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- 2012_世界へのチャレンジ・・やっぱり、強い相手とのガチンコ勝負に優る学習機会はないネ・・(ブラジルvs日本、4-0)・・(2012年10月16日、火曜日)
- さて、どのような基本マインドで書き進めようか・・
・・やっぱりさ、最後の最後まで積極的に仕掛けつづけたからこそ(リスクにチャレンジしつづけたからこそ)、世界トップに対して、出来ることと、足りないところが鮮明に見えてきた(体感できた)・・っちゅうニュアンスですかね・・
昨日のザッケローニ会見でも、もっとも重要なメッセージが「それ」だった。だから(昨日の会見で)こんな質問を投げた。
・・この会見で、もっとも重要なコメントだったのは、世界トップに対する日本の立ち位置をより正確に把握するため、積極的にチャレンジしなければならな
い、というものでした・・まさにその通りだと思います・・そこで質問ですが、日本チームが、ビビらず、存分にチャレンジしていけるために、もっとも大事な
コトは何だと思いますか?・・
そんな私の質問に対して、今日の会見でもそうだったけれど(そこでの質問は・・組織と個のバランスでは、やはり日本は組織により比重を置く成長ベクトルが正解だとお考えか?)、明確には答えてもらえなかった。
まあ、質問自体が、明確な方向性を示せるモノじゃなかった(それを示したら、ポジネガの反響が大きすぎる!?)からなのかな・・
ということで、その二つのテーマについて、私の独断と偏見で書いちゃおうっちゅうわけです。
最初のテーマ・・全力でチャレンジしつづけたからこそ、見えてきたモノ(世界トップとの最後の僅差!?)がある・・
冒頭で書いたとおり、日本代表は、最後の最後まで、とても立派に(積極的に)攻め上がりつづけた。だからこそ、より明確に「見えて」きたもの(事実に即して体感できたもの!?)があった。
そのように、日本代表が立派に闘いつづけられた背景要因だけれど・・
そのもっとも大きな部分は、選手たちの心理・精神的な発展にあったんだろうね。そう、自信と確信のバックボーンが、自分が活躍している本場の環境によって、つとに充実してきているのです。
もちろんプロとしてのプライドもあるだろうけれど、そこには、本場における世界の強者ども(ライバル)との強烈な競争環境もあるでしょ。だから、そう簡単にはビビったりしないし、どんな状況でも100%のチカラを出せる(出さなければ切って捨てられる!)。
ザッケローニ監督が、こんなニュアンスのことをコメントしていたっけね。
・・選手たちは、最後の最後まで積極的に闘いつづけた・・もちろん、もっと失点してしまう危険性も大きかったが、でも最後まで、勇気をもって前へ仕掛けつづけた・・もちろん、負けたくないという気持ちが空回りした場面もあったけれど・・
そうそう、ザッケローニさんは、こんなニュアンスの内容もコメントしていたっけ。
・・この試合は、4-2とか4-3で終わっていたかもしれないし、逆に8-0で負けていたかもしれない・・そんな様々な要素(心理プレッシャーも含む!)が入り乱れる試合だった・・ただ選手たちは、にもかかわらず、最後の最後まで積極的にプレーした・・
そんな立派な闘いを展開した日本代表について、ブラジルのメネゼス監督にも質問した。
・・最近、中国、そしてイラクとも親善試合をこなしたわけだが、このアジア三カ国を比べた場合、どのチームがもっとも強かったか?・・いや、もっとも優れたサッカーを展開したか?・・
そんな、(ディプロマティック=外交的=な考え方からすれば!?)ちょっと微妙な質問に対し、メネゼスさんは、明快に反応してくれた。
・・そりゃ、日本だよ・・サッカーの内容でも、一歩も二歩も先を行っている・・日本は、本当に優れたサッカーを展開した・・ボールをしっかりとキープし
ながら、あくまでも組織的に攻め上がった・・その攻撃に、我々もタジタジとさせられたっけね・・とにかく、中国とイラクと比べたら、日本が、もっもと強い
チームであることは確かな事実だよ・・ブラジルのワールドカップでも日本代表は存在感を発揮するに違いない・・
ちょっと冗長になりはじめている・・かな・・
二つ目のテーマである「組織と個のバランス」とか「日本にとっての理想的な発展ベクトル」っちゅうディスカッションについては、来週、帰国してからまとめます。
それにしても、ブラジルの守備は、ものすごく強かった。
よく書くことだけれど、攻撃が優れているからこそ、守備も平行して発展する・・という事実がある。ブラジルが、その典型だね。
ブラジルは、攻撃だけじゃなく、守備でも、優秀な人材をヨーロッパへ送り込んでいる。もしかしたら、ディフェンダーの方が、ブラジル選手として、より「世界」で輝いているかもしれないね。
メネゼス監督は、その強い守備を、より強化したようにも感じる。要は、選手たちの守備意識をアップさせるだけじゃなく、チーム戦術的にも、組織ディフェンスが「より」強力に機能するように整備したと思うわけです。
とにかく、局面でのボールを巡るせめぎ合いでも(個人戦術)、協力プレッシングへのサポートアクションやインターセプトといったグループ戦術的な組織ディフェンスでも、まさに鉄壁そのものなんだよ。
でも、この試合での日本代表は、そんな「鉄の壁」に対しても、決して臆することなくチャレンジしていった。
はね返されても、パワーやスピードをベースに潰されても、決してチャレンジスピリット(意志のポテンシャル)の萎えることがない。わたしは、そんな日本の強者たちを、とても頼もしく思っていましたよ。
