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- 2012_世界へのチャレンジ・・いや、ホント、香川真司のゴールには興奮させられた・・(フランスvs日本、0-1)・・(2012年10月12日、金曜日)
- フ〜・・いまスタジアムからホテルにたどり着いた。40分ほどの早足ウォーキング。汗だく。とても良いエクササイズになった・・なんて強がりも出るサ・・あははっ・・
それでも、深夜の1時を過ぎているから(日本時間では朝の8時過ぎ)、もう、ホント、簡単にまとめるしかないと、シャワーを浴びてから、早々にキーボードに向かった。
まず・・というか、決して斜に構えて書くつもりはないけれど、どちらかといったら日本代表のラッキーウィンだったというポイントから入りましょうか。
とはいっても、結果は、結果という事実もまた強調しておかなきゃいけないし、前半の20分を過ぎたあたりから後半にかけてのゲーム展開でも、日本代表が、とても立派なサッカーで互角以上の展開を魅せる時間帯もあったという事実も、明確にしておかなきゃいけないよね。
ゲームのなかで成長した日本代表・・!?
そう、立ち上がりに大きなミスをした川島永嗣の「その後の立ち直り」・・ベンゼマに「やられまくった」酒井宏樹のフッ切れた勝負プレーなどなど、「世界」とのガチンコ勝負によって、さまざまな「ブレイクスルー」があったのも、確かな事実だよね。
とにかく、選手たちは、とても大きな自信ベースを手に入れたはず。なんたって、「あの」スタッド・ド・フランスで、フランスのフル代表に初めて勝利を収めたわけだから・・
でも逆に、フランス代表監督のディディエ・デシャンにとっては、代表監督に就任してからの「初」黒星ということになりました。曰く・・
・・悔いが残るゲームだった・・試合内容では我々がイニシアチブを握っていたと思うし、多くのチャンスも作った・・でもゴールを奪えなかった・・そして罰を受けた・・
・・我々は、日本代表を「守りに入らせる」ような積極サッカーはできた・・ただ日本代表は、しっかりと耐えていた・・そして最後は、実のある組織サッ
カーを展開する日本代表が、まさに粘りの勝利を収めた・・諦めない(粘り強い)日本代表・・我々のプレー内容は悪くなかったが・・まあ、サッカーでは、よ
くあるドラマだったということだな・・
・・というのがデシャン監督のコメントだったのですが、ゲームを観られていた方々も、(私もそうですが・・)ゲーム展開(内容)については、同じような印象を持たれたに違いありません。だから、ある意味ではラッキーウィン・・
まあ・・ネ、ラッキーウィンという表現のニュアンスには、夢のような日本代表のカウンターが、まさにスーパーに決まったという事実以外にも、フランス代
表が6人の交代枠を使い切ったことで、(たしかにリベリーも交替出場したけれど・・)全体としては、どんどんチームワークが減退していった
ったというファクターも加味しなけりゃいけない。
それでも、シュート数では、たぶん4倍近くは打たれたはずだし、決定的チャンスの量と質でもフランスに凌駕されていた。もし川島永嗣のスーパーセーブがなかったら・・
夜中でアタマの回転が鈍くなっていることもあって(!?)、全体的な印象として、どうもネガティブなニュアンスが先行しちゃっているように思う。
多分その背景には、前半20分あたりまでフランス代表にブチかまされ圧倒された強烈なサッカーがあったんですよ。
とはいってもサ、立ち上がりの2-3分だけは、日本代表が、強烈なプレッシング守備をベースに、ガンガンと攻め上がっていったよね。
そんな展開を観ながら、誰もが、「これは・・」と期待した。でも、すぐにフランス代表に押し返され、完全にイニシアチブを握られてしまうんだよ。
もしかしたら、立ち上がりに日本代表が魅せた「超」攻撃的な積極サッカーがフランスを刺激しちゃったのかもしれない。「フザケンナよ〜っ! 格下のジャポンが生意気に〜っ!!」ってな具合にネ。
そして、前半20分あたりまでの日本代表は、完全に「ビビ」らされてしまった。失礼とは思うけれど、やっぱり彼らは、フランス代表に、心理的に圧倒されていたと思うんだ。
グラウンドでプレーしている選手たちが、もっとも肌身に「個のチカラの差」を感じるモノだからね。そして、その「差」を感じた彼らは、最初、どんどんと攻守のプレーが縮こまっていった!? まあ、そういうことですかね。
