トピックス


2013_ACLとUCL・・レッズとドルトムント・・(チョンブクvsレッズ、 2-2)(ドルトムントvsマラガ、 3-2)・・(2013年4月10日、水曜日)

まずレッズから・・

 あっと・・。まず何といっても、後半ロスタイムに起きた、めくるめく歓喜と奈落の失望のドラマによって、この両チームの明暗が分かれてしまったというポイントがあったっけ。

 レッズにとっては、チョンブクに同点にされてしまった奈落の落胆ドラマ。ドルトムントにとっては、起死回生の逆転決勝ゴールを奪った、めくるめく歓喜のドラマ。フ〜〜ッ・・

 それにしてもチョンブクは、徹底して、まさに徹底してロングボールを放り込むことで(パワーを前面に押し出して!)仕掛けてきた。

 イ・ドングが試合前に言っていたらしい・・

 ・・日本は、パワーに(強烈な意志をブチかましてくる相手に)弱い・・

 まあ、結果からすれば、またまた韓国の「確信レベル」を押し上げてしまうということになってしまったけれど・・

 それでも、実質的な内容からすれば、そのロングボールで「押しこまれた」という表現は、まったく正しくないよね。

 その、「押しこまれた・・」という状況は、相手のパワーに(闘う意志に)対して、受け身の心理になって足が止まり気味になってしまうような悪魔のサイクルのことを言うからね。

 たしかに押されてはいたけれど、レッズは、攻守の目的を見失うことなく、しっかりと闘っていた。でも・・まあ・・後半のレフェリングが・・ね・・

 とにかくレッズは、冷静に、そしてしっかりとした強い闘う意志をもって、チョンブクのパワーサッカーを「受け止め」てカウンターを仕掛けていった。

 前半には、興梠慎三と阿部勇樹が、まさに決定的といえるシュートも放ったし、後半でも、しっかりと押し返していく(いや・・イニシアチブを握る・・)時間帯もあったわけだから。

 そして梅崎司や興梠慎三が惜しいミドル弾をブチかましたり、コンビネーションからフリーで抜け出した阿部勇樹がフリーシュートを放ったり、マルシオが強烈なシュートをブチかましたり・・

 チョンブクが仕掛けてきた、ロングボールやサイドからの放り込みだけれど、それに対しては、前述したように、レッズ守備は、自信をもって、しっかりと対処できていたと思う。

 ・・でも・・レフェリングが・・ネ・・

 チョンブクは、明確にフリーキックを狙っていたわけだから・・。レフェリーも、その演技にはめられてしまった!? まあ、これも、国際マッチ(特に日韓戦!?)の為せるワザっちゅうことなんだろうね。

 ということで、特に後半はセットプレーが多くなった。

 キッカーのエニーニョは、なかなか危険なフリーキッカーだし、後半は、まさに、チョンブクの思惑どおりの展開になったとも言える。

 そして、最後の最後に、イ・ドングの、「とても優しい落とし」から、ソ・サンミンに、「ゴールへのパス」を決められてしまった。

 その同点弾も、チョンブクの思惑(イ・ドングのポストプレー!)という意味合いじゃ、まさにツボにはまったゴールということだったね。

 その同点弾。それは、カタチとしては、先週埼スタで行われた第一戦の、「唐突なチョンブクの同点ゴール」と全く同じ。だから、チョンブクの思惑どおりのゴール。フ〜〜ッ・・

 最後は、ホントに悔しい結果になってしまったけれど、とにかく残された可能性に懸け、前を向いていくしかない。次のホームでの広州戦は、自分たちのステップアップを加速するための通過点というイメージで臨んで欲しいと思う筆者なのでした。

---------------------

 さて、ということで、ドルトムント対マラガ・・

 この勝負マッチについては、まず何といっても「おさらい」から・・

 第一戦の、マラガ対ドルトムントは、互いに、しっかりと守備ブロックを組織する・・というイメージで、時間だけがスムーズに過ぎていった。

 要は、互いに、次の守備をイメージし、中盤での、人数とポジショニングのバランスを明確に意識しながらプレーしたっちゅうことです。もちろん、リスクを冒さず、とにかく我慢しながら安定したゲームのなかからワンチャンスを・・という表現もありだよね。

 ということで、今日のリターンマッチ。そこには、勝った方が準決勝へ進出するという絶対的なベースがあった。

 いや、マラガは、ゴールさえ奪えば、アウェーゴール2倍のルールに基づいて、引き分けでも次へ抜け出せる。

 そう、そこには、ホームゲームを戦うドルトムントが、優位性と様々なプレッシャーという、とても微妙な心理的状況のなかでプレーしなければならないという視点があった。

 とにかく、ゲームの立ち上がりは、両チームともに、とても「微妙な雰囲気」でプレーしていたっちゅうことです。

 でも・・

 そう、あろうことか、マラガのホアキンが、先制(アウェー)ゴールを叩き込んじゃうんだよ。観ている私は、一瞬、凍りついた。もちろん私は、ドルトムントに肩入れしているんだよ。

