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- 2010_WM(24)・・面白いハナシと、ドイツ対スペインの勝負マッチ・・(2010年7月5日、月曜日)
- アチャ〜〜・・こりゃ、大変なことになった・・いや、これは本当にダメかもしれない・・
ケープタウンに入り、スタジアムの目前まできたのですが、そこで、まったく動かない大渋滞にはまり込んでしまったのです。本当にヒドイ渋滞。そのとき、ゲーム観戦を、ほとんど諦めかけていました。一昨日ケープタウンで行われた、ドイツ対アルゼンチンの勝負マッチのことです。
先日のコラムで書いたように、ヨハネスブルクからの直行便が取れなかったために、ジョージまで飛び、そこでレンタカーをピックアップしてケープタウンへ向かいました。
最初は、片側二車線の完璧な高速道路だったから快適に飛ばしていたけれど、案の定、途中から、片側一車線の交互通行になってしまった。まだケープタウンまでは「350キロ」もあるのに・・。
それでも、気を取り直し、ガンガンと追い抜いていった。でも、とても遅いトラックの後ろに何十台もの遅い(トラックを抜くウデと確信と勇気を持っていない!?)乗用車が数珠つなぎになっているのだから、追い抜きは、とても大変な作業になりました。まあそれでも、そんな厳しい状況は何とか切り抜けられたのだけれど(トラック&数珠つなぎ状態は、三回ほどありました)、次は、ワケの分からない、一般道での大渋滞に巻き込まれた。そして、またまた30分以上は時間をロスしてしまうのです。
そんな、こんなで、ケープタウンに到着したのは、予定よりも二時間も遅れてしまった。要は、ゲーム開始の2時間前にやっとケープタウンに到着したということです。でもそれじゃ、ゲーム観戦に向かう一般車両の渋滞に巻き込まれるのも道理・・ということだったらしい。フ〜〜・・
とにかく、そこまで来たら、もう絶対に観戦を諦めるわけにはいかない。でも、視野が届くはるか先には、二本の2車線道路が合流するポイントが見える。その状況は、推して知るべし。そのときは、もう、絶望しか感じなかった。クルマは、まったく、本当にまったく動かない。
結局、意を決した。プレスIDと、メディア用の駐車票を掲げながら、路側帯をいくことにしたのですよ。スミマセン・・皆さん・・
でも、快調に数百メートル進んだ先にパトカーが・・。もちろん止められる。こちらは、メディアだと訴えるけれど(ちょっと言い方がアグレッシブだったかもしれない・・)、先方は聞く耳持たない。「本車線に戻らなければ逮捕するぞ!」だってサ。
もちろんこちらは、関係者用にフリーな通行帯を設けていないのはアンタ等のミスなんじゃないの!?・・なんて、文句の一つも言いたくなる。互いに睨み合うこと数秒。そして、ここは一旦引くしかないよな・・と、仕方なく、本線に戻る筆者でありました。そのとき、親切に入れて下さった南アの方、ありがとうございました。
その時点で既に、キックオフが一時間後に迫っていた。前の路側帯を何度も見る。先ほどのパトカーは、さっさと、合流するポイントを越え、「あちらがわの二車線」の路側帯を、悠々と走り去っていった。
さて・・どうしよう・・アイツが先で待っていたら、今度は、本当にやっかいなことになるかもしれない・・でも、ここは意を決するしかない・・もう、やるっきゃ、ネ〜んだよ・・なんたって、ドイツとアルゼンチンの勝負マッチなんだゾ〜〜・・バカヤロ〜〜・・
そして、再び路側帯へ突っ込んでいく筆者だったのです。
そのとき、わたしの周りで(私に対して、逮捕するゾ〜〜って叫んでいたポリスマンを苦々しく見ていた!?)南アの一般ドライバーの方々からも、「行け、行け〜」って手を振られて勇気づけられ、そのまま、注意深く進んでいった。もちろん、合流ポイントからは、一番左側の路側帯へ移動し、そのまま突っ走る。
そして大渋滞を抜けたところで、やっと、その原因が分かった。合流した先の坂を下りきったところにある信号(そこを左折すれば、いつもだったら一般の駐車場があるらしい・・)で、一般車両が、ポリスマンと、一台一台「交渉」していたんだよ。
「スタジアム周りの駐車場は、いつも使っているんだ・・どうして今日は使えないんだ・・」なんていうクレーム・・という風に見えた。そんな主張を、一台ごとにしているらしい。これじゃ、クルマが動かないのも当たり前だ。
そんな信じられない光景を横目に見ながら、わたしの方は、無事に、その交差点から「関係者用に確保されている専用道路」に入ることができました。
ところでサ、その交差点には、先ほどのパトカーとポリスマンが立って私を見ていたんだけれど、今度は、手のひらを返したようにニコッと微笑みかけてきた。だったら・・あの「アイ・アレスト・ユ〜〜ッ!!」って、一体なんだったんだよ〜〜・・ホントに〜〜・・
まあ、もう、そんなことに関わっていられない。一気にメディア駐車場まで飛ばし、一息ついた。そして気が付いた。あまりにも駐車スペースが空き過ぎている。これは・・。そう、到着が遅れているジャーナリストが多数いたのですよ。
メディアシート・チケットは、試合開始前90分までにビックアップしなければ、すぐに「ウエイティング」の他ジャーナリストへ分配される。わたしは事前に電話を入れておいたから事なきを得たけれど、案の定、渋滞で遅れた(事前に電話を入れていなかった!?)ジャーナリスト連中が、「オレのメディアシート・チケットは承認されているんだ・・」と、ディストリビューション・カウンターにいる係員にクレームをつけている。そして、例によっての大混乱。フ〜〜、ホントに熾烈だね・・