具体的には、守備でのチェイス&チェックの勢いや、その周りでのカバーリングやサポートの動き、はたまたボールを奪い返した後の、攻めへ転ずる「ボール
がないところでの動き」の量と質に如実に現れていた(ザッケローニは、パス&ムーブが消え失せた・・なんていうニュアンスの内容をコメントしていた)。
その20分間・・
日本代表は、押し込まれるだけじゃなく、ベンゼマやメネズといった個の才能ドリブラーにサイドゾーンを切り裂かれ、危険なラストボールを何本も通されて
ピンチに陥った。またセットプレーからも、繰り返し、決定的なヘディングシュートのカタチを作られた(高さとタイミングで圧倒された)。
そりゃ、心理的に圧迫されるのも道理だよね。でも・・
そう、20分を過ぎたあたりから、日本代表のプレーが、どんどん高揚していったんだ。その変化には、ちょっと驚かされた。
そのキッカケは、多分、酒井宏樹のクロスから、マイク・ハーフナーがヘディングシュートを放った最初のチャンスだったと思う。その後にも、素早いコンビネーションからチャンスを作り出した。
そして日本代表の攻守にわたるプレー内容が、俄然ヒートアップしていくんですよ。
そして、不安定だった川島永嗣のプレーが高みで安定するだけじゃなく、両サイドゾーンでのタテの関係も活性化していった。
フッ切れたんだろうか・・!?
こんなコトをしてちゃ(フランスに圧倒されてちゃ)、何のためにパリまできたのか分かりゃしね〜っ!・・とか、フザケンナよ、オレ達だってプロなんだゾ〜ッ!・・とかサ。
それとも、誰かが強烈なリーダーシップを発揮したんだろうか!? そういえば香川真司は、最初から、ひとり気を吐いてリスキープレーにチャレンジしていたよね。本田圭佑がいない分、オレが頑張らなければ・・なんていう心境だった!? さて〜〜・・
まあ、ことほど左様にゲームの内容が「ポジティブに変容」していったっちゅうわけです。とはいっても、全体的にはフランスがイニシアチブを握っているのは確かな事実。そして、そんな展開だったからこそ、日本代表が、この上なく価値のある「体感」を得たのですよ。
そう・・素晴らしいカウンターチャンスと実際のゴール・・
アジアでの闘いではあまり起こらないけれど、日本代表が、相手に試合のイニシアチブを握られるといったゲーム展開。そんなゲーム展開のなか、日本代表は、カウンターから何本もチャンスを作り出したんだよ。そのことは、素晴らしく意義深い出来事だった思う。
日本代表は、これから中東でのアウェーゲームに臨まなければならないよね。そのとき、日本代表をホームに迎える中東各国は、もう捨て身の覚悟で「ガンガン来る」でしょ。
そこでは、強い日本代表でも押し込まれる時間帯の出てくることが予想される。そこで、今回の「体感」が素晴らしいカタチで開花するに違いないと思うわけです。
何せ、センターバックの今野泰幸が、爆発的な直線ドリブルで何人ものフランス選手を置き去りにしたんだぜ。それだけじゃなく、右サイドへ出したパスを受けたのが「あの」長友佑都。
最後は、ラストクロスを香川真司がダイレクトで叩き込んだけれど、このスーパーなカウンター攻撃をリードしたのが、2人のディフェンダーだったという事実こそが、殊の外スーパーなんだよ。
そんな刺激的な体感は、ない。
このカウンターは、確実に、選手たちのイメージタンクに蓄積され、必要なときに、瞬間的に、脳内のイメージスクリーンに描写されるはず。そして瞬時に(明確に意識せずとも!!)アクションがスタートする。フムフム・・
スミマセン、もう限界。
香川真司の「意を決した積極チャレンジプレー」や守備の実効レベルとか、交替出場した乾貴士の、攻守にわたる積極プレー(特にドリブル勝負=乾貴士については「このコラム」も参照してください)、はたまた、遠藤保仁の「チカラを抜いた自然体の」ゲームメイキング、両サイドゾーンでの、それぞれのタテの関係(その変容)などなど、書くことは山ほどある。
ということで、それらのテーマについては、帰国してからビデオで確認し(ブラジル戦も含めて!)再びアップします。帰国する週は、J2を除いて、試合は少ないからね。
それでは、次のブラジル戦を楽しみに〜〜・・寝ます・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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