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- 2012_天皇杯準々決勝・・まずは「大阪ダービー」から・・(2012年12月23日、日曜日)
- お恥ずかしながら、一昨日から風邪(!?)につかまっちゃいました。
ということで、昨日の皇后杯準決勝も、本日の天皇杯準々決勝もテレビ観戦っちゅうことにせざるを得なくなった。
・・熱があっても行こうかな〜・・以前だったら、少しくらいの熱だったら、躊躇なく行動を起こしていたよな〜・・なんて、最後までグデグデと迷っていた。とにかく、ちょっと落ち込んでいたっちゅう体たらくでした。フ〜〜・・
でも、そんなネガティブマインドを引きずるのは精神衛生上よくない。
ということで、それならばと発想を転換した。本日の4試合すべてをテレビ観戦することで、元旦ファイナルを中継するラジオ文化放送の解説へ向けたイメージトレーニングに励もう・・なんてね。
でも、熱のせいで、どうも頭の回転が停滞気味だと感じる(なに・・熱がなくても変わらないって!?・・フンッ!)。まあ、とにかくポイントだけは簡単にピックアップしておくゼよ・・
ということで、まずは大阪ダービー。
とても、とてもエキサイティングな一発勝負マッチだった。でも、「決定的チャンスの量と質」という視点も含めた全体的なサッカー内容では、ガンバに一日の長があったね。だから、まあ、ガンバの順当勝ちというのがフェアな評価だろうね。
その「一日の長」のバックボーンは、もちろん守備にあった。
忠実で迫力あるチェイス&チェックからスタートする(互いのイメージがシンクロする!)組織的で粘り強いボール奪取プロセス。
そんなグラウンド上の現象は、ガンバ選手たちの「強い意志の総量」が、たぶん、セレッソのそれを上回っていたことの証明ということなんだろうね。
彼らは、「J2」としてACLへ出場することを本気で狙っている。
もちろんそこには、同じ大阪を本拠にするセレッソへの「盟主はオレ達だゾッ!」っちゅう自負や、降格のショックや悔しさを乗り越えた、(ファンや社会に対する!?)来シーズンへのデモンストレーションっちゅう意味合いもあるんだろうね。フムフム・・
ということで、ここでは、グラウンド上の現象を(戦術的に)深掘りするのではなく、二つだけテーマをピックアップしようと思います。
一つ目は、今野泰幸のポジション。松波正信監督は、彼のポジションを一つ上げ、守備的ハーフ(ボランチ・・センターハーフ)として機能させた。
これは、ホントに大成功だった。今野泰幸は、元はといったら中盤の底が本職だったからね。2003年のワールドユースやオリンピック最終予選での獅子奮迅の活躍を思い出す。
サッカーのエキスパート連中は、例外なく、その時の今野泰幸こそが隠れたMVPだったと声を揃えたモノです。
ということで、久しぶりに中盤の底を務めた今野泰幸。そのプレーぶりは、まさに水を得た魚ってなノリで、攻守にわたって素晴らしいパフォーマンスを披露した。
そんな今野泰幸に、ボランチの相棒である明神智和や、(明神や今野との)タテのポジションチェンジをベースに、低い位置からゲームメイクする遠藤保仁も、攻守にわたる中盤のクリエイティブパートナーとして心強かったに違いない。
このゲームでの今野泰幸。たしかに攻撃での展開力にも高いクオリティーを魅せたけれど、やっぱり、中盤のディフェンスが秀逸だったね。
忠実で迫力あるチェイス&チェックは言うまでもなく、マーク相手との間合いを空けることでパスを出させ、まさに天才スリのようにスマートにインターセプ
トしたり、たまには、相手トラップの瞬間を狙った素晴らしく効果的なアタックでボールを奪い返しちゃったりする。もちろん、ボールがないところでの(最後
の最後までチェックしつづける!)忠実なマーキングも、まさに、今野の今野たる所以・・ってな感じ。
ホント、そんな今野泰幸の(久しぶりの)スーパー汗かきミッドフィールダーぶりを心から楽しみながら舌鼓を打っていた。
