トピックス
- 2012_J2・・最後まで自分たちのサッカーを貫きとおしたチョウ・キジェとベルマーレ選手たちに乾杯!・・(ゼルビアvsベルマーレ、 0-3)・・(2012年11月11日、日曜日)
- そのとき、ベルマーレのベンチが沸き立った。
「こちら」のゲームはまだ終わっていなかったけれど、ベンチには、サンガ対ヴァンフォーレ戦が「0対0」でタイムアップになったという情報が入ったんだろうね。
それは、ベルマーレが、逆転で2位に繰り上がったこと、そして「J1」へ自動的に昇格したことを意味する。一塊になって悦びを爆発させるベルマーレのベンチ。いいネ・・おめでとう・・
そして次の瞬間、「こちら」でもタイムアップの笛が吹かれた。
もちろんベンチの「塊」は、まさに蜘蛛の子を散らすようにグラウンド内へ全力スプリントで駆け込んでいく。そして、「J1だぞ〜っ!!!」っちゅう叫びを聞いたグラウンドの選手たちも、一瞬フリーズし、そして連鎖的に爆発していくんだよ。
ホントに、いい光景だった。もちろん、そんな歓喜の輪のバックには、JFLへの自動降格が「ほぼ」決定してしまったFC町田ゼルビアがいる。その監督、コーチ、選手と観客、そして努力をつづけた関係者の方々がいる・・
めくるめく歓喜と、どん底の落胆が、残酷なまでに交錯するサッカードラマ・・
そんななかで、ゼルビア・サポーターの方々が「湘南ベルマーレ〜!!」と、エールを送る。それに呼応して、ベルマーレ・サポーターからも「町田ゼルビア〜!!」とエールが返される。
わたしは、その光景を、複雑な心境で体感していた。フムフム・・
試合後のチョウ・キジェ監督の記者会見だけれど、 原文は「J’s GOAL」などで確認してくださいね。ということで、ここでは、「行間」も含むコメントのニュアンスも含め、テーマを抽出します。
まあ、そこでの原点テーマは、(私が投げた質問にあるように・・)継続こそチカラなり・・という普遍的なコンセプトだと思う。
・・いつもと違うことをやろうとするのではなく、あくまでも、ベルマーレのサッカーを、平常心で貫き通す心構えでゲームに臨もう・・
試合前、チョウ・キジェは、選手にそんな声を掛けたそうな。もちろん、彼らには「それしか」なかったわけだけれどね。そう、3位だった彼らには、2位になるために、自分たちのサッカーを全力で貫きとおす「しか」なかったんだよ。
選択肢(ゲーム戦術)の可能性が薄かったという意味で、ベルマーレには、心理的にラッキーな面もあったっちゅうことだね。
とはいっても彼らは、チョウ・キジェが言っていたように、自分たちのサッカーを、とてもクールに、そして立派に貫きとおした。この試合ほど、(オジー・
アルディレスも認めていたように・・)実力の差が明確に見て取れたゲームも珍しいんなじゃないかな〜・・なんて思っていた。まあ、もちろん細かな不満は残
るにしても・・だよ。
あっと、前出の「ゲーム戦術」だけれど、チョウ・キジェにとって「それ」は、とても限定的なモノなんだと思う。基本的に彼らは、常に(平常心で!?)ベルマーレのサッカーをやろうとする(ベルマーレ的自己主張ブチかまそうとする!?)んだよ。
それも、自信と確信をもってね。そう、そこに自信と確信が伴っていることこそが、「継続こそチカラなり・・」という普遍的コンセプトの為せるワザだった・・っちゅうことなんだろうね。
チョウ・キジェは、結果に囚(とら)われることなく、常に前向きに、その試合のサッカー内容を冷静に分析して選手たちに様々なアドバイス(様々なシグナル)を出す。もちろん記者会見でも、その姿勢は、まったく変わらない。
結果をベースに(心理的に、結果に囚われすぎた状態で!?)分析し、批評をした場合、「外す」ことが多いんだよ。そして、「そこ」で派生したネガティブな雰囲気が、選手の不信を買う。
そうではなく、チョウ・キジェは、選手と「共有」している様々なサッカーコンセプト(チーム戦術的な理解)をベースに、常に、ポジティブなベクトルで分析しようと心がけているんだろうね。
もちろんそのプロセスでは、(選手の)人間的な弱さと対峙することもあるでしょ。でも、そんな心理的な(感情的な!?)対峙にしても、チョウ・キジェのポジティブな「パーソナリティー」があるからこそ、不信を助長したり、不満が雪だるま式に膨張することがない。
たぶん彼は、選手たちの瞬間的な恨みや憎しみを(余裕をもって!?)受け容れられるんだろうね。それも、これも、彼自身が、自分自身の(共有コンセプト
に則った!)首尾一貫した言動(その正しさ!)を確信しているから。だからこそ、(対峙した)選手が、いつかは理解するはずだと確信し、それを(余裕を
持って!?)待つことができる・・
そんな彼の確信については、こんなニュアンスのコメントもあった。
・・例えば9試合勝てなかったときとか、この3連勝の前に6試合くぐらい勝てなかったんですけど、負けても引き分けても勝っても、一度もネガティブにな
ることはなかった・・選手たちは、共有しているコンセプトと、常に真摯に向き合っている・・だからこそ、私も選手たちも、いつかは実を結ぶに違いないと確
信できていた・・
そう、結果ではなく、内容(プロセス)こそが重要だという信念・・
だからこそチョウ・キジェは、彼に不満で、ふてくされているからといって、その選手を使わないということはなかった・・
でも逆に・・(ふてくされるということも人間の素直な感情なのだし、あって当たり前であるにもかかわらず・・!)ふてくされているのにふてくされてないよという(斜に構える!?)態度については、とがめていました・・なんていう素敵なコメントもあったね。
まあ、要はサ、いつも書いているように、試合が始まっちゃえば、もう監督に出来ることは大きく限定されちゃうっちゅうことなんだよね。
だからこそ監督は、選手が、主体的に、ギリギリまで闘えるように(強烈な意志をブチかませる!)ようにドライブ(心理マネージメント!?)できなければいけないっちゅうことなのです。
とにかくこれで、J1でも魅せてくれるに違いないベルマーレの奮闘が楽しみになってきたね。彼らの自信と確信は、どこまで膨れ上がっていくのだろうか・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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