スペースを突いていく・・という「意志」がベースになっているから、消極的に「逃げを打つ」ようなパスなど、まったくといっていいほど見られない。彼らは、常に、強烈なチャレンジマインドを放散するのです。

 たしかに、強烈な組織ディフェンスを基盤にしたチリの組織サッカーが、全体的にはイニシアチブを握ってはいるけれど、仕掛けの「量と質」では、やはりスペインに軍配が上がるのです。

 ところで、心配していたイニエスタだけれど、この試合では、本来のプレーが甦ったと思う。勝負ドリブルしかり、組織コンビネーションしかり。そして、素晴らしいゴールまで決めた(後で知ったけれど、彼は、この試合のMVPにも輝いた!)。

 久しぶりに、シャビとイニエスタコンビの華麗なパスワークも観られたから、とても満足でしたよ。

 ところで、前述した「グループの最終順位」。

 スペインに二点も先行されたチリは、前半32分に退場者を出して一人足りなかったにもかかわらず、後半の立ち上がりから果敢に攻め込んでいった。そのときのスコアは「2-0」でスペインがリード。ということは、もしスイスが、一点でも取ってホンジュラスに勝利したら、チリが三位に転落してしまう。チリが、シャカリキに攻め上がっていくのも道理・・なのです。

 それでも、相手はスペインの守備ブロックだからネ〜・・前半同様、そんなに簡単にチャンスメイクは出来そうにないよな〜・・それにチリは、一人足りないんだしネ〜・・

 そんなことを思っていた矢先の後半2分。チリが、1点差に詰め寄る「追いかけゴール」を決めちゃうんです。ロドリゴ・ミジャールのミドル弾。そのシュートには、チリ全選手のスピリチュアルエネルギーが込められていたと感じた。

 唐突だったけれど、後半立ち上がりにチリがブチかました強烈なスピリチュアルエネルギーの勢いからすれば、そのゴールは、自然の流れだったのかも知れないね。

 「ヨ〜〜シ!!」

 そのとき思わずガッツボーズが出た。その一点が入ったことで、スイスは、2点差でホンジュラスに勝利しなければならなくなったわけだから・・。そして、周りの日本人ジャーナリストの方々から白い目で注視された。あははっ・・

 その時わたしは、「FIFA.com」と首っ引きでゲームを観ていたのです。スイス対ホンジュラスの試合経過が気になって仕方なかったんだよね。でも、その試合は、動きそうにない。そして残りの10分間。両チームともに「これでいいや・・」ってな雰囲気で、ボールキープに終始し、そして無事に試合終了のホイッスルを聞くことになった。フ〜〜・・

 さてこれで、チリは、決勝トーナメント一回戦でブラジルと当たることになった。とても興味深い対戦になること請け合いです。チリの名将ビエルサが、どんな手練手管でブラジル戦に臨むのか。興味の尽きないところではあります。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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