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- 2012_J2・・オジー・アルディレスとの対話・・(ヴェルディvs町田ゼルビア、 1-1)・・(2012年10月7日、日曜日)
- 両チームともに積極的に攻め合う、ものすごく面白い(エキサイティングな)勝負マッチでしたよ。ホント、一度「J2」に足を運んでご覧なさいな。入場料にオツリがくること請け合いだよ。
それにしても町田ゼルビア。こんなに優れた組織サッカーをやるとは思わなかった。
聞くところによると、リーグ最下位にもかかわらず、ボール支配率ではトップなんだとか。また、パスの総数では2位、ドリブルの総数でも3位なんだって。まさに、オジー・アルディレスが志向するサッカーコンセプトを体現しているっちゅうわけだね。
その事実については、ゲームがスタートしてから身に染みて体感させられた。
相手が強いヴェルディであるにもかかわらず、積極的なボール奪取(ディフェンス)をベースに、たしかに、素早く正確なパス&トラップ&パス(そしてもち
ろん巧みなボールコントロールも!)を駆使する組織サッカーで互角にイニシアチブをせめぎ合っている。ちょっとビックリ。
だから、オジーに聞いた。
・・とても優れたサッカーを楽しませてもらった・・そのサッカーにしては、今のリーグ順位が不思議でしょうがない・・その、内容と結果の大きな乖離(か
いり)について、もし(そのギャップが妥当ではないという意見に)アグリーならば、その理由を聞かせていただけませんか?・・
それに対してオジーが、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・
・・私も、内容と結果に著しいギャップがあると感じている・・我々が目指しているのは、ボールを介して(チームメイト同士がしっかりとイメージをシンクロさせることで!?)相手の隙(スペース)を突いてチャンスを作り出すことだ・・
・・ただ、我々がよく陥る問題がある・・それは、ボールはキープできていても、その(ボールの)動きに深さがないということだ(要は、タテ=前後=方向
へのボールの動きが足りないということ!)・・この試合でも、仕掛けに「深さ」が足りなくなっていた(ボールを前後に「も」動かすことで相手守備
ブロックをより大きく振り回せるのに!?)・・
・・ただ平本一樹を投入してからは、攻撃に変化を生み出せるようになった・・我々にとって平本一樹は大事な存在なんだ・・
・・そんな大事な選手が、1ヶ月以上も戦列から離れていたんだよ・・その間、攻撃の厚みや深さを担える選手が北井佑季しかいなくなってしまった・・
・・でも、その平本一樹が帰ってきた・・彼が入ってからは、ボールをしっかりとチーム内でキープしながら、タテにボールを動かす素早い仕掛けが、より頻
繁に出てくるようになったと思う・・そうすれば、必然的に、攻撃がより危険なモノになる・・とにかく今は、平本一樹がケガをせずに、このフォームを維持する
ことを願うばかりだ・・
フムフム・・
でも、町田のサッカー内容と現在のリーグ順位の(不自然な!?)ギャップについて、もう少し突っ込んで聞いてみたい。だから、他の方々の質問が終わってから、最後にもう一つの質問を投げた。
・・先ほどの質問の内容を補足するのですが、町田の成績が(内容が優れているにもかかわらず!)振るわないのは、どうも守備に問題がありそうだ・・今日も、何度
も、ディフェンダーがボールウォッチャーになった(そのことで裏のスペースを攻略されてしまった)シーンを目撃した・・その修正を意図したトレーニングは
考えているか?・・
私の目には、ゼルビアの守備に、特に最終勝負シーンに「集中と粘り強さ」が欠けていると映っていたのですよ。
一度アタックを外されて置き去りされたら、守備アクションを止めてしまう・・相手がドリブルで突っ掛けてきたり素早いコンビネーションを仕掛けきたら、
そのボールの動きに意識と視線を奪われ「過ぎて」てしまう・・また、次、その次と、危険なスペースを自ら埋めていくような主体的なカバーリング意識も十分ではな
い・・などなど、ゼルビア守備には、問題点が見え隠れしていたのです。
また、ジャーナリスト仲間の方からは、この試合のゼルビア守備が、まだマシな方だった・・なんていうハナシもあった。エッ!?・・普段は、もっと「ザル」なのか〜!?
それじゃ、いくら素晴らしい攻撃をつづけても救われない。サッカーの全てのスタートラインは守備にあり・・だからね。守備が安定しなけりゃ、攻撃にだって人数を割いていけない(リスクチャレンジのマインドを高揚させられない!)のも道理なんだよ。
オジーは、そんな私の質問に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。曰く・・
・・たしかに、ヴェルディの先制ゴールは、左サイドから崩され(マークが外され)、ウラを突かれてしまったことが原因だった・・
・・また後半がはじまってから5分間くらいで、2度ほど、同じように左サイドを崩された・・ただ守備自体は良い方向へいっていると思う・・我々のセン
ターバックコンビ(田代真一と新加入のイ・ガンジン!)は、とても優秀だ・・また中盤の守備にしても(この試合では、下田光平と加藤晃平)機能性が大きく改善していると思う・・
ナルホド、ナルホド・・。たしかに印象は良くなかったにしても、指揮官のイメージ(手応え)がポジティブに進展しているならば、必ず「もっと」良くなっていくはずです。期待しましょう。
とにかく、このチーム(町田ゼルビア)は、最下位には相応しくないからね。
ところでオジーのコメント。彼は、その最後を、こんな興味深いキーワードで締めくくった。曰く・・
・・物事は、最後はバランスなんだよ・・ディフェンスが上手いヤツらを集めても、失点は少なくなるかも知れないが、逆にゴー
ルに辿り着くのは難しくなるよな・・また攻撃でも、足元が上手いヤツらばかりを集めても、ろくな仕掛けは生み出せないだろうし、守備は、もっとヒドイことに
なっちゃうだろ・・
・・要はバランスなんだよ・・フットボールにおいても、バランスは、とても重要なキーワードなんだ・・様々な意味合いを内包するバランス・・それが高い次元で維持できている
チームほど、いい成績を残せるというなんだろうな・・我々は、シーズン当初はバランスを欠いていたと思う・・経験が不足している選手がいたり、負傷者が続
出したことで、バランスを保つことが難しかったんだよ・・
でも、これからは・・見てろヨ!?
オジーのコメントを聞きながら、その最後の語尾に、そんなニュアンスの言葉を付け加えていた筆者なのでした〜〜・・
ガンバレ〜、オジ〜〜!!
彼の、世界に光り輝きつづけた現役時代のキャリアを、(フォークランド紛争後の再デビュー戦の体感も含めて・・!)知る私は、オジー・アルディレスを応援したいというエモーションを抑え切れません。彼は、私にとって「別格の」ヒーローなのです。同い年だしね・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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