そんな、こんなで、エネルギーを使い果たしてメディアシートに座ったけれど、まあ・・ネ、試合がはじまってしまえば、そこはサッカーだから・・。わたしは、すぐに、ものすごく集中してゲームを観察しはじめた次第でした。それにしても・・ネッ!?・・フ〜〜!・・あっ・・とにかく試合が観られたのだから、まあいいか・・あははっ・・
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ところでケープタウン。本当に、噂に違わず、素晴らしく美しい街です。その写真ですが、このページの最初から(コラムの内容に関係なく・・)散りばめておきました。
治安も、ヨハネスブルクとは比べものにならないくらい安全だから、「メイン・ロード」という、おしゃれなキャフェやレストラン、はたまたブランドショップや有名ホテルが並ぶ名物道路(まあ、原宿の表参道ってなところですかネ)でも、まったく心配なく散歩ができる。
わたしは2泊したのですが(今日の朝一の飛行機でヨハネスブルクに戻ってきた)、本当に楽しい時を過ごせました。まあ、南アにきてから、初めてといってもいいほどリラックスした時間でしたね。もちろんこれまでは、移動や試合取材、原稿執筆に追われ、また日本からの電話インタビューにもまめに応えるなど忙しい日々を送っていたわけだけれど・・
7月4日のオフは、ケープタウン名物の「テーブル・マウンテン」だけではなく、喜望峰にまで足を伸ばしました。
わたしは文章家ではないから、うまく表現できそうにないけれど、テーブル・マウンテンは、ご存じの通り、地盤の軟らかい部分が風雨で削り取られ、固い地盤だけが大形状に残った山(ウイキペディア参照)。その他にも、ライオンズヘッドなど、さまざまにネーミングされた岩山に取り囲まれているケープタウンとその周辺の街なのでした。ホント、癒(いや)されました。
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さて、最後に、スペインとドイツの勝負マッチについて簡単に。
いまのチームの調子からすれば、(さまざまなメディアが報じているように・・)ドイツが「やや」有利かもしれませんね。
その背景ファクターだけれど、やはり、組織と個のバランスという視点で、ドイツの方が、より徹底しているというポイントを挙げなければならないでしょうね。
ドイツは、個の才能で、スペインよりもちょっと劣っている・・そして「その事実」を、選手たちが、体感的に理解している・・だからこそ、攻守わたって徹底し、集中した組織プレーを展開できる。
ちょっと視点が違うかもしれないけれど、日本代表が目指した「究極の組織サッカー」というベクトルが、ドイツチームからも感じられるということですかね。ボール奪取イメージが完璧に「有機的に連鎖」しつづける守備プレー(自分のところで無理をしてボールを奪い返そうというのではなく、我慢に我慢を重ねることで、協力してボールを奪い返す=味方にボールを奪い返させる=というイメージが徹底!)・・そして、そんな実効ディフェンスをベースにした、シンプルな組織プレーを忠実に積み重ねていく攻撃・・。フムフム・・
それに対してスペイン。パラグアイ戦でも露呈したように、どうも、以前の「最高潮」のときよりも、「個」に偏りすぎという傾向が見え隠れしている。もちろん、彼らの組織サッカーは、いまでも、とても華麗だけれど、パスで崩すイメージと、個人勝負イメージが、うまく「噛み合わない」というシーンを見掛けることが多くなった。
どうだろうね・・。スペインは、初心にもどり、もっともっと「攻守にわたる汗かきハードワーク」を積み重ねる・・という気持ちを持たなければならないかもしれないね。
まあ、皆さんもご存じのように、トーナメントのなかで「成長」しているチームこそが、もっとも大きなアドバンテージを内包しているのですよ。そう・・ドイツ。その意味では、ミヒャエル・バラックの離脱は、まさに「脅威と機会は表裏一体」という格言を地でいっている・・っちゅうことですかね。
さて、明日は、準決勝の第一戦、ウルグアイ対オランダ戦がケープタウンで行われます。わたしは、飛行機の予約がまったくダメだったので、最初から諦めてテレビ観戦ということにしました。
でも、もちろん明後日の第二戦(ドイツ対スペイン)は、ヨハネスブルクから(ダーバンまで)クルマで馳せ参じます。移動距離は540キロだってサ。でも今回は、時間的にすごく余裕があるから、リラックスして移動できるでしょう。また当日は、ダーバンで1泊し、次の日にヨハネスブルクへ戻る予定だから、帰りもリラックス。やっぱり準決勝、決勝と、トーナメントが押し詰まるほど、時間に余裕がもてるようになるよね。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。
4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。
出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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