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- 2010_WM(21)・・ワールドカップという巨大な刺激(その6)・・岡田武史と日本代表チームに心から感謝します・・(日本vsパラグアイ、0-0、そしてPK戦負け)・・(2010年6月29日、火曜日)
- あ〜〜、ビックリした。
渋滞に巻き込まれ、プレトリアのメディアセンターに到着したのは、キックオフの90分前。承認されているメディアシート・チケットの配布は、まさに90分前までなのです。
私がディストリビューション・カウンターに到着したとき、その周りは黒山の人だかり。聞けば、承認されたメディアへのチケット配布は、既に終了したとのこと。こりゃ大変だ。すぐさま、メディア・オフィサーと話そうとするけれど、彼は「黒山」に取り囲まれている。フ〜〜・・
そこからの「ストラグル」は、皆さんのご想像にお任せしますが、とにかく、何とかメディアシート・チケットは手に入れました。あっと・・もちろん記者会見の「許可証」も一緒にね。メディアシート・チケットだけじゃなく、記者会見に参加するにも「許可証」が要るのですよ。それを手に入れるのにも一苦労というわけです。まあ・・熾烈だね・・フ〜〜・・
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ということで、ここから唐突にゲームのレポートに入っていこうとするのだけれど・・でもまず「前段」から。
この勝負マッチで大事なポイントは、何といっても、パラグアイが、自分たちが主体になって攻めていくしかないということ。彼らは堅守速攻で、ここまで勝ち上がってきたチームです。それが、今度は、(日本代表の個のチカラを基盤にした総合力で、明らかにパラグアイの方が上だから!)自分たちが主体になって攻め込まなければならなくなったわけです。彼らには、それ以外に選択肢はないのですよ。
それに対し日本は、これまで成功を収めてきた「ゲーム戦術イメージ」を踏襲することができる。強烈な意志に支えられた優れた守備意識があるからこそ、ココゾのチャンスで、人数をかけて仕掛けていける。前戦の三人を除いた後方の選手たちは、攻撃の流れに乗るチャンスに恵まれたら、後ろ髪を引かれることなく飛び出していけるのです。それほど岡田ジャパンは、攻撃と、次の守備に対するバランス感覚が、とても鋭く発展しているのです。
そんな、積極的なディフェンスを絶対的なベースにする組織サッカー。パラグアイにとっては、とてもやりにくい相手だと思う。それに、日本チームは、大会に入ってから、どんどんと「ブレイクスルー」の内容を寿実させているからね。自分たちの「やり方」に手応えを感じ、全員が、まさに一人の例外なく全員が、「それ」を明確にイメージしてプレーするのですよ。こりゃ、強いよ。
とにかく、どのようなゲーム展開になるのか、とてもウキウキした気持ちでグラウンドを注視している筆者なのです。あっ・・と、いまゲームがはじまった。
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そして、いまゲームが(岡田ジャパンの世界舞台での挑戦が)終演を迎えた。フ〜〜・・
とはいっても、PK戦までいった岡田ジャパンの立派な闘いを観ながら、わたしは、彼らを誇りに思っていました。そのことは、日本の方々も同様に違いないと確信します。
アイデンティティー・・。いろいろな定義があるけれど、誇りを持てる何かを持っていること・・なんて理解もできると思っています。そして、いま、岡田ジャパンが、その「何か」になったと思うわけです。その意味でも、岡田武史には感謝しなければいけない・・。
たしかに、相手を圧倒するような究極の組織プレーで世界にアピールしたわけじゃなかったけれど、私が会った外国のジャーナリストたちは、異口同音に、日本は、とても素晴らしいサッカーを展開した・・と、本心から(わたしには、彼らの表情や発言のニュアンスがよく分かる!)高く評価していたのですよ。
そのバックボーンは、もちろん、個のチカラの限界。彼らは、いまの日本選手の個のチカラに明らかに限界があることをよく分かっているのですよ。だから、日本に対する評価基準は、ブラジルやアルゼンチン、ドイツ、スペインといった世界の強豪とは違う。その「視点」で、岡田ジャパンが、持てるチカラを「120パーセントも150パーセント」も発揮したという意味合いで、とても素晴らしいサッカーを展開したと高い評価だったというわけです。
外国のサッカー関係の友人たちと接する機会が多い私にとっても、この「岡田ジャパン」は、日本サッカーのアイデンティティーとも言える存在になりました。
繰り返すけれど、岡田ジャパンが、究極の組織プレーで「世界のトップ」と互角の勝負を展開するなんて、やはり、まだ難しい。日本は、まだまだ世界の一流半だからネ。でも岡田武史は、決して最初から「守ろう」として大会に臨んだわけじゃない。実際に岡田ジャパンは、受け身で消極的な無様な「守備的サッカー」をやったわけじゃなかった。岡田武史は、選手たちの「守備意識」を限界まで高めることで、その、究極の組織プレーを志向しつづけたんですよ。
だからこそ、立派なサッカー。
そんな岡田武史の(リスクチャレンジに対する!)積極的な意志は、先日のオランダ戦の終盤でも、(ほとんど機能しなかったけれど・・)デンマーク戦の立ち上がりでも、そしてこの試合でも、明確に発揮された。
この試合では、阿部勇樹に代えて、どちらかといったら攻撃のリンクマン的なイメージの「牛若丸」を世界デビューさせた。その後の岡崎慎司と玉田圭司については、同じようなイメージの選手交代だったけれど、この牛若丸(あっと・・中村憲剛のことです)が登場したときには、ちょっと「快哉を叫んだ」ものでした。
もちろん遠藤ヤット(保仁)には、より守備的ハーフのイメージが強いプレーに徹するよう指示をした。でもその後の遠藤は、攻守にわたって「より活動量」を増やすことで、その両面で存在感を発揮していた。素晴らしい。
パラグアイは、前半でのワンツー抜け出しからのチャンスや、その後の何度かのクロス&ヘディングシーン(すべて川島の正面に飛んだから事なきを得たけれど・・)、はたまた、延長前半での「パワフルなチャンスメイク」など、やはり総合力では彼らの方に一日の長があるよね。
そんなパラグアイに対し、決して守備ブロックが振り回されることなく、最後まで、とても安定したディフェンスを展開した日本代表。また攻撃でも、たしかに数は限られていたし、その「質」自体も、まだまだ世界レベルではなかったにせよ、「勝負という視点」では、ものすごく価値のある仕掛けを魅せました。
特に、セットプレーが素晴らしかった。パラグアイの守備ブロックは、まさに世界基準。流れのなかでは、とてもチャンスを作り出せそうになかったけれど、セットプレーやカウンターは別だからね。その意味では、日本にも、大いに「勝つチャンス」をあった。だからこそ、PK戦で負けたことは、心底、残念だったし、奈落の落胆だった。
とはいっても・・ネ、この試合の(また今大会全体の岡田ジャパンの)サッカー内容を振り返れば、アタマのなかに、とてもポジティブな印象が残るのは、私だけではないに違いありません。
これで岡田ジャパンの挑戦は終演を迎えたけれど、彼らが成し遂げた「モノ」は、とても大きかったと思う。この「モノ」には、世界ステージを対象にしたモノもあるし、ドメスティックなことを対象にしたモノもある。
まあ・・そのことについては、大会の中日にでも、コラムを書きましょうかネ。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。
4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。
出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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