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2012_ヨーロッパの日本人・・本田圭佑と香川真司・・(2012年10月1日、月曜日)

まず本田圭佑から・・

 このゲームでも(モスクワダービー=vsデュナモ・モスクワ)、例によって、ボールを持ったときの才能プレーが光り輝いた。

 日本代表でもそうだけれど、以前よりも(無責任な蛮勇プレーではなく!)リスクを冒すようになった積極的なプレー姿勢がインプレッシブだったのですよ。

 彼は、リスクチャレンジへの意志が(チャンスメイカーとしての自信と自覚が!?)アップしている・・とも言える!? フム〜〜

 以前だったら、ダイレクトで安全パスを回すこと(逃げの姿勢)の方が目立ったシチュエーションでも、一度トラップし(もちろんタイミングと状況によって は、ダイレクトでチャレンジパスを出すケースもあるけれど・・)、マーク相手をスクリーニングで押さえながら「タメ」を演出したりする。

 また、タメの状態から、スッ、スッと、ドリブルで突っ掛けながら、ギリギリのタイミングで勝負のスルーパスを出したり、「ワンのパス」を出し、間髪を入 れないパス&ムーブで次のスペースへダッシュし、リターンパスを受けたり(コンビネーションの起点プレー!)と、まさに実践的なリスクチャレンジャー (チャンスメイカー)として、光り輝いているのですよ。

 とはいっても、まだまだ、攻守にわたるボールがないところでのプレー(ハードワーク)の量と質については不満はある。

 まあ、全体的な運動量がアップしていることも含め、ボールを持ってからの、あの内容のリスクチャレンジをブチかましてくれるんだったら、彼のプレーをポジティブに捉えることができる・・っちゅうことですかね。

 要は、チームの目的を達成するために、彼のプレーが、どのくらい実質的に貢献しているのか・・という視点ということだね。

 攻撃の目的はシュートを打つこと(当面の目標は、スペースの攻略!)。そして守備の目的は、相手からボールを奪い返すこと。

 その「目的」を達成するために、どのくらい本田圭佑のプレー(ハードワークと創造性プレー)が、総体的に機能しているのか・・という視点です。

 以前は、その視点で、明らかにバランスを欠いていたと思う。

 ハードワークはせずに(足を止めて!)ボールを要求し、そしてパスを受けても、(失敗を恐れて!?)リスキープレーにも満足にチャレンジしていかない。

 でも、タスク(彼に期待するチーム戦術的な価値!)を限定すれば、とても貢献度の高いプレーをする。例えば、南アフリカワールドカップでのスビアヘッドとか・・ね。

 でも、やっぱり、希有な才能に恵まれた本田圭佑には、ミッドフィールダー(まあ・・チャンスメイカー・・)としての存在感を着実にアップさせていって欲しいと期待しちゃう。

 何か、チマタでは、「トップ下」とかサイドハーフとか、選手の役割を限定するような低次元のディスカッションが為されていると感じる。そう、サッカーを(過度に!?)数学的に捉えようとするシステム論・・。サッカーは、偶然と必然が交錯するボールゲームなんだぜ!

 もちろん、基本的なチーム戦術的役割(ポジション)のイメージを持つことには、ある程度の意義はある。でも「そのイメージ」に囚(とら)われ過ぎたら、弊害の方が大きくなる。

 要は、それぞれのポジションやタスクは、チームの目的を「より」効果的に達成していくために、ゲームの流れのなかで臨機応変に変容させていかなければならないというのが、世界トップサッカーにおける主流の考え方なんだよ。

 香川真司、本田圭佑、また岡崎慎司や清武弘嗣、中村憲剛といった日本代表の攻撃的ミッドフィールダー陣。わたしは、彼らのタスクイメージを限定してしまうようなポジショニング呼称(可能性を限定するシステム論!?)には、まったく同調できないのです。

 私は、彼らには、出来る限り、縦横無尽のポジションチェンジを(発想の自由を)謳歌してもらいたいと思っているわけです。

 試合が始まってしまえば、もう監督は、ほとんど何も出来ないし、後は、グラウンド上で闘う選手たちに任せるしかない。だからこそ、「日本的な」組織サッ カーを存分に機能させるためにも、守備での汗かきプレーに代表されるハードワークへの相互信頼が、とても大事な意味をもってくる。

 そう、選手たち自身が積極的に「進化&深化」させようとするプレー姿勢を絶対的な基盤とする相互信頼。

 それさえ高みで安定すれば、本田圭佑や香川真司といった「タイプの異なった才能」が噛み合うことで相乗効果が倍加されるような優れたコラボレーションが、最高レベルの機能性を魅せるに違いない。

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 さて、一寝入りした。

 ということで香川真司。

 良かったですよ。全体的なプレー内容が高みで安定している。それに、この試合では、香川真司らしい「小回りの効いた」ゴールを叩き込んだし、局面でも、状況に応じた個人勝負(タメや突破ドリブルなど)にも、積極的にチャレンジしていた。

 あっと・・小回りが効いた・・という表現だけれど、それは、彼がこだわっている、素早いターントラップ&コントロール(相手マークを、方向を変える一発トラップで置き去りにしてしまう勝負プレー)のことです。

 まあ、このゴールシーンでは、「左足→右足→左足シュート」という、両足を使った細かなステップだったけれど、それでも最初の左足でのボールタッチでは、一発で身体を反転させ、迫りくる相手のアクションの逆を取ったよね。素晴らしい・・

 それにしても、前半のユナイテッドは寝ていたね。

 もちろん、ヴィラス・ボアスに率いられるトットナムが、素晴らしく組織されたダイナミックな守備によってゲームを支配したこともある。忠実でダイナミッ クなチェイス&チェックと、その周りで展開されるクレバーなポジショニング(マーキング)バランスが、美しいハーモニーを魅せた。

 そして攻撃でも、組織パス(コンビネーション)と、それを基盤にしたスペース攻略でチャンスを見出した「個の」才能たち(ガレス・ベイルとかネ・・)が、爆発的な個人勝負(勇気をもった突破ドリブル)をブチかましていく。

 そんな前半だったから、攻守にわたって行動半径を広げた香川真司でも、そんなに多くの見せ場を作り出せなかったのも道理だった(彼には常に執拗なマークも付いていたしね!)。

 それでも後半は・・

 そう、マンUが、後半から登場したルーニーの活躍によって息を吹き返したことで(彼が入ったことで守備が活性化し、攻撃でのボールの動きも大きく増幅した!)、香川真司も、組織プレーでも個人勝負プレーでも、本来のクオリティーを取り戻した。

 また、ゴール以外にも、素晴らしいボールコントロールで抜け出したところを「後方からのタックル」で倒されたシーンもあったね。それは、まさに香川真司らしい決定的シーンだったけれど、「あれ」は、完全なPKだった。まあ・・仕方ない・・

 とにかく、チームメイトから信頼されていることが、とても重要だと思う。そのベースは、もちろんボール絡みのハイレベルなプレー内容もあるけれど、攻守にわたるハードワークの優れた量と質も大きい。

 ということで、ここまでは、ビックリするくらい順調にコトが運んでいると思う。

 攻守にわたる(汗かき)組織プレーと個人勝負プレー(特に、チャンスシーンでの、創造的で素早く正確な一発トラップ&最終勝負プレー!)のハイレベルなバランス。香川真司のキーワードを探るとしたら、それが一番ふさわしいですかね。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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