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2012_天皇杯4回戦・・エネルギーを使った連チャン観戦だったけれど・・(2012年12月15日、土曜日)

今日は、愛車のオートバイを駆使して2試合をハシゴしました。でも・・

 最初は、NACK5スタジアムで1300時キックオフの「アルディージャ対フロンターレ」、そして熊谷スポーツ文化公園(!?)で1600時キックオフの「レッズ対マリノス」。

 もちろん、J1クラブと下位リーグのクラブが激突する「下克上マッチ」の方が面白いに決まっている。でも、まあ、二試合を観られるということで「この観戦プログラム」にした次第。でも・・

 まずアルディージャ対フロンターレ。

 とにかく前半のアルディージャは、まさに気抜けチームの典型だった。

 彼らの気合い(意志)が抜けていた背景については推して知るべしだけれど(まあ簡単に想像はつくでしょ!?)、グラウンド上では、言うまでもなく、攻守にわたるボールがないところでのプレーの量と質に、そんな彼らの心理状態が如実に投影されていた。

 とにかく、チェイス&チェックだけではなく、決定的なシーンでのマーキング(寄せ)やカバーリング、決定的瞬間のアタックやブロック等といった忠実ハードワークが甘い、甘い。

 そんなだから、牛若丸(中村憲剛)を中心に、クルクルと軽快に人とボールが動きつづける素晴らしい「ウラ突き」コンビネーションをブチかまされちゃうのも道理。

 そこでのアルディージャ守備ブロックは、抑えが効かないというよりも、まさにキリキリ舞い・・ってな体たらくだった。

 また攻撃でも、ボールを支配して仕掛けてはいくけれど、前述したように、肝心な勝負シーンでのボールがないところの人の動き(その量と質)が追い付いていかないから(意志が足りない!)、簡単にフロンターレ守備に潰されてしまう。

 そして前半が終わったところで、フロンターレが「3-0」という大量リードを奪うということになった。

 どうしようかな・・

 熊谷までは40キロほど移動しなければならないから、このゲームをタイムアップまで見届けると、レッズ対マリノス戦の「ゲーム立ち上がりの現象」を見逃してしまうかもしれない。

 ご存じのように、ゲームによっては、この「キックオフ直後の立ち上がり現象」に、とても深い意味合いが込められていることがあるんですよ。どうしようかな・・

 そして決断した。後半も15分ほど観て、アルディージャのサッカーに(彼らの意志に≒ボールがないところでの動きの量と質に!?)大きな変化が見られないと感じたところで、NACK5スタジアムを後にすることにしたんだよ。でも・・

 そう、熊谷のスタジアムに着いたとき、同僚の方々から、こんなショッキングなことを聞かされた。

 「湯浅さん・・大宮から来たんですか?・・エッ、途中で抜けてきちゃった!?・・それは惜しいことをしましたね・・ゲームは、大逆転でアルディージャが勝利を収めたそうですよ・・それも、後半ロスタイムにノヴァコヴィッチが決勝ゴールをブチ込んだんですって・・」

 いや、ホント、ビックリした。そして、自分の「甘さ」に、ちょっと腹が立った。

 ・・そうだ・・オレがかかわっているのは、偶然と必然が、錯綜しながらハチャメチャに交錯しつづけるサッカーだったんだっけ・・究極の心理ゲーム・・だから、ちょっとしたことで、勝負の流れが大きく逆流しちゃうことだって日常茶飯事だった・・フ〜〜・・

 ということで、ちょっと落胆感覚を引きずりながら観はじめたレッズ対マリノス。このゲームでも、マリノスの集中力(意志のチカラ)に一日以上の長があった・・と感じた。

 そう、攻守にわたる、ボールがないところでのプレーの量と質で(微妙だけれど・・)マリノスに軍配が挙がると感じたんだ。

 レッズ選手たちには失礼かもしれないけれど、マリノス守備を「ほとんど」崩せない彼らの攻めには、究極の意志のチカラが欠けていた・・と感じた。

 もちろん何度かは、サイドを崩した決定的クロスでチャンスを作り出したし、前半では、絶妙のタイミングで抜け出した田中達也へ、何度か、素晴らしいスルーパスも通った。でも、やっぱり何かが足りない。

 あっ・・と、田中達也・・。

 今シーズンを限りに別のクラブへ移籍することが決まったとか。本当にお疲れ様でした。そして有難う。貴方には、ほんとうに色々なことを学ばさせてもらった。貴方の全力プレー(意志の爆発!)も含めて・・

 ちょっと唐突だけれど、とにかく、田中達也には感謝しかありません。次のキャリアでの成功を願って止まない筆者です。

 ちょっと脱線。ということで、この「何か足りない・・」という感覚。ここでは、「それ」を持てることが大事だということが言いたかった。前半でも、動きが出てきた後半でも・・

 特に後半。もう行くしかないレッズだから、攻撃により多くの人数を掛けていった。そうなれば、コンビネーションが、より効果的に機能しはじめるのも道 理。実際に、何度かは、「あの」ものすごく強いマリノス守備ブロックの穴(スペース)も突いていったシーンも演出した。でも・・やっぱり、何かが足りな い・・

 たぶんレッズ選手たちも、その「何かが足りない・・」という感覚を持っていたに違いないと思いますよ。もちろん、明確に(感覚的に!)思い出せる今シーズンのグッドゲームから得た「良いイメージ」と比べて・・というニュアンス(意味合い)でだよ。

 サッカーは、究極のチームゲームだからネ、ほんのちょっとでも(たった1人でも!)ビビッたり、サボッたり、様子見になったりしたら、すぐにでも、全体的な機能性メカニズムのタガ(箍)が外れちゃうんだよ。

 もちろん、誰のせい・・という明確な判断を出来るケースは少ないけれどネ。とにかく、究極のチームゲームだからこそ、サッカーは難しいということが言いたかった。

 だからこそ、チームに強力なリーダー(パーソナリティー)が必要だし、選手一人ひとりの、考えるチカラと意志のチカラ(まあポジティブな自己主張)が必要なんだ。あっと・・このメカニズムを話しはじめたら終わらなくなっちゃう。

 要は、積極的な意志の連鎖こそが、優れたサッカーの絶対的ベースということかな。やっぱり、ちょっと難しいテーマ。簡単には表現できない・・まあ、拙著をご参照アレってか・・あははっ。

 ということで、このテーマについては、また機会を改めて扱うことにしま〜す。

 例によって、元旦の決勝戦をラジオ文化放送で解説することになっているから、レッズが敗北を喫するプロセスを、かなり落胆しながら観ていた筆者だったのですよ。フ〜〜・・

 最後に・・。この試合でマリノスが魅せた、抜群の組織ディフェンスに乾杯っ!!

 なかでも、レッズ前線の(2列目の!?)危険なコンビネーションの「成長」を効果的に抑制したゲーム戦術プラン。樋口靖洋監督にウデにも乾杯・・だね。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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