次のテーマは、ベンチスタートとなった両チームの2人の天才。そう、家長昭博と柿谷曜一朗。
ボールを持ったときの、何かをやってくれるんじゃないか・・っちゅう「期待感」は、やっぱりレベルを超えている。
実際、2人とも重要なゴールを挙げた。柿谷曜一朗は、同点ゴール。そして家長昭博は、決勝ゴール。
そのシュートまでのプロセスには偶発的な要素も「もちろん」あったけれど、それでも、そのチャンスをしっかりと決め切るところは、やっぱり天才の天才たる所以だ・・なんて思っていた。
そんなポジティブな側面とともに、もちろん、この2人の、攻守にわたる(ボールがないところでの)ハードワークの量と質には、まだまだ例によっての不満が渦巻いちゃう。
例えば攻撃。
そこでは、自分がパスを受けるため「だけ」じゃなく、「何かを動かすため」に動かなければならないんだよ。そう、仕掛けの意志を爆発させるように、ボールがないところで動くんだ。それがあってはじめて、自分の才能も、より効果的に光り輝かせることが出来る。
また守備でも、「次」の効果的なボール奪取勝負をチームメイトが仕掛けていけるために、チェイス&チェックやコース切りなどといったハードワークを忠実にこなさなければならない。
たしかに柿谷曜一朗は、守備でも「追う」ようにはなっている。でも、本気のアタックをブチかましたら、必ず「何か」を起こせる状況でも、まさに「ぬるま
湯」の寄せしか見せない。だから、相手ボールホルダーも、余裕で次へパスを展開しちゃう。これじゃ、味方だって「次」を狙えない。
この2人の天才にとっては、攻守にわたる、ボールがないところでの動きの量と質をアップさせることこそがメインテーマなんだよ。それこそが、彼らが秘める、レベルを超えた「天賦の才」を効果的に活用するための大前提なんだ。
そんなだから、両監督も、全体的な両チームの運動量が落ちてくるまでは、この2人をグラウンドへ送り出せない。両チームのダイナミズムが「まだ」高い時
間帯に演出される「ハイレベルのテンポ」が、この2人によるタメの演出で(要は、ボールのこねくり回しで!)寸断されちゃうからね。
また全体的な組織サッカーの「リズム」も阻害されちゃうし、守備での機能性にも支障をきたすでしょ。フ〜〜・・
だから、ゲームの立ち上がりからは使えない。もちろんケースバイケースではあるけれどネ・・
ところでの、この2人の天才が魅せる、ボール絡みのプレー内容だけれど・・
どうだろうね・・。ボールを持ったら、たぶん家長昭博の「危険ポテンシャル」の方が、柿谷曜一朗よりも高いんじゃないだろうか。
でも、家長昭博は、相手が飛び込んでこない限り(積極的にボール奪取アタックを仕掛け来ない限り!)決して無理なドリブル勝負を仕掛けていかない。要は、相手ディフェンダーと正対したカタチでは、積極的に仕掛けいかないということ。そこが不満・・
たぶん、「失敗したらいやだな〜・・」なんていうネガティブイメージが脳裏を占拠しちゃうんだろうね。
でも、それじゃダメなんだよ。もっともっと、「エイヤッ!」の勝負を仕掛けてかなければいけないんだ。失敗を恐れていては、彼の天才は、まさに宝の持ち腐れ・・ってなことになっちゃうだろ。
あ〜あ・・。ホントに、天賦の才というテーマは奥深い。
とにかく、特にユース選手たちを扱うサッカーコーチの方々には、「天才を潰さないようにハードワークにも精進させる・・」という難しいテーマに、注意深く取り組んで(チャレンジして)いただくよう心からお願いする次第なのです。
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(他のゲームでテーマを見出したら、順次アップしま〜す)
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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