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2012_ヨーロッパの日本人・・いいね〜、吉田麻也・・(サウザンプトンvsアストン・ヴィラ、 4-1)・・(2012年9月24日、月曜日)

コラムに入る前に、この試合でも、テレビの映像作りに文句を言いたい。

 とにかく、溜まったフラストレーションを発散しなくちゃ、ポジティブな心理状態で書きはじめられない。そう、半径20メーターのカメラワーク・・

 まあ、それでも何とか、吉田麻也の素晴らしいポジショニング(予測ベースの動き)と、忠実で確実、そしてダイナミックでスマートなボール奪取プロセスを、「結果」として確認はできた。

 もちろん、ボールを奪い返すに至るプロセスでの「駆け引き」を、もっと正確に観察できたら、もっと深く楽しめたはずだけれど・・

 何故なんだろうね、イングランドのカメラワーク。それに、カメラを設置するポジションが「低すぎる」ケースも多い。だから、見やすく「俯瞰」した映像作 りが出来ない!? または、イングランドのサッカーファンの方々は、ボールがないところでのエキサイティングな駆け引きドラマに興味がない!? さ て〜・・

 あっと・・吉田麻也。

 ホントに良かったですよ。サスガに本場イングランドのメディア。彼のグッドパフォーマンスを、しっかりと高く評価していた。

 吉田麻也のプレーで特筆なのは、何といっても、正確な「読み」と、勇気あるリスクチャレンジアクションだよね。

 どこで、どのようにボールを奪い返すのか・・というイメージを、瞬間的に、そして正確にアタマに描写できる。

 だからこそ、相手よりも先に、ボールが送り込まれてくるスペースを埋めることができる(先にボールに触ることができる)。

 彼の正確な予測・・

 それは、相手ボールホルダーと、その時点で彼がマークを意識している相手フォワードのアクション(イメージ)を正確に読んだり、味方のカバーリングや協力プレスなどを意識して、次の勝負ポイントに先回りしちゃうということです。

 相手が、戻ってタテパスを受けると「感じた」ら、それこそ、猛烈な爆発スプリントで、相手トラップの瞬間に(もちろんフェアな!)タックルをブチかましてボールを奪い返しちゃう。

 また、相手(ボールホルダーと彼がマークする最前線のパスレシーバー)が、背後のタテスペースを狙っていると「感じた」ら、これまた爆発アクションで先回りしちゃう。

 もちろん、その時点でマークを意識しなければならない相手がいない場合でも、次の勝負所(勝負ゾーンやポイント)を正確にイメージし、そこへのカバーリングや協力プレスに備えたりする。

 何度あったかな〜、彼の「予測ベースの先回りプレー」が。

 例えば、味方ボランチのミスで(相手にとって高い位置で)ボールを失ってしまったシーン。相手にとっては、またとないショートカウンターのチャンスだよね。そんなピンチで、吉田麻也が魅せたアクションの素早く、正確なこと。

 スッと、相手がタテパスを送り込んでくるに違いない決定的スペースを埋めちゃうんだ(そのスポットに先に入り込んじゃう!)。

 チームメイトにとっても、そんな吉田麻也は、とても頼もしいセンターバックに違いない(もちろん彼のパートナーである、ホセ・フォンテも・・)。だからこそ、チームメイトたちのプレーも、より自信にあふれた(安定した)モノになる。

 そうなんだよ。信頼の置けるチームメイトほど「心理状態」を安定させてくれる存在はいないんだ。素晴らしいゴールキーパーを擁しているのと同様に、強い センターバックもまた(要は、強い最終ブロックが!)、チームの心理的な安定にとって、ものすごく重要なファクターなんだよ。

 それに吉田麻也は、ヘディングも抜群に強い。

 そのベースは、ジャンプ力にあり。要は、彼は足が速いということです。スプリント力とジャンプ力は、まさに「≒」なのです。だからこそ、前述した「先回りプレー」も光り輝くっちゅうわけさ。

 また彼は、攻撃でも、チームメイトに安心感を与えていた。

 ・・正確なボールコントロールから放たれる確実なタテパス・・相手のタテパスに「先」に追い付き、ダイレクトで横のサイドバックへ正確なパスを出す・・ヘディングの競り合いでも、その多くが、味方への「次の攻撃つながる」パスにしちゃう・・等など・・

 そんな吉田麻也のプレーに、サッカーを知っている地元ファンの方々も拍手を送るんだよ。そう、彼らはサッカーに精通している。

 エッ・・それじゃ何故、「こんなテレビの映像作り」にブーイングしないんだろう??

 それって、何か、彼らの伝統的な考え方に拠るのかな!? でも、他のゲームじゃ、しっかりと「引いた構図」で、ボールがないところでの「興味深いせめぎ合い」も捉えるようなカメラワークも多くなっているんだぜ。

 さて〜〜・・????

 あっと・・吉田麻也。そうか、もう十分に書いちゃったか・・

 とにかく、彼が、世界トップクラスでの激烈なライバル競争環境のなかで、どこまでチーム内ポジショニング(存在感)をアップさせられるか、ものすごく楽しみになってきたじゃありませんか。

 今日のプレー内容は、その第一歩として、ものすごく大きな価値を内包していたと思う。ガンバレ〜、マッヤ〜ッ!!

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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