でも・・
そう、ブラジルは、強力な守備ブロックという後ろ盾があるからこそ、前線選手たちが(前線カルテット=ネイマール、カカー、オスカル、そして日本でも活躍したフッキによる!)強烈にダイナミックなボール奪取勝負をブチかましてくるんだよ。
「そこ」から始まる(ショート)カウンターを強烈に意識してね・・
とはいっても、日本代表も、そんなプレッシングの8割方は、うまく「かわせる」。そして、素早く、広く、正確で、とても素敵な「リズム感」にあふれる人とボールの動きで、ブラジル守備ブロックを振り回すシーンだって演出しちゃうんだ。
我らが日本代表は、そんな「創造的な動き」をベースに、何度か、実際のゴールチャンスまで作り出した。たとえば前半10分あたりに飛び出した、本田圭佑の惜しいシュート(ブラジルGKがギリギリのセービングで防いだ!)。
そのチャンスは、最前線へと上がった(本田圭佑とタテにポジションチェンジした)香川真司が、うまいポストプレーで、本田圭佑に理想的なラストパスを送ったことで生まれた。
それだけじゃなく、後半には、それこそ何本も、「あの」強烈なブラジル守備ブロックを振り回してスペースを攻略しちゃうようなチャンスを作り出すんだよ。ホント、誇らしい思いだった。
もちろん、そんなリスクチャレンジには、代償を支払わなければならない場面もあった。そう、ブラジルの、天才的な前線カルテットがブチかます、強烈なプレッシング守備からのカウンター(ショートカウンター)。
ザッケローニ監督も言っていたように(皆さんも観られたように・・)、ホント、後2-3点はブチ込まれてもおかしくないピンチがあった。ネイマールのフリーシュート・・カカーの、ポスト直撃シュート・・などなど。
そして実際76分には、日本代表ディフェンスからボールを奪い返したカカーに、強烈なドリブルシュートを決められてしまうんだよ(4点目)。
それにしても、(繰り返しになるけれど・・スミマセン・・)ブラジルが前線からブチかましつづけたプレッシング守備は見応え満点だった。
日本ディフェンスが、少しでも「後ろ向き」にボールを展開しようものなら、その次の瞬間には、日本のボールホルダーだけじゃなく、次、その次の(日本の)パスレシーバーへのプレスが炸裂しちゃうんだ。それは、それは、強烈な協力プレスだった。
やはりブラジルは、勝負所(ボール奪取ポイントの!)イメージをしっかりとシェアできている。だから、チェイス&チェックと、次のボール奪取勝負が、美しく連動するっちゅうわけだ。フムフム・・
ちょっとここで、個人に関するコメントを・・まず本田圭佑・・
良かったですよ。前線で展開する「個の局面プレー」で、ある程度は存在感を発揮できていた。
そして、ここが大事なポイントなんだけれど、そんな(本田圭佑がイメージする!?)個人プレーにしても、どんどんと、日本チーム全体の組織サッカーの(仕掛けの)リズムに合ってきていると感じるんだ。
また「このこと」も大事なポイントなんだけれど、彼自身が、攻撃でも守備でも、ハードワークをいとわなくなっているという事実がある。
とにかく、そんな「天才の覚醒」は、いつ見ても楽しいモノだ。中村俊輔のときもしかり・・
もう1人、長谷部誠・・
フランス戦では、「ちょっと」実戦ブランクを感じさせられたけれど、この試合では、そのブランクが見事に充足されていた・・と感じた。
・・忠実なチェイス&チェック・・効果的なカバーリング・・決定的な場面での忠実な(最後まで付いていく)マーキング・・そして、読みベースのボール奪取勝負・・
・・また攻撃でも、創造的で正確な展開パス(リンクマンとしての優れた機能性)だけじゃなく、前半31分にブチかましたドリブル&コンビネーションから
の抜け出しと、見事なミドルシュート(!!)に代表されように、「ココゾッ!」のチャンスには、スムーズに最終勝負の流れに乗っちゃったりする・・
彼もまた、今回の世界トップへの挑戦シリーズを効果的に活用できたということだね。
ハナシは前後するけれど、この試合で先発した日本代表の「前線カルテット」についても、ちょっと触れておきたい。
たしかに彼らは、基本的なポジション(役割)は意識していたのだろうけれど、チャンスがあれば、前後左右に、どんどんとポジションをチェンジしていた。
香川真司、本田圭佑、中村憲剛、そして清武弘嗣。
その「動き」に、両サイドバックとダブルボランチも、効果的に(有機的に)絡んでいく。だからこそ、とても強力なブラジル守備にしても、ボール奪取勝負のポイントを絞りきれずにいた(絞りきれない)シーンも多かった。
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やっぱり、何か冗長。ハナシも前後しているし、繰り返しも多い。フムフム・・
実は、この30分後には、ブラジルワールドカップ欧州予選、ドイツ対スウェーデンが始まってしまうんだよ(もちろんテレビ観戦)。だから、ちょっと気もそぞろ・・
ということで、その他のテーマについては、帰国し、ビデオを確認しながら書き添えることにします。よろしくご理解のほどを・・
とにかく、結果はともかく、チャレンジをつづけたからこそ(!!)、とても収穫の多いヨーロッパ遠征(世界へのチャレンジシリーズ)になったというコトが骨子でした。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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