 これでドルトムントは、少なくとも二つのゴールをゲットして逆転勝利するしかなくなった。

 ここからが、本物のドラマのはじまりっちゅうわけだ。

 もちろんドルトムントは、より前へ仕掛けていく。でもサ、ここでカウンターから2点目を奪われたら、それこそ「ザッツ・イット」っちゅうことになっちゃうよね。

 だから、「それでも」ドルトムントは、まだ戦術イメージからフッ切れてはいない。もちろんマラガは、より守備を厚くする。

 この、微妙な雰囲気・・。分かるでしょ・・

 そんな重苦しい雰囲気のなかで、ドルトムントが同点ゴールを奪っちゃうんだ。

 素晴らしい、ゲッツェ、ロイス、そしてレヴァンドフスキーのコンビネーション。最後はレヴァンドフスキーが、ワンタッチの浮き球コントロールで相手GKをかわし、マラガゴールの右隅への「パス」を決めた。

 でも、微妙な雰囲気は、変わらず。

 前半終了間際には、フリーキックから、これまたホアキンが、タイミングよくゴール前の決定的スペースへ抜け出してフリーヘッドを見舞うんだよ。誰もが凍りついたに違いない。もちろん、私も・・。フ〜〜ッ・・

後半立ち上がりの2分。これまたフリーキックから、ファーサイドのデミチェリスがヘディングで折り返し、まったくフリーになった(これまた)ホアキンがヘディングシュート!!

 最後は、ドルトムントGKヴァイデンフェラーが、ギリギリのセービングで、ホアキンのシュートを弾き出した。

 このシーンが、様々な意味で「心理的な分岐点」になったのかもしれないね。

 何せ、前半ロスタイムと、後半2分に、まさに「つづけざま」に、ホアキンに、フリーのヘディングシュートをブチかまされちゃったんだから・・

 要は、ドルトムントは、もう既に死んでいたかもしれない・・っちゅうことです。

 そんな「ゲームの流れ」は、グラウンド上でプレーする選手たちが、もっとも切実に「感じて」いるものだよね。だからこそ、彼らは、自分たち主体に、ペースをアップさせていったのかもしれない。

 ・・こんな中途半端な雰囲気のサッカーじゃダメだ・・オレ達のサッカーをやらなきゃ、後で悔いが残る・・よ〜しっ・・ってな感じですかネ。

 そしてドルトムントのサッカーが、いつものような積極プレッシングを基盤にしたダイナミックなモノへと変身していくんだ。もちろん、ボールを奪い返したら、誰もが、前線へのサポートへ飛び出していく。

 ・・そう、それだよ・・そんなことを思っていた・・

 そして全体的な支配力を高めたドルトムントが、何度か、絶対的なチャンスを作りだすんだ。でも入らない・・

 だから、そんな良いゲームの流れであるにもかかわらず、不安感も増幅していった。こりゃ、神様に見捨てられたかな・・

 そして後半37分。コトが起きた。試合終了まで、残り8分。それも、オフサイドゴール。フ〜〜ッ・・

 スタジアムの雰囲気も、マラガベンチも、私も、誰もが、「あ〜・・終わった・・」と思った。でも、ドルトムント選手たちは、違った。プロスポーツ選手の本能・・!?

 そして、ドルトムントが、完璧にフッ切れるんだよ。もう行くっきゃない・・

 いや・・、実を言えば、後半37分に、マラガのエリゼウが勝ち越しゴールが決め、ゲームが再開された後の「1〜2分」は、ドルトムント選手たちが、微妙 にエネルギーを殺がれてしまった・・なんて感じたんですよ。そりゃ、あんな状況になったら、誰でも落ちこむよな・・でも・・

 (スミマセン、グラウンド上の現象について、こちらの「感覚的な受容コンテンツ」を正確に表現できなくて・・)

 ということで、もう行くっきゃないドルトムントは、フンメルスを入れ、センターバックのフェリペ・サンタナを上げるんだよ。もう行くっきゃない・・そして・・

 難しいね・・

 ドルトムントが、後半ロスタイムにブチ込んだ、最後の二つの大逆転ゴールを、どのように表現していいのやら・・

 まあ、久しぶりに、「ドイツらしい締め」を堪能させてもらった。

 それにしても・・フ〜〜ッ、疲れた・・

===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]