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2010_WM(7)・・雑感(人類史上最高の異文化接点パワーを秘めるサッカーという視点!?)・・その1・・(2010年6月17日、木曜日)

いま、ヨハネスブルクの「サッカー・シティー・スタジアム」で書いています。

 観戦しようとしているのは、アルゼンチン対韓国。FIFA公認のプレスとはいっても、観たいゲームについては、それぞれに「メディア・チケット」を申請し、FIFAの広報部からアプルーヴ(承認)を受けなければなりません。

 もちろん、このゲームの観戦希望は、2-3ヶ月前に申請済み。でも、スムーズに承認されず、結局「ウェイティング・リスト」に登録されることになりました。まあ、「アルゼンチン」だからネ、観戦希望が集中するのも道理だよね。ということだけれど、ここからがオハナシ。

 以前は、承認されなかったメディアは、なるべくスタジアムの「メディアセンター」に早く到着し、チケット・ディストリビューション(メディアチケット配布所)に置いてあるウェイティング・リストに、アナログで(要は手書きのリストに)登録しなければなりませんでした。という選別メカニズムだから、リストの「上位」に名前が書き込まれていることには、まあ・・ある程度の価値があったわけです。でも今は・・

 「はい、あなたの名前は(コンピューター上の)ウェイティング・リストに載せられています・・スタジアムにいらっしゃったから、チェックを付けておきます・・キックオフ一時間前に、このデスクの前に集まって下さい・・」

 ディストリビューション・デスクの担当女性が、そんなことを「実にクールに」言うわけです。フ〜〜・・

 「エッ・・ということは、朝早くからメディアセンターに到着したことには(試合開始5時間前!)あまり意味がなかったということですか?・・そうか〜〜・・システムが変わっちゃったんですよね(そこで大きく溜息をついて、落胆の表情を浮かべる・・このコミュニケーション・エネルギーの放散の仕方が、サッカーコーチの真骨頂なのだ!・・あははっ!)・・わたしのジェネレーションでは、コンピュータ社会への移行という変化も含め、本当に激動だったから、ついていくのが大変なんですよ・・そうか〜〜(そこで、もちろん、とてもチャーミングな笑顔をつくっていたはず!?)・・でも・・何か・・こう・・我々が、努力して、とても早くスタジアムへ駆け込んだっちゅうことを記憶にとどめておいてくれませんかネ〜〜・・無理かな〜〜!?」

 「エッ!?・・そういうことは、我々の作業システムには組み込まれていないんですけれど・・そうですね〜〜・・」

 そのタイミングで、とてもフレンドリーな「アイコンタクト」があったことは言うまでもありません。

 そしてその後も、コーヒーを買いに行くときにニコニコと挨拶したり(すべてのメディアセンターにはカフェテリアが用意され、簡単な飲み物や食事のオファーがあります)、わたしのプレスIDを入れておくビニールカバーが壊れたから、修理のために粘着テープを分けて欲しい・・なんて、とても丁重に頼みにいったり(仕事の邪魔してスミマセン!)。そんな「努力」が、どのように報われるか・・。今日の「マッチ・コラム」を楽しみにしていてくださいネ。

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 ところで、ヨハネスブルクのサッカー・シティー・スタジアムへ向かう車のなかで気が付いた。昨日まで、ほとんど全てのクルマに付けられていた「フラッグ」や「サイドミラーに取り付ける国旗模様のカバー」が、まったく見られなくなったのですよ。

 前回の(2006年)ドイツワールドカップでも、とても目立っていた「クルマ装着のフラッグ」。第二次世界大戦の「心理的な後遺症」から、「ドイツ」を前面に押し出すような行動を極力控えていたドイツ人。その彼らが、ココゾとばかりに「ドイツ」を前面に押し出していた。そんな光景を見ながら、人類史上最大の「異文化接点パワー」を秘めるサッカーの面目躍如・・なんてことを実感していた。でも今回は、そんな、「悦びにあふれたポジティブエネルギーのアイデンティティー行動」が、こんなに早いタイミングで消えざるを得なくなってしまった・・フ〜〜・・

 昨日のコラムに書いたとおり、この「奈落の落胆」が、南アフリカの人々にどのような「影響」を及ぼすのか、ちょっと心配しています。もちろん、ほとんどの方々は、単に「日常」へ戻るだけだろうけれど、ワールドカップという刺激を心底楽しんでいた(そこで余剰エネルギーを消費していた!?)方々もいたはずで、その人々が、そのエネルギーを変な方向へ向けたら・・。フ〜〜・・

 また、治安に対する不安から、南アを訪れる外国人(サッカーファン)の方々が絶対的に少ないという事情もある。だから、国内の「盛り上げエネルギー」が減退してしまうことは、とても大変なことなのですよ。

 まあ、わたしは「サッカー」を観に来ているわけだから・・なんて斜に構えるのではなく、やっぱり、社会全体の盛り上がりの雰囲気はワールドカップに欠かせない「ファンダメンタルズ」だからネ。だから、本当に、ちょっと心配しているのですよ。

 あっと・・、またカフェテリアにコーヒーを買いに行ってこよう。もちろん「彼女」とのアイコンタクトを忘れずにネ・・あははっ・・

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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