トピックス
- 2013_国際親善試合・・この2連敗を、自分たちの強みを再認識するための「前向き」な学習機会とすべき・・(ベラルーシvs日本、 1-0)・・(2013年10月15日、火曜日)
- どうだろうね〜・・まあ、やはり、セルビア戦と同様に、「完敗に近い」アウェーマッチになってしまったとするのがフェアな評価だろうね・・
とはいっても、たしかに前半は、チャンスが「あった」。まあ「作り出した」というニュアンスで表現できるチャンスも一本か二本。
立ち上がりの4分には、香川真司が、左から持ち込んでミドルシュート。つづく11分には、岡崎慎司が、右から持ち込んでシュート。二つとも、とても惜しいシーンだった。
そして、この二つのチャンスとも、最後のパスを供給したのは本田圭佑。とても高質な(才能にあふれた)仕掛けパスだった。
そして前半13分。今度は、まさに「決定的チャンス」を迎える。柿谷曜一朗。
相手のミスパス(ミスプレー)からボールをかっさらってGKと1対1に・・。でも最後は、飛び出してきた相手GKが、身体に当ててシュートを防いでしまう。
本場の(伝統というバックボーンに支えられた!?)勝負勘・・
また18分には、香川真司とのワンツーで抜け出した内田篤人が、そのまま持ち込み、左足で「素晴らしく抑えの効いた」シュートを放つ。
それは、枠に飛んだけれど、これまた、相手GKの素晴らしい反応のセービングで弾き出されてしまった。
これは、本当に惜しいチャンスだった。でも・・
そう、それ以降は、まったくといっていいほど、ベラルーシ守備ブロックを崩せなかったんだよ。
たしかに、後半に登場した森重真人が、フリーキックからのボールを(抜群に高い!)ヘディングで「落とし」、それを岡崎慎司が飛び込んで引っかけるというチャンスはあったけれどネ(結局GKに防がれた)。
ところで、今回のアウェー2連戦だけれど、それは、ワールドカップでのグループリーグで「勝ち切らなければならない」相手を想定したマッチメイクだったんでしょ。
そう、グループの2位を争う相手。
それも、厳しいアウェーマッチという設定。そこで、勝負強さ(勝ち切るゲーム内容)を体感できたら、もちろん理想的だったんだろうけれど・・
まあ、それが、今回の欧州遠征のイメージ目標だった・・と思うわけです。
そして来月は(もちろん私もアテンドします!)、ワールドカップのグループリーグにおける実力トップを想定した相手との、これまた厳しいアウェーマッチを設定した。
そんな準備プロセスのイメージは、よく分かるし、正しいチーム作りマネージメントだとは思う。でも結果は、とても残念なものになった。
だからこそ、今回の連敗を、貴重な「学習機会」にしなければならないのですよ。選手たちが、もっとも切実に、そこで何が機能しなかったのか分かっているという意味も含めてネ。
そう、脅威と機会は表裏一体・・
ザックも、記者会見で、こんなニュアンスの内容をコメントしていた。曰く・・
・・たしかに、(10月と11月に欧州遠征する)この4ゲームには、負けることも含めて、様々なリスク要素が絡んでくる・・ただ逆に、とても貴重な学習会でもある・・そのことは、事前に選手たちには伝えてあった・・
・・そして結果が出た・・選手たちには、(その結果を受けて・・)自信をなくすのではなく、次につながる「課題」をしっかりと見出さなければいけないと言うつもりだ・・
まあ・・そういうことだね。
たしにか、2試合つづけて「完敗に近い」ゲームになってしまったことは残念だったけれど、それでも日本は、何かを、貴重な何かを体感したはず。まあ、悔しさも含めてネ・・
このゲームだけれど・・
セルビア戦と同様に、ベラルーシ代表も、ものすごい「意志」をブチかましてきた。
要は、中盤からのプレッシング守備が、ものすごかったということです。
もちろん、だから逆に日本代表にとっては、本当に貴重な機会になる。相手は、トップクラスではないにせよ、長い歴史に支えられたフットボールネーションなんだからね。
それにしても相手の(強烈な意志を爆発させるような)プレスは、すさまじかった。
そこで、日本にとっての第一の課題が見えてくる・・
もちろん日本も、何度も、そのプレスを、組織プレーや個人プレーで「かいくぐり」、そこから相手のウラのスペースを突いた(プレスの輪を置き去りにした)。
でも、そんな「壁の突破」シーンを、十分に演出できなかったんだよ。
そして、相手の意志の勢いに押され、ボールがないところでのサポートの動きの量と質をアップさせられずに、ズルズルと下がってしまうシーンがつづくようになっていったんだ。
そのことについては、この二連戦ともに共通する傾向だったね・・
前半は、よいサッカーを展開して相手をタジタジにするシーンもあったけれど、後半は・・
その意味で、まさに「アウェーゲーム」だったということだね。そう、貴重な学習機会・・
えっ!? そんな学習機会のなかで、何がもっとも重要だったかって・・!?
それは、そんな強烈なプレッシングを「外す」ために、日本代表には人数(組織コンビネーション!)が必要だということでしょ。
そう、ボールがないところでの動きの量と質(サポートの動き!)。「それ」が足ないから、組織プレーで、相手のプレッシングを外すようなシーンを際立たせられなかったんだよ。
もちろん選手たちも、そのことをしっかりと自覚していたはず。でも、うまく「再」活性化させられなかった。そして、押されて、ズルズルと下がってしまうシーンがつづいた。
そのことこそが、もっとも貴重な学習機会だったと思う。
日本代表は、足が止まったら、三流チームに、限りなく近づいてしまう・・
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ところで、このゲームでの唯一の失点シーンだけれど・・
最後は、クロスを落とされ(バックパス)強烈なミドルをブチ込まれた。
私は、この失点の「隠されたバックボーン」を、こう見る。
この一連のピンチがはじまったキッカケは、その数秒前に、右サイドスペースを「タテ」に攻略されてしまったシーンだったんだ。
要は、相手に、タテのスペースへフリーで抜け出させてしまったことが、(間接的に!)失点シーンを作りだしたということです。
この、タテへフリーに「行かせてしまった」のは、私の目には、香川真司か本田圭佑と映っていたけれど、まあ、後からビデオで確認しよう。
そして「そこ」に、ピタリとタテパスが合わされたというわけです。
「それ」が、どうして失点のバックボーンだったかって・・!?
要は、フリーでボールを持つ選手が「作りだされた」からこそ、周りの(後方の)ベラルーシ選手たちが、前方のスペースへ走り抜けていった・・ということです。
それで、日本ゴール前のベラルーシ選手たちの密度がアップし、それが、二の矢、三の矢となって、最後の、素晴らしい「落とし」につながり、そこに、ミドルを決めた選手「も」上がってきていた・・っちゅうわけです。
ベラルーシ選手たちは、「ここがチャンスだっ!!」と、意志を統一できた・・というわけです。
だからこそ、(一般的な戦術論だけれど)スペースを攻略することには、格段の価値があるというわけです。そして、当然の「仕掛けと最終勝負の流れ」として、二次攻撃、三次攻撃とつづいていったんだ。フ〜〜・・
ここでは、スリーバックとフォーバックを使い分けた・・というグラウンド上の現象についてはコメントを避けます。
帰国してからしっかりとビデオで確認してから文章を起こしますよ。とても安定したプレーを披露した森重真人についてのコメントも含めてね・・
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最後に、選手個々の評価もちょっとだけ。
でも・・まあ・・ここでは、香川真司にスポットを当てたコメントだけにしましょう。
とにかく、ゲーム勘という意味合いで、いまの香川真司は、とても迷っていると感じた。
香川真司「的」なゲーム勘・・
それは、組織プレーと個人勝負プレーのバランスのことを意味しているのですが、いまの香川真司は、そのポイントで、本当に中途半端に乱れていると感じたんですよ。
シンプルに展開パスを出してパス&ムーブを繰り返すべくシーンで持ちすぎてしまったり、逆に、勝負ドリブルにチャレンジすべきシーンで、バックパスや横パスに「逃げ」てしまったり。
だから、組織プレーと、個人勝負プレーの「メリハリ」が、とても中途半端・・
とても微妙なテーマだけれど、まあ、チーム(監督)のコンセプトに、香川真司が合わないかもしれない・・という危惧は抱くね。
もちろん、ユルゲン・クロップの下だったら、再び輝くとは思うけれど・・
このテーマについては、本日火曜日の朝方にアップした「The Core Column」の最新コラムも参照してください。
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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