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2012_ヨーロッパの日本人・・乾貴士は、ブレイクスルーの渦中にある!?・・(2012年9月27日、木曜日)

乾貴士・・

 良かったですよ、とても。前節も(ニュールンベルク戦)今節も(ドルトムント戦)。特に、良いカタチでボールを持てたときの(ドリブル勝負への!?)異様なほどの自信には感嘆させられる。

 それにしても、本当によく走るようになった。彼がブチかます、攻守にわたる忠実なハードワークに、「やっぱり環境こそが人を育てるんだな〜・・」なんて、感慨深くサッカーのメカニズムに思いを馳せたモノです。

 まあ、監督のアルミン・フェーに、とことん鍛えられたっちゅうことなんでしょう。ドイツ雑誌のインタビューでも、そんなニュアンスのやり取りがあったっけね。

 そして、攻守にわたるハードワークが基盤になっているからこそ、彼のドリブル勝負が抜群の効果を発揮するっちゅうわけだ。

 パスレシーブ後のシンプルなパス&ムーブや、味方をうまく使ったコンビネーション等が上手くはまり、(もちろん通常のフリーランニングも含めて!)次のスペースである程度フリーでボールを持てたら、そこからのドリブル勝負への期待で胸が躍る。

 まあ、その勝負ドリブルが素晴らしく軽快で(その多くが効果的なパスやシュートにつながるという意味で!)的を射ているとはいっても、相手が粘り強く追 い込んでくるような(安易にアタックを仕掛けず、粘り強くマークしつづけるような!)タイプだったら、最後はスピードとパワーにやられちゃうことも多いけ れど・・

 そんな、観ていて楽しい乾貴士だけれど、だからこそ、最終勝負フローのなかでの(前段の文章とはチト矛盾するけれど・・)動きの量と質をアップさせ、より多く(良いカタチで!)ボールに触れるようにイメージを磨いていけば、もっともっと進化&深化できる。

 そうすれば、ドリブルシュートだけじゃなく、(ラストスルー)パスやクロスボールを受けるカタチからでもチャンスを掴めるシーンが増えていくはず。そう、今節の試合(ドルトムント戦)でブチかましたスーパーヘディングゴールのようにね。

 もちろん、アルミン・フェーが望むチャンスメイクイメージ(チーム戦術的なイメージ)もあるだろうけれど・・

 また乾貴士は、攻撃だけじゃなく、守備でのハードワークも向上していると感じる。要は、全力スプリントのチェイス&チェックやマーキングといった忠実なハードワークでも存在感をアップさせているっちゅうことです。

 とはいっても、ギリギリの競り合いシーンとなったら、やはり、スピードとパワーで見劣りしてしまうケースも目立つ。

 乾貴士の場合、イコール状況のフィジカル勝負に持ち込まれたら不利になるのは自明だよね。だから彼は、相手の動き(そのクセなど!?)を注意深く観察し、正確に予測しながら、もっと早いタイミングでアクションを起こさなければならないんだよ。

 そうすれば、より有利なカタチで身体を寄せられるだろうし、効果的なボール奪取アタックだってブチかますことができる。また、相手ボールホルダーと対峙しても、クレバーなタイミングで足を出し、「スリ」のようにボールを奪ってしまう「余裕」だって持てるようになる。

 まあ、だからこそ、イメージトレーニングが重要になってくるということなんだけれど・・

 要は、繰り返し、様々な競り合いシーンのビデオを観ることで、アタマのなかの「イメージタンク」を洗練させるということです。そうすれば、自然と、相手 の次のプレーを(より)正確に予測できるようになるだろうし、素早いタイミングで正しい守備アクションを繰り出していけるようになる。

 不確実な要素が満載された『自由にプレーせざるを得ない』サッカーでは、攻守にわたるプレーイメージを常に磨き、高揚させていくことが(発展させようと する強い意志をもつことが!)とても大事なんだよ。考えなくても、瞬間的に描写されるイメージによって突き動かされるように自然と身体が動いていくまでに ネ・・

 とにかく、攻守にわたる組織プレーで「も」素晴らしい進化&深化を遂げようとしている(本物のブレイクスルーの渦中にある!?)乾貴士への期待が高まりつづけている筆者なのであ〜